作成日
:2020.05.05
2021.08.31 15:33
仮想通貨関連技術の開発を手がけるRipple, Inc.【以下、リップル社と称す】は、2020年第1四半期におけるXRP(リップル)の販売額が前四半期から87%減少したことを発表した。
先月30日の発表によると、第1四半期におけるXRPの販売額は、前四半期の1,308万ドルを大きく下回る175万ドルだったという。この結果に関してリップル社は、同社が仮想通貨取引所などでのXRP売却を含むプログラム販売を停止し、OTC(店頭取引)に焦点を当ててEMEA(Europe, the Middle East and Africa)およびアジア地域での利便性や流動性の向上に注力したことが要因になったと主張している。また、リップル社はXRPの総売上に占める販売額が0.6ベーシスポイントに留まった事実に触れ、この値が前四半期の8ベーシスポイントから99.3%急落していることを強調した。
XRPの販売額は2019年前半に急上昇したものの、同年の後半には急激な下落が続くようになった。リップル社が主張した通りプログラム販売の停止が痛手となったことは間違いないが、それ以前からXRPの販売量は水増しされている可能性があると囁かれていたようだ。実際にリップル社は2019年の第4四半期にもXRP販売額が前期比で80%以上減少したことを発表し、その際により保守的なアプローチで統計を算出するよう方針転換を行なったと説明している。
今回の発表の中でリップル社は、RippleNetのODL(On-Demand Liquidity)サービスを介した取引量が3倍に増加したことに伴い、その取引額も294%以上上昇したと伝えた。CEOのBrad Garlinghouse氏がリップル社は仮想通貨業界のAmazonを目指すと発言し、更なる事業拡大に臨む姿勢を明確にしているが、このXRPの販売量減少はどのような影響を与えるのか、今後も同社の取り組みに注目していきたい。
release date 2020.05.05
現在、リップル社は世界各国でパートナーシップを展開しており、XRPを利用した送金ネットワークを拡大しようと試みているようだ。そのパートナー企業数は2019年時点で200社を超える規模にまで成長し、国際銀行間通信協会(Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication, SWIFT)に替わるブロックチェーンベースの国際送金ネットワークの確立が現実味を帯びてきている。特にリップル社は膨大な送金需要を抱えるアジア地域で積極的な攻勢に出ており、三菱UFJ銀行やみずほ銀行、マレーシアのCIMB銀行などの大手銀行をネットワークに取り込むことに成功しているという。先日もAzimoとSCBがRippleNetを活用した国際送金サービスを開始したばかりだ。コンサルティングファームのPwCは、仮想通貨業界の資金調達が鈍化していることを公表したが、それでもなお、企業間の競争は激化している。こうした仮想通貨市場において、リップル社の快進撃はどこまで続くのか、今後も同社の動向を見守っていきたい。
作成日
:2020.05.05
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
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