作成日
:2020.04.06
2021.08.31 15:28
人気仮想通貨リップル(Ripple)のソフトウェア開発者であるNik Bougalis氏は、新しい仕様としてXRPレジャーを利用したプライベートトランザクション機能を実装することを提案した。
今週始めにBougalis氏は、悪意のある第三者からユーザーのプライバシーを保護することを念頭に、他の開発者と共にこの新しい機能を設計した事実をGithub上で公表している。Bougalis氏によると、このプライベートトランザクション機能はブラインドタグと呼ばれるシステムが核となっており、ウォレットアドレスをランダムな数字に置き換えることで、当事者以外が取引を追跡できないようにするという。
仮想通貨取引所ではユーザーのXRPが単一のウォレットアドレスで管理されているが、その下に複数存在するサブウォレットが32ビットのソースタグと宛先タグを用いて実際の所有者を識別しているようだ。しかしながら既存のシステムでは、頻繁に取引を行うユーザーに対して特定のタグが紐づけられており、これらのトランザクションが外部から容易に監視可能な状態にある。対策として、一部取引所では取引毎に新しいタグが生成されているものの、使用できるタグの数には制限があるため、この方法ではいずれ限界が来ることが目に見えている。ブラインドタグを採用した場合、ユーザーのプライバシーが保護されるだけでなく、取引所が「タグ不足」に陥るリスクを回避することができると考えられる。
Bougalis氏の提案では、この機能がネットワークを圧迫しないように独立したソリューションとして実装され、ユーザーの意思でオン・オフの切り替えが可能となることが示されている。しかしながらブラインドタグが既存のインフラ上で運用されることから、外部ウォレットがこれに対応できるかは明らかではない。今の所、この機能の実装は確約されていないが、リップルの広報担当者が80%以上のバリデータが支持した場合、それを検討すると明言しているだけに、今後も同コミュニティの動向を見守っていく必要があると言えるだろう。
release date 2020.04.06
近年、個人の仮想通貨資産を狙った詐欺事件が横行している事実を受け、仮想通貨業界ではプライバシー性能を強化することがトレンドとなっているようだ。例えばハードフォークに向けてイーサリアム開発者はEIPを提案し、拡張性を高めると共に匿名取引に対応する意向を示している。加えて、イーサリアム(Ethereum)やその他ブロックチェーンの外部サービスとしてChipMixerやCrypto-Landという名称のコインミキシングサービスが普及しており、誰でも容易に匿名取引を実行できるようになった。しかしながらこれらの匿名取引はマネーロンダリングなどに悪用される可能性があるため、フランス議会が匿名通貨の利用禁止を提案しているという。実際にバイナンスから盗難された資金はこれらのコインミキシングサービスを経由したことが確認されており、匿名取引には危険が伴うとの認識が高まっているが、リップルのプライベートトランザクション機能は受け入れられるのか、今後も仮想通貨市場の動きに注目して行きたい。
作成日
:2020.04.06
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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