作成日
:2020.11.12
2021.12.22 17:00
英国財務省(HM Treasury)は11月9日、民間が保有するステーブルコインを規制する草案の作成と、現金の代替手段となる中央銀行発行の独自デジタル通貨(Central Bank Digital Currency)【以下、CBDCと称す】の研究を推進していることを明らかにした。
英国の財務大臣であるRishi Sunak氏によると、ステーブルコインや民間企業が発行するデジタル通貨は、安価で迅速な決済手法になるという。またCBDCの研究に関し、Sunak氏は英国財務省とイングランド銀行(Bank of England)の働きぶりを評価しているとのことだ。同省によると、英国はCBDCに関する研究の大部分を完了しており、近い将来における発行を真剣に検討しているという。尚、Sunak氏は同国に上場する企業数の増加を図る詳細な計画を公表した他、革新的なフィンテック企業をサポートする新たなタスクフォースを立ち上げる意向を示した。
ステーブルコインの規制草案の作成に際し、Sunak氏は以下のようにコメントしている。
ステーブルコインや民間が発行するデジタル通貨などの新たなテクノロジーは、より安価で迅速な決済を可能とし、現行の現金保管や両替手法を変革しうるものであります。ステーブルコインの潜在的メリットを享受すると共に、消費者や金融の安定化に関連したリスクを管理すべく、英国政府は他の決済手法で採用されている最低限の基準を満たすことを求める規制アプローチを提案する意向であります。
Rishi Sunak, Chancellor of the Exchequer - Gov.UKより引用
英国がステーブルコインの規制やCBDCの導入を推進する中、当局が如何なる規制スキームを構築するか今後も注目したい。
release date 2020.11.12
Sunak氏によると、英国はCBDCやデジタル通貨分野でグローバルリーダーシップを発揮することを目指しているという。実際に、同国当局が積極的に規制環境の整備や新たなソリューションの開発を推し進めている。例えば、FCAは仮想通貨デリバティブとETNの販売禁止を決定し、仮想通貨市場の安全性強化を図っている。また、イングランド銀行はCBDCと互換性のある決済インフラを構築していることを明らかにした他、ステーブルコインによる決済規制に賛同する意向も示している。更に、英国政府は仮想通貨関連広告をFCAが監視するスキームを提案し、効率的な監督フレームワークの構築を模索している状況だ。加えてSunak氏は、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする目標の達成をサポートすべく、グリーンファイナンス分野においても主導的役割を果たす計画を明らかにしている。英国がフィンテックなどの先進分野においてリーダーシップを発揮し、グローバルベースで安心・安全な金融市場が形成されることに期待したい。
作成日
:2020.11.12
最終更新
:2021.12.22
国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。
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