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金融庁長官、仮想通貨市場の規制緩和を懸念

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update 2021.08.31 15:32
金融庁長官、仮想通貨市場の規制緩和を懸念

update 2021.08.31 15:32

CBDC発行に向けた準備を進めるべきだとの考えを示す

金融庁(Japan Financial Services Agency, JFSA)の長官に新しく就任した氷見野良三氏は、仮想通貨市場の規制緩和に対して懸念を表明した。[1]

日本は世界でも有数な規模の仮想通貨市場を抱えているが、これまで金融庁は仮想通貨取引に比較的寛容な対応を取ってきた。これに関して氷見野氏は、ビットコイン(Bitcoin)や他の仮想通貨による投機的な取引が増加しても、それが必ずしも技術革新につながるわけではないとの見解を示している。加えて、氷見野氏は金融庁が仮想通貨市場に特別な措置を講じていない事実を強調し、楽観的な見方が強まっていることに対して警笛を鳴らした。

一方、金融庁は中央銀行発行の独自デジタル通貨(Central Bank Digital Currency)【以下、CBDCと称す】発行に関して前向きな姿勢を見せており、最近では日本銀行がCBDC導入の技術的な実現可能性を模索するなど、国内でより具体的な取り組みが進んでいるという。また、日本銀行は英国およびカナダ、欧州諸国の金融当局とコンソーシアムを結成し、CBDC発行に向けた課題を検証している。

氷見野氏は日本銀行がCBDC発行を検討していることに関して次のようにコメントした。

日本はCBDCを発行するか否かについて真剣に考えなければなりません。それにはメリットとデメリットがありますが、今、日本ができることはCBDC発行を決定した際、直ぐに実行するための準備です。計画も立てずに様々な課題について心配すべきではないといえるでしょう。

Ryozo Himino, Commissioner of the Japanese Financial Services Agency - Reutersより引用

隣国の韓国では、韓国銀行がCBDCのパイロットプログラムを開始するなど、仮想通貨関連の取り組みが進展を見せているが、日本政府はどのような動きに出るのか、今後もその動向を見守っていきたい。

release date 2020.08.07

出典元:

ニュースコメント

仮想通貨市場の規制強化を望む金融庁

日本では2018年に大手仮想通貨取引所のコインチェックが大規模なハッキング被害を受けたことをきっかけに、仮想通貨交換業者向けのライセンス制度が整備された。このライセンス制度の下、金融庁は厳正な審査および監督を行なっている。しかしながら米国や英国などの金融大国と比較すると、マネーロンダリング防止(AML)やテロ資金供与対策(CTF)を目的としたKYC(顧客確認)が未だ不十分な水準にあると言われている。実際に金融庁もこの課題を認識しており、過去には複数の仮想通貨取引所に対して業務改善命令を出しているという。これに対して仮想通貨業界は、金融庁の公認規制団体であるJVCEAを軸に、問題改善に取り組んでいる状況だ。金融庁長官の氷見野氏はCBDCを受け入れるためにも、仮想通貨市場の規制強化を望んでいるようだが、どのようなアプローチで実現するのか、今後も当局の動きに注目していきたい。


Date

作成日

2020.08.07

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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