作成日
:2020.01.20
2021.08.31 15:29
米国のDigital Dollar Foundation【以下、デジタルドル財団】は、大手コンサルティング会社のAccenture【以下、アクセンチュアと称す】と協業し、米中央銀行発行の独自デジタル通貨(Central Bank Digital Currency)【以下、CBDCと称す】を開発することを計画している。
このデジタルドル財団は、CBDCの研究開発を行うことを目的に、米商品先物取引委員会(Commodities and Futures Trading Commission)【以下、CFTCと称す】の元議長であるJ. Christopher Giancarlo氏とLabCFTCの元ディレクターであるDaniel Gorfine氏、投資家のCharles Giancarlo氏によって設立された。デジタルドル財団は、CBDCの開発に向けて経済学者や弁護士、研究者、技術者などの意見を求めており、まずはシステム検証用のフレームワークを構築するという。以前からChristopher Giancarlo氏は、ブロックチェーンを基礎としたCBDCを発行するよう政府機関に要請していたが、今回、連邦準備制度理事会(Federal Reserve Board)【以下、FRBと称す】やその他関係者のサポートを得て、独自にプロジェクトを進めることを決断した。あるメディアのインタビューで、Giancarlo氏は、アナログな金融システムは現代において役に立たないと言及しており、将来的には、CBDCが個人や企業の決済をサポートするとの見解を示している。また、同氏はデジタルドル財団が提案するCBDCは、米ドルを裏付けとし、より安価で迅速なグローバル金融システムとして機能すると述べている。
アクセンチュアは、デジタルドル財団のテクノロジーパートナーとしてプロジェクトをサポートすることが期待されているが、同社のブロックチェーン部門の責任者であるDavid Treat氏は、まずステークホルダーと意見をまとめる必要があると説明している。アクセンチュアはスウェーデン国立銀行と協業し、イークローナ(e-Krona)の開発に携わるだけでなく、カナダ銀行(Bank of Canada)やシンガポール金融管理局(The Monetary Authority of Singapore)、欧州中央銀行(European Central Bank)などと同様の取り組みを進めているという。Treat氏は、CBDCの登場が世界の投資市場に大きな影響を与えると予想しており、アクセンチュアがこの分野に多額の投資を行なっていることを明らかにした。
デジタルドル財団は、会合やオープンフォーラムを開催するなど、様々な方法でプロジェクトを推進することを検討しているものの、まずは米政府の関心を理解することが重要だと言えるだろう。特にFRBの協力を得ることが必須であるため、デジタルドル財団は、連邦政府が立ち上げたリアルタイム決済システムのFedNowとの連携を図らなければならない。今の所、FedNowがブロックチェーンを採用する予定はないが、少なくともFRB議長のJerome Powell氏は、その潜在性を高く評価している。しかしながら、Powell氏はCBDCが本当に有効な決済手段であるかの確証を得られておらず、ブロックチェーン技術の導入に二の足を踏んでいるようだ。LabCFTCの元ディレクターであるDaniel Gorfine氏は、CBDCが法律や経済、プライバシーや技術的な観点で課題を抱えていることを指摘した上で、デジタルドル財団が段階的なアプローチで、課題の解決に取り組んでいくと説明している。
最近、中国人民銀行(People's Bank of China)が、CBDCの発行に向けた準備を完了したと噂されており、これが米ドル本位の金融システムを崩壊に導く可能性があると言われている。これに関し、業界のシンクタンクであるCoin CenterのJerry Brito氏は、デジタル人民元が米ドルの脅威になることはないと主張しているが、有識者たちは、これが経済制裁を回避する手段として利用される危険性があると反論した。米中以外にもマーシャル諸島政府が仮想通貨プロジェクトを立ち上げるなど、世界各国が同様の取り組みを進めているため、この流れは益々加速していくと言えるだろう。今年はFacebook(フェイスブック)がリブラ(Libra)のローンチを予定しており、仮想通貨市場への関心が高まっているが、今後もデジタルドル財団の動向を見守っていきたい。
release date 2020.01.20
欧米諸国では、CBDCを含むステーブルコインの開発が加速しており、中央銀行や企業の取り組みが活発になってきているが、日本政府は未だ他国の様子を伺っているようだ。民間では、GMO Japanese Yen(GYEN)やGrand Shores Westなど、日本円を裏付けとするステーブルコインの発行も計画されているものの、これらの仮想通貨が日本国内で主要な存在となることは難しいと言えるだろう。日本銀行の雨宮正佳副総裁は、このようなステーブルコインがキャッシュレス化の一環で普及していくことを認めつつも、CBDCが預金まで代替した場合、銀行を中心とした既存の金融システムが機能しなくなる可能性があるとの懸念を示している。日本政府はリブラに関するワーキンググループを立ち上げるなど、世界的なステーブルコインの影響力の強さを警戒しているようだが、日本の仮想通貨市場は、このトレンドにどのような対応を取るのか、今後も国内での展開に注目していきたい。
作成日
:2020.01.20
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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