作成日
:2020.08.12
2021.08.31 15:32
韓国最大の商業銀行であるKB Kookmin(本社:#26, Gukjegeumyung-ro 8-gil, Yeongdeungpo-gu, Seoul
)【以下、国民銀行と称す】は、ブロックチェーン関連企業を対象としたベンチャーファンドのHashedおよび仮想通貨取引所のCumberland Koreaと提携し、仮想通貨カストディサービスの提供を開始した。今年3月、国民銀行は仮想通貨カストディサービスの提供を計画していることが報道され、既に「KBDAC(KB Digital Asset Custody)」の商標登録を特許庁(Korean Intellectual Property Office)に行なっていたことが明らかになっている。Hashedのコンプライアンス責任者であるJin Kang氏によると、今回、国民銀行は3社間でパートナーシップを結び、仮想通貨の管理および保管、最適な規制環境構築の提唱、既存の金融分野の変革を行うことを狙っているという。国民銀行は仮想通貨業界が継続的に発展し、不動産やアートワーク、その他具体的な権利を担保するセキュリティトークンが広く用いられるようになると考えているようだ。
HashedのCEOであるSimon Kim氏は、このパートナーシップに関して次のようにコメントしている。
韓国が仮想通貨市場で主導権を握るために、国民銀行と協力できるこの機会を歓迎しています。ブロックチェーン業界に関する我々の洞察を結集し、技術的および商業的なコンサルティングを提供すれば、消費者だけでなく、デジタルトランスフォーメーションの新時代を先導する我が国に新たな扉を開くことになると言えるでしょう。
Simon Kim, CEO of Hashed - Bitcoin.comより引用
このような流れは韓国だけでなく世界中に波及しており、米国でも銀行が独自の仮想通貨カストディサービスを開始し始めているようだ。実際に米国財務省の独立機関である通貨監督庁(Office of the Comptroller of the Currency)【以下、OCCと称す】は、国立銀行と連邦貯蓄協会(Federal Savings Association)による仮想通貨の保管を法的に許可することを明示した文書を発行している。その文書の中でOCC長官のBrian Brooks氏は、仮想通貨カストディサービスは現代的な銀行活動の形態であると結論づけており、既存の方法よりも安全なオプションになり得ると言及しているが、世界の金融業界はどのように変化していくのか、今後もその展開を見守っていきたい。
release date 2020.08.12
過去に仮想通貨市場ではハッキング被害が頻発しており、投資家保護の観点からその脆弱性が問題視されていた。しかしながら機関投資家が仮想通貨市場に参入してきたことをきっかけに、投資環境が劇的な改善を見せている。特に、ドイツ議会が銀行の仮想通貨取り扱いを許可する法案を可決するなど、各国政府が既存の金融規制の枠組みに仮想通貨を組み込んだことが功を奏し、仮想通貨カストディサービスが拡充され始めているようだ。米国ではNYDFSが仮想通貨のグリーンリストを公開しており、当局の認可を受けたカストディ企業が簡単に仮想通貨を事業に利用できるようになったという。今回、国民銀行が仮想通貨カストディサービスの提供に乗り出したことは、韓国の仮想通貨コミュニティにとって重要な変革点になる可能性があると言えるが、これがどのような結果を招くのか、今後も同国市場での動きに注目していきたい。
作成日
:2020.08.12
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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