作成日
:2020.02.13
2021.08.31 15:28
大手FXブローカーのFXCM Group, LLC(本社:20 Gresham Street, 4th Floor, London EC2V 7JE, United Kingdom
)【以下、FXCMと称す】は、2020年1月の実行品質指標(Execution Quality Metrics)を公開し、特定の仮想通貨の平均スプレッドが減少していることを報告した。FXCMのレポートによると、対米ドルのビットコイン(Bitcoin)のスプレッドは、2019年12月における平均28.4pipsから27.5pipsにまで低下しているという。また、他銘柄も安定的な推移を示しており、前月から僅かに上昇したものの、イーサリアム(Ethereum)が1pips、ライトコイン(Litecoin)が0.2pipsの平均スプレッドを記録したことを伝えている。近年、手数料無料のプラットフォームが登場し、既存ブローカーの手数料を押し下げているが、固有のリスクを抱える仮想通貨は、依然として全体の取引コストが高いままだ。しかしながら、FXCMがビットコインの取り扱いを開始した2年前の44pipsと比べると、スプレッドが大幅に改善したことは明白だと言える。
このレポートに併せてFXCMは、注文と約定価格の差異を示すスリッページに関する情報を公開しており、72.2%が注文通り、23%が注文よりも有利、4.8%が注文よりも不利な価格で執行されたことがわかっている。加えてFXCMは、スリッページの幅を左右する要因のひとつである約定スピードの平均が、先月は16ミリ秒だったことを報告した。FXブローカーの中には、十分な約定スピードを確保できているにも関わらず、注文アルゴリズムや流動性が不十分なため、実質的な取引コストが高止まりしている企業も存在するが、FXCMは、特に対米ドルのユーロや英ポンドなどの通貨ペアで低いスプレッドを維持しているようだ。
最近、FXCMは、個人投資家向けにCryptoMajorと呼ばれるファンド型の仮想通貨関連商品をローンチし、仮想通貨市場の需要を取り込もうとしている。CryptoMajorは、ビットコインやリップル(Ripple)、ライトコイン、ビットコインキャッシュ(Bitcoin Cash)、イーサリアムの5つの主要な仮想通貨価格に連動しており、リスクを分散させながら、ポートフォリオに仮想通貨を組み込むことを可能にするという。FXCMはイーサリアムCFDの取り扱いを開始するなど、仮想通貨分野の商品を拡大させているだけに、同社にとって仮想通貨の安定的なスプレッドの提供は重要な課題だと言えるだろう。
release date 2020.02.13
以前から仮想通貨取引所の割高な手数料が問題化していたが、ビットコインをはじめとする主要な仮想通貨のボラティリティが低下したことや流動性が向上したことでその状況は改善されつつある。実際に、BlockFiのように手数料無料の仮想通貨取引サービスを開始する企業も台頭しており、仮想通貨市場へのトレーダーの取り込みに貢献しているという。また、大手仮想通貨取引所の中には、仲介手数料が極端に低いDEX(分散型取引所)を構築し、手厚いサポートが不要な上級者向けに有用なオプションを提供する企業も出てきている。それと同時に仮想通貨市場に機関投資家が参入してきたことで、有力な流動性プロバイダーが誕生しており、仮想通貨取引所のスプレッドも全体的に狭まっているようだ。FXCMなどのFXブローカーは、仮想通貨市場でのポジションを模索しているが、この環境の変化にどのように対応するのか、今後も同社の取り組みに注目していきたい。
作成日
:2020.02.13
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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