作成日
:2020.02.25
2021.08.31 15:28
スウェーデンの中央銀行であるスウェーデン国立銀行(Sveriges Riksbank)【以下、Riksbankと称す】は、イークローナ(e-Krona)と呼ばれる中央銀行発行の独自デジタル通貨(Central Bank Digital Currency)【以下、CBDCと称す】発行を視野に入れてパイロットを実施しているが、同プロジェクトが未だ初期段階にあることを示唆した。
これまでRiksbankはアクセンチュアと協業して、R3が提供するブロックチェーン技術であるコーダ(Corda)を基礎にパイロット環境を構築しており、シミュレーション期間として2021年2月までイークローナを運用することを決定しているようだ。その結果次第でRiksbankは、アクセンチュアとの契約を6年間延長することができる。今月20日の発表によると、このパイロット環境では他の銀行やエンドユーザーが排除され、限定的な試験が実施されるという。
レポートの中でRiksbankは、このCBDCに関する取り組みを通じて同行がブロックチェーン技術や分散型台帳技術に対する知識を高めることができると言及している。Riksbankは2016年11月からイークローナの発行を検討しており、翌年9月に正式にプロジェクトがローンチされて以来、現金を代替する決済手段の研究開発が本格化している状況だ。当初、Riksbankは分散型台帳技術が未熟であることを理由に、現行の送金システムであるRIXが採用する中央集権型のソリューションを利用し、イークローナを発行すべきだと主張していたが、R3のコーダがその懸念を払拭したと結論づけている。Riksbankは、R3のコーダが省エネルギーでスケーラブルであると同時に、二重送金などの問題にも対処することができると評価しているようだ。
現在、Riksbankが開発するシステムでは、ノードとなる銀行にイークローナが発行され、それがエンドユーザーである消費者や小売業者に流通し、スマートフォンやウェアラブル端末、カードなどを媒体に、P2P(ピア・ツー・ピア)決済に利用される仕組みになっているという。このシステムにおいてRiksbankは、ノードの決定権などの絶対的な権限を持っており、Broctagon FintechのCEOであるDon Guo氏は、それが分散型のシステムがもたらす利点を見失っていると指摘した。しかしながらRiksbankは、現時点でイークローナの発行を確定しておらず、最終的には政治的な判断になると言及している。
実際に各国では技術的および哲学的な観点から、分散型のシステムに対する不安が高まっており、ウクライナの中央銀行は、CBDCにおける分散型台帳技術の採用をためらっている模様だ。これはカナダやシンガポール、日本、欧州圏の中央銀行が、国家間の金融インフラにまで分散型台帳技術をテストしていることが要因になっているという。Riksbankは消費者が利用可能な決済ソリューションとしてCBDCの発行を模索しているが、国民はこの動きをどのように見ているのか、今後も同国での展開に注目していきたい。
release date 2020.02.25
最近、仮想通貨業界ではCBDCに関するトピックが盛り上がっており、2019年末頃から各国政府の取り組みが流動的になってきている様子がうかがえる。中国ではスウェーデンと同様に、既に中国人民銀行がCBDCの運用テストを実施し、この流れをリードし始めている状況だ。一方、欧州では個別の研究開発が進んでいるものの、依然としてEUがリブラへの対応を模索するなど、CBDCを含むステーブルコインの実用化に向けた共通の規制構築が課題となっており、思わぬ形で他地域に遅れをとっているという。その他にもCBDCの登場で経済政策の実効性が薄れる可能性や、米ドル基軸通貨体制の崩壊が起こるリスクが懸念されているが、各国政府はこれらのリスクにどう向き合っていくのか、今後もその動向を見守っていきたい。
作成日
:2020.02.25
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。
ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。
お問い合わせ先 [email protected]
Milton Marketsが夏トク15%入金ボーナスキャンペーンを開催!
2023.06.21 19:30
XMTradingがF1チームスクーデリア・アルファタウリとスポンサーシップを締結
2023.03.28 20:00
海外FX業者で取引できるエネルギー銘柄は?取引の種類やメリットを解説
2023.02.27 20:00
仮想通貨HOOKとは?将来性は?Hooked Protocolが提供するWild Cashも解説
2022.12.13 21:00
Huobi(旧Huobi Global)は日本居住者向けサービスを停止していない?
2022.12.08 19:30
分散型取引所dYdXの使い方をイチから解説!注意点も紹介
2022.12.01 20:00
免責事項:Disclaimer
当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。
本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。
Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー