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ドイツ銀行、CBDCが金融システムおよび米ドルの覇権を脅かす可能性を示唆

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update 2021.08.31 15:31
ドイツ銀行、CBDCが金融システムおよび米ドルの覇権を脅かす可能性を示唆

update 2021.08.31 15:31

中国のCBDC開発と一帯一路構想による脅威が迫る

ドイツ最大の銀行であるドイツ銀行(本社:Taunusanlage 12, 60325 Frankfurt Am Main Germany[1])は、中央銀行発行の独自デジタル通貨(Central Bank Digital Currency)【以下、CBDCと称す】が世界の金融システムおよび米ドルの覇権を脅かす可能性があることを警告するレポートを発行した。[2]

このレポートの中でドイツ銀行は、中国政府がデジタル人民元のテストプログラムを複数都市に拡大していることに触れ、Facebook(フェイスブック)のリブラ(Libra)などの世界的なステーブルコインの台頭や、新型コロナウイルス(COVID-19)の影響と相まって、世界の金融システムが不安定な状態にあると言及している。また、ドイツ銀行のチーフ投資ストラテジストであるGerit Heinz氏は、中国のCBDCと一帯一路構想が同国通貨の重要性を高め、世界経済における米ドルの優位性を覆す可能性を秘めていると述べた。

この中国の動きに対し、欧州ではデジタルユーロの研究開発が進められているが、欧州中央銀行(European Central Bank)【以下、ECBと称す】のChristine Lagarde総裁は、EU(欧州連合)におけるCBDC開発が遅れを取っていることを指摘している。これに関してHeinz氏は、統一通貨のユーロが発行された際のケースを例に挙げ、民主主義国家ではCBDC導入に向けてはるかに多くの議論が必要になるとコメントした。一方、LaceroのCEOであるRashid Hoosenally氏は、米ドルの優位性が米国の決済インフラとそのテクノロジーに支えられていると説明した上で、CBDCの場合は金融システムが特定の国に依存することに対し、グローバルコンソーシアムのような形で回避できる可能性があると主張している。Hoosenally氏によると、CBDC発行が世界的な規制とテクノロジーの調和につながるのであれば、金融システムの効率化による経済的および社会的な利益が生じるという。

有識者の中には、CBDCが米国の保護貿易政策に対抗するための一つの手段になると考える者も存在する。例えばSovereign FocusのGary Smith氏は、イランに対する米国の経済制裁が欧州各国と同国における貿易を制限していると述べ、CBDCが経済制裁を回避する代替手段として魅力的なものになると言及している。加えて、INATBA(International Association of Trusted Blockchain Applications)の局長であるMarc Taverner氏は、CBDC開発が反米や反中思想などによるものではなく、イノベーションを模索する機会であるべきだとの見解を示した。欧州ではECBがCBDCの開発拡大を示唆しているが、米国や中国を始めとする世界各国はどのような動きに出るのか、今後も仮想通貨市場での展開を見守っていきたい。

release date 2020.10.02

出典元:

ニュースコメント

デジタルドルの導入に懐疑的な米国民

各国でCBDC導入が現実味を帯びてきている中、米国政府も景気刺激法案の一環で米下院がデジタルドルの発行を検討しているが、対照的に米国民はCBDCに関して懐疑的になっているようだ。仮想通貨マイニング企業であるGenesis Miningが、米国民400名を対象に行なった調査によると、全体の75%が紙幣を廃止してデジタルドルを発行することに反対の意を示したという。これらの回答者の多くは仮想通貨に精通すると自負しているが、仮想通貨が犯罪に利用されることを懸念しており、CBDCも同様に安全ではないと考えている可能性がある。クリーブランド連邦準備銀行のLoretta Mester総裁は、米国連邦準備制度理事会(Federal Reserve Board, FRB)がデジタルドルの利点とそのトレードオフとなる要因の理解を深めていると言及したが、米国でのCBDC開発はどのような展開を見せるのか、今後もその動向に注目していきたい。


Date

作成日

2020.10.02

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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