作成日
:2020.10.23
2021.08.31 15:31
大手オンライン決済サービスのPaypal Holdings Inc.(本社:2211 North First Street San Jose, California 95131
)【以下、ペイパルと称す】は、仮想通貨の取り扱いを開始することを発表した。今月21日の発表によると、ペイパルは数週間以内に仮想通貨を購入および販売、保有するための機能をリリースすることを予定しているという。今回、ペイパルはビットコイン(Bitcoin)、ビットコインキャッシュ(Bitcoin Cash)、イーサリアム(Ethereum)、ライトコイン(Litecoin)のサポートを決定し、2021年初頭からこれらの仮想通貨を用いた決済サービスにも対応すると言及した。また、ペイパルはボラティリティやコスト、スピードなどの仮想通貨ベースのトランザクションにおける懸念に対処しながら、仮想通貨決済の利便性を高めていくと説明している。
これら仮想通貨関連機能をローンチするにあたり、ペイパルはいくつかの制限を設けているようだ。まず、ペイパルは外部ウォレットからの入出金を認めておらず、同社のプラットフォーム上から購入した仮想通貨のみを法定通貨へ両替して使用することを許可している。これはユーザーが秘密鍵を管理するリスクを排除し、仮想通貨の用途を厳密に把握することを目的にしているという。加えて、ペイパルは仮想通貨の購入上限を1週間あたり1万ドル、12か月あたり5万ドルに定めている。
ペイパルは少なくとも昨年末から仮想通貨市場に参入することを計画しており、今年6月にはペイパルが仮想通貨関連機能を実装する可能性があることが報道されている。その翌月にペイパルは仮想通貨取引所のPaxosをパートナーに選定してプロセスを進め、今月21日にニューヨーク州金融サービス局(The New York State Department of Financial Services, NYDFS)から条件付きのビットライセンスを取得したという。これにより、ペイパルはPaxosの仮想通貨取引およびカストディサービスを利用すると同時に、仮想通貨を取り扱うことが可能になった。
今年に入ってペイパルはブロックチェーンに精通した人材を募集するなど、これらの新しいテクノロジーを取り込むことに対して積極的な姿勢を見せているが、次はどのような動きに出るのか、今後も同社の取り組みを見守っていきたい。
release date 2020.10.23
先月末、停滞を脱したビットコイン価格が1万653ドルの高値を示すなど、仮想通貨市場は上昇の兆しを見せており、今回のペイパルによる発表がそのトレンドを後押ししているようだ。実際に、ビットコインは1BTCあたり1万2,000ドル前後で推移していたが、ペイパルが仮想通貨市場への参入を発表した後、同価格は1万2,916ドルにまで高騰している。これに関して、仮想通貨レンディングサービスBlockFiのCEOであるZac Prince氏は、ペイパルが仮想通貨の取り扱いを開始した事実が大きなインパクトを与えていると言及し、年末にかけて同社が仮想通貨市場の拡大を牽引する可能性を秘めていると主張した。その他、フィンテック企業の動きとしては、ペイパルの競合であるSquare(スクエア)なども仮想通貨関連サービスの立ち上げを表明しているが、仮想通貨市場はどのように変化していくのか、今後もこれら企業の動向に注目していきたい。
作成日
:2020.10.23
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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