作成日
:2020.07.24
2021.08.31 15:32
韓国政府は数カ月にわたる議論の末、仮想通貨取引で得られた利益に対して20%の課税を決定した。
今月22日に発行された文書によると、韓国の企画財政部(Ministry of Economy and Finance)は年間250万ウォン(約2,000ドル)を超える仮想通貨取引の利益に対して一律20%の税金を課すことを決めたという。この改正税法は9月3日までに議会に提出され、可決された場合は来年の10月1日に施行予定だ。
現在、世界各国の政府が仮想通貨に関する税法を整備しているが、どのように仮想通貨を取り扱うかが大きな論点となっている。実際に韓国政府は仮想通貨取引を非課税とする方針を示していたのに対し、別の省庁はそれを「その他の収入(other income)」に分類して一律20%の税金を課すことを提案しており、議論が長期化する理由になったという。しかしながら昨年末、韓国の税務当局が大手仮想通貨取引所のビッサム(Bithumb)に懲罰的に6,900万ドルの源泉徴収を課したことをきっかけに、仮想通貨の具体的な税制を確立する方針が固まったようだ。
最近では米国でも内国歳入庁(Internal Revenue Service)が仮想通貨に関する適切な税制を確立しようと試みており、業界関係者とその内容を検討しているという。一方、スペインでは税務当局が6万6,000人の仮想通貨投資家に申告書を送付するなど、既存のルール内で税収を確保しようと試みているようだが、最終的に各国政府はこの問題をどのようにアプローチするのか、今後も世界での動きに注目していきたい。
release date 2020.07.24
昨年、日本の国税庁は仮想通貨取引の拡大に対応する方針を示し、具体的に情報照会手続きの整備や実勢調査の拡充、適正申告のための環境づくりを推進している。しかしながら、最高55%の割高な税率や投資家の低い認識が障害となり、確定申告の状況は芳しくなく、2019年は50人の個人投資家と30社の仮想通貨関連企業が申告漏れを指摘されている。個別のケースでは、仮想通貨市場の創成期に購入したビットコイン(Bitcoin)価格が高騰し、高額な税金の支払いに困窮する個人投資家なども存在するようだ。これを受けて仮想通貨関連団体が金融庁に税制改正を要請するなど、仮想通貨関連の税率引き下げを求める動きが高まりを見せている。日本国内では、約100億円規模の税金が未納となっていると言われているが、仮想通貨市場を取り巻く税務環境は改善に向かうのか、今後も日本を含めて各国での展開を見守っていきたい。
作成日
:2020.07.24
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
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