作成日
:2019.05.27
2021.08.31 15:26
イーサリアム(Ethereum)の開発者たちが、次期ハードフォークであるイスタンブール(Istanbul)に向けて、28項目ものEIP(Ethereum Improvement Proposal)を提案した。
これらのEIPには、マイニングアルゴリズム、価格決定メカニズム、データ保存プロセスの変更など、コードベースの改善案が盛り込まれているという。隔週で行われるイーサリアムのコア開発者会議では、どういったアプローチやEIPがプラットフォームを効率的に拡張できるのかという議論が進んでいる様子だ。既に今月24日には、イーサリアムの手数料(GAS)に関する変更を提案したEIP 1108が暫定的に承認され、次回の会議でそのベンチマークが公開されることになっている。このEIPは、高すぎる手数料を適正化することにより、イーサリアムの拡張性とプライバシー性能を強化する狙いがある。
イーサリアムにおける設計目標のひとつは、PoW(プルーフ・オブ・ワーク)ベースのマイニングプロトコルの改善またはProgPowの採用によって、マイナーの中央集権化を防ぐことだが、イスタンブールでは、既存のPoWの変更を促すEIP 1057の実装が検討されている。特にイーサリアムのマイニング報酬は、年間6億5,500万ドル規模に達しており、強力なASICが継続的に一般のマイナーを凌駕しているため、ネットワーク環境に大きな変化をもたらすことが予想できる。
しかしながら、ProgPowやEIPの検討プロセスは遅れており、このことについてイーサリアム財団のコミュニティ・リレーション・マネージャーであるHudson Jameson氏は、次のようにコメントしている。
我々は、ProgPowの監査を開始したものの、ある問題に直面しています。ASICに特化したハードウェアパートナーの協力を得る予定でしたが、彼らが監査に参加しないことを決定したため、ハードウェア部分に関して新しいパートナーを探す必要があるのです。イスタンブールについては、提案されたEPIについて議論を進め、どれを実装するのか、できるだけ早く判断したいと考えています。
Hudson Jameson, Community Relation of Ethereum Foundation - Ethereum Magiciansより引用
Jameson氏によると、本来5月24日に設定されていたEIP検討の期日は既に経過しているが、開発者たちは、未だそのレビューを行っている段階だという。また、イーサリアム開発者のRick Dudley氏は、トランザクションの新しい手数料体系を提案するEIP1559が非常に複雑であると言及し、最終的な検討がイスタンブールの実装が予定される2019年10月までずれ込む可能性があることを示した。次期ハードフォークの正確な日付や時間は未定となっているが、今後もイーサリアムの動きに注目していきたい。
release date 2019.05.27
イーサリアムは、より効率的なコンセンサスアルゴリズムであるPoS(プルーフ・オブ・ステーク)への将来的な移行を決定しており、これが現実のものとなれば、システムに対するハッキング攻撃への耐性が大幅に向上することが予想される。PoSのシステム上では、保有する仮想通貨の量と期間でそのノードの信頼性が評価されるため、悪意のある者がブロックを不正に承認するには、大量のイーサリアムを確保する必要があるという。理論値では、流通するイーサリアム全体の33%程度を占有すれば、ブロックを任意の形で承認することが可能になる。そのために必要な資産は、5億ドルにも達すると言われており、このリスクリターンの観点から見る不均衡な状況が、ネットワークの安全性を担保することができるようだ。イーサリアムのPoSへの移行は段階的なハードフォークが必要なため、様子を見ながらの導入となるが、今回のイスタンブールの実施でその状況が前進することに期待したい。
作成日
:2019.05.27
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
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