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BitMEX、キャッシュ・アンド・キャリー取引で低いパフォーマンスを示す

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update 2021.08.31 15:31
BitMEX、キャッシュ・アンド・キャリー取引で低いパフォーマンスを示す

update 2021.08.31 15:31

バイナンスやDeribitなどの競合他社と比較して約半分のリターン

仮想通貨デリバティブプラットフォームのBitMEXでビットコイン(Bitcoin)のキャッシュ・アンド・キャリー取引を行なった場合、競合他社と比較してより低いパフォーマンスを示す可能性が高いことが明らかになった。[1]

キャッシュ・アンド・キャリー取引は、先物価格がスポット価格よりも割高な水準にある時に有効な裁定取引であり、基本的に先物市場の歪みが利益の源泉となっている。ここ3か月間で、BitMEXにおけるキャッシュ・アンド・キャリー取引の利益率は年2.71%を記録しているが、これは競合他社であるバイナンスやFTX、Deribitの約半分のリターンだという。

Crypto Broker AGの仮想通貨トレーダーであるPatrick Heusser氏は、BitMEXがビットコインのみを担保として受け入れているため、価格変動のリスクに弱く、市場が暴落するとロングポジションを強制的に決済せざるを得ないことが、低い利益率の要因になっていると指摘した。実際、今年3月にビットコイン価格が40%近く下落して4,000ドルを下回った際、BitMEXでは8億7,600万ドル相当のポジションが清算され、ビットコイン先物の価格プレミアム減少のきっかけになったようだ。このようにBitMEXは、他の取引所と比較してキャッシュ・アンド・キャリー取引で不利な環境になりやすい構造的な問題を抱えている。

一方、世界最大の仮想通貨取引所であるバイナンスは、同取引所の先物プラットフォームで相互担保プログラムを開始し、ユーザーがBinance Exchange Walletの仮想通貨を担保として利用することを可能にしている。また、仮想通貨オプションの取引量で世界最大を誇るDeribitも、維持証拠金の水準を超過したポジションを段階的に清算するメカニズムを採用するなど、不要なマージンコールが発生しないシステムを構築しているという。

今月8日時点で、BitMEXにおけるビットコイン先物の取引量は市場全体の14%を占めており、Deribitの2%と比較すると圧倒的なシェアを獲得していることがわかる。これに加え、平均日間スプレッドも0.4%と非常に狭く、BitMEXでは市場の歪みによる価格プレミアムが生じにくい状況となっているようだが、ユーザーはこの取引環境をどのように評価するのか、今後も同取引所の動向に注目していきたい。

release date 2020.09.14

出典元:

ニュースコメント

仮想通貨市場での影響力を強めるBitMEX

仮想通貨デリバティブ市場の拡大を図るBitMEXはイーサリアム先物契約の取り扱いを開始するなど、他社に先駆けて積極的な動きに出ている。その甲斐もあってかBitMEXにおける先物商品の日間取引量は25億ドルを超える水準に達し、結果的に機関投資家や個人投資家を仮想通貨市場に取り込むことに大きく貢献しているようだ。仮想通貨市場でのBitMEXの影響力は拡大し続けており、最近ではユーザーの出金要求に対応するため、BitMEXのトランザクションがビットコインの手数料増加を招いていることが報告された。このようなオフショア取引所の台頭を受け、FCAが仮想通貨デリバティブ商品の禁止を検討する英国や日本、米国などの一部国家では、仮想通貨先物を始めとするハイレバレッジな取引サービスに対する警戒心を強めているようだが、どのような策を持って対処するのか、今後も仮想通貨市場での展開を見守っていきたい。


Date

作成日

2020.09.14

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

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