Select Language

米下院、景気刺激法案の一環でデジタルドルの発行を検討

米下院、景気刺激法案の一環でデジタルドルの発行を検討

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2021.08.31 15:28
米下院、景気刺激法案の一環でデジタルドルの発行を検討

update 2021.08.31 15:28

国民生活を支援するために1,000ドルから2,000ドル相当を給付

米下院では新型コロナウイルスの影響で低迷する国内経済を回復させることを目的に、デジタルドルの発行を含む景気刺激法案が提案された。[1]

現在、米国では自宅待機命令が出されると同時に、多くのビジネスが休業を強いられており、結果的に失業率の大幅な悪化を招いているという。これに対して米下院では「Take Responsibility for Workers and Families Act」および「Financial Protections and Assistance for America's Consumers, States, Businesses, and Vulnerable Populations Act」が提案され、連邦準備制度理事会(Federal Reserve Board, FRB)がデジタルドルおよび電子ウォレットを介して失業者の生活を支援する計画が浮上した。これが可決されれば、未成年は1,000ドル、成人は2,000ドル相当のデジタルドルを受け取ることができる。

これらの法案で引用されるデジタルドルという用語は、連邦準備銀行(Federal Reserve Bank)の負債として記録される残高、または適格金融機関が換金可能な電子的な値だと定義されているものの、それが明確に仮想通貨やブロックチェーンを指すかは記されていない。米国にとってデジタルドルの実現は、もはや避けることができないものとなりつつあるが、元米商品先物取引委員会(Commodity Futures Trading Commission)のJ. Christopher Giancarlo氏や経済学者のJudy Shelton氏は、この政策の失敗が米国政府の金融覇権を揺るがす可能性があると警告した。しかしながら米国では、中央銀行発行の独自デジタル通貨(Central Bank Digital Currency)【以下、CBDCと称す】の発行に向けてデジタルドル財団がアクセンチュアと協業するなど、民間でも積極的な取り組みが進められており、その実現に向けたソリューションの開発が加速している。

それに加え、下院ではRashida Tlaib議員が「Automatic BOOST to Communities Act」と呼ばれる法案を策定し、国民にプリペイド式のデビットカードを配布することを提案した。このデビットカードにはあらかじめ2,000ドルがチャージされており、今後1年間、新型コロナウイルスの脅威が去るまで継続的に1,000ドルずつ追加支援が給付されるという。Tlaib議員の法案の下では、将来的にこのデビットカードインフラを財務省が管理可能なデジタルウォレットシステムに置き換え、既存の金融システムを補完する「eCash」として活用する予定だ。

共和党が政権を握る上院では、民主党が5,000億ドル規模の景気刺激法案を2度阻止しており、企業への資金分配方法について透明性が確保されていないことを指摘している。先日、米国株式市場でダウ・ジョーンズ工業株価平均(Dow Jones Industrial Average)が600ポイント近く暴落するなど、経済的な観点から早急な対応が求められている状況に陥っているが、米政府はどのような判断を下すのか、今後も同国での展開を見守っていきたい。

release date 2020.03.25

出典元:

ニュースコメント

米国での仮想通貨普及が現実味を帯びる

これまで米国政府は、Facebook(フェイスブック)のリブラ(Libra)のような米ドルを代替する仮想通貨が普及することを懸念し、同社の取り組みに難色を示していたが、ここにきてその態度を軟化させている。特に下院では金融サービス委員会(House Financial Services Committee)が、公聴会にてザッカーバーグ氏にリブラに関する証言をさせるなど、反対派の議員が結託した動きを見せていたものの、最近では仮想通貨を支持する者も目立ち始めているようだ。実際に国内ではリブラに対抗するCelo Alliance for Prosperityが発足したのに加え、CBDC発行に関する議論が高まっている様子がうかがえる。今回提案された法案が可決されれば、国内経済の復活に向けた起爆剤として仮想通貨が普及することが現実味を帯びてくると言えるだろう。


Date

作成日

2020.03.25

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

オオカミコイン(OKM)は怪しい?オオカミプロジェクトの特徴やSNSでの評判

オオカミコイン(OKM)は、オオカミカードを発行するオオカミプロジェクトの仮想通貨です。海外取引所のMEXCに上場していますが、SNS上では怪しいという声も見られます。本記事では、オオカミコインの特徴、SNSでの評判、怪しいポイントなどを紹介します。
update2025.04.11 19:00

Exnessの海外入出金で​​銀行口座が凍結されるケースが発生

海外FX業者のExnessで海外送金による銀行口座の凍結が発生している事例を取り上げていきます。SNS上では銀行送金2によるものとの声が見受けられますが、凍結の原因は収納代行業者と想定されます。
update2025.05.09 19:00

またコピトレ詐欺か?WeekendFXにAmazingTick型の詐欺疑惑

WeekendFXのコピートレードに参加したユーザーが、「出金できなくなった」と次々に声を上げ始めています。AmazingTickの詐欺事例との類似点も多く、同じ手口のコピトレ詐欺なのではないかという疑惑が持ち上がっています。
update2025.06.23 19:00

ワールドコイン(WLD)の換金方法は?日本円に現金化する手順を解説

ワールドコイン(WLD)は、OpenAI社のCEOであるサム・アルトマン氏らが手掛ける仮想通貨プロジェクトです。登録したユーザーには、仮想通貨WLDが無料配布されます。当記事では、ワールドコインを日本円に換金する手順や、換金時の注意点などを解説します。
update2025.04.16 19:30

GMOコインからBybitに送金してみた!送金手数料や最低送金額なども解説

Myforex編集部では、GMOコインからBybit(バイビット)に仮想通貨を送金してみました。この記事では、実際に送金してみた経験などを交えながら、送金手順やおすすめの送金通貨、トラベルルールの対応状況などを紹介します。
update2025.06.10 20:00

初めてのバックテストでも安心!MT5ストラテジーテスターの使い方ガイド

MT5のストラテジーテスターでは、バックテストによりEAのパフォーマンスを確認できます。バックテストの開始手順や注意点を解説します。
update2025.06.17 19:00

Exnessの出金遅延はなぜ起きた?オンラインカジノ規制の影響とは

海外FX業者のExnessでは、国内送金の遅延が度々問題になっており、決済代行会社に関連したトラブルと言われています。なぜオンラインカジノ規制が海外FXに波及したのか説明するほか、今後考えられる影響も解説します。
update2025.05.28 19:00

【速報】イラン・イスラエル停戦報道でビットコイン反発、一時10万6,000ドル突破

2025年6月23日、トランプ大統領がイラン・イスラエル間の停戦を自身のSNSで発表しました。これにより中東での地政学リスクが後退し、ビットコイン(BTC)の価格は一時10万6,000ドルまで急反発しました。
update2025.06.24 19:00

SBI VCトレードからBybitに送金してみた!手数料や送金時間も解説

Myforex編集部では、国内取引所のSBI VCトレードからBybitに仮想通貨を送金してみました。本記事では、送金手順や手数料、送金時間などを紹介します。
update2025.06.11 19:30

【スリトレ堂安氏の約3倍】本田圭佑×Titan FX、SNSフォロワー数379万の影響力は?

海外FX業者のTitan FXがサッカー選手の本田圭佑氏をグローバルアンバサダーに起用したことを発表しました。なぜTitan FXは「本田圭佑」を選んだのか、SNSの反応や業界の過去事例からその影響力を読み解きます。
update2025.06.09 19:00
youtube youtube

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル