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韓国銀行、CBDCのパイロットプログラムを開始

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update 2021.08.31 15:28
韓国銀行、CBDCのパイロットプログラムを開始

update 2021.08.31 15:28

将来的な環境の変化に対応できる体制を構築する狙い

韓国の中央銀行である韓国銀行(Bank of Korea)は、中央銀行発行の独自デジタル通貨(Central Bank Digital Currency)【以下、CBDCと称す】に関するパイロットプログラムを開始することを発表した。[1][2]

今月6日、韓国銀行は日本や米国を含む先進諸国のCBDC開発が先行していることを懸念し、その導入に伴う技術的および法的影響を評価するために、22カ月間のパイロットプログラムを開始することを決定している。このパイロットプログラムは4つのステージに分かれており、最初の5カ月はCBDCの設計と要件の精査、今年8月までは基盤となるブロックチェーンの見直し、9月から12月まではビジネスプロセスと分析のコンサルティング、2021年を通じてシステム構築とレビューが実施されるという。韓国内では依然として現金需要が高いため、韓国銀行が早期にCBDCを発行することはないが、将来的な環境の変化に対応できる体制を整える狙いがあるようだ。

近年、国際競争の一環として各国がCBDC開発を進めており、一部ではこれが米ドルを基軸とした世界経済に変革をもたらす可能性があると論じられている。これまで日本や米国は強い関心を示してこなかったが、中国人民銀行(People's Bank of China)がCBDC開発に注力したことをきっかけに、本格的な研究開発に取り組み始めているという。実際に米国ではFRBがCBDCの実現可能性を検証するなど、政府内での注目度が高まりつつある。一方、日本でも中国の動きに対応するために、主要な政治家グループがCBDCに関する研究成果を同盟国と共有する制度の構築を試みている状況だ。

過去に韓国銀行はCBDCについて懐疑的な見方を示してきたが、国内および国外の状況に大幅な変化があれば、同行はその見解を改める可能性があることを示唆している。現時点ではイングランド銀行(Bank of England)の元総裁がCBDC発行の危険性を訴えるなど、否定的な意見も多数見受けられるが、最終的に各国政府はどのような判断を下すのか、今後も仮想通貨市場の動向に注目していきたい。

release date 2020.04.08

出典元:

ニュースコメント

CBDC開発の高まりを受けて各国政府の対応に変化

Facebook(フェイスブック)がリブラ(Libra)のローンチ計画を発表して以来、世界的なステーブルコインの登場は時間の問題だとの認識が高まっており、各国政府の対応にも変化が現れ始めている。当初、欧州諸国は仮想通貨が政府の経済政策に支障をきたすとしてCBDCにも否定的な意見を示していたものの、スウェーデン国立銀行がCBDC発行の可能性を探るなど、民間企業も巻き込んだパイロットプロジェクトの立ち上げが活発になってきているという。しかしながら依然としてEUがリブラへの対応を模索しており、加盟国地域での統一的なフレームワークの構築が遅れていることが課題として表面化している状況だ。今年に入ってカンボジアなどのアジア地域の新興国でも同様の取り組みが進められていることが見受けられるが、韓国銀行の試みは国内外の情勢にどのような影響を及ぼすのか、今後もその取り組みを見守っていきたい。


Date

作成日

2020.04.08

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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