作成日
:2019.03.29
2021.08.31 15:26
経済学者兼トレーダーのAlex Krüger氏によると、仮想通貨取引所を利用するユーザーが、株式取引や外国為替取引等と比べて、最大250倍もの割高な手数料を支払っていることが明らかになった。
今月28日にKrüger氏は、人気取引所における手数料を従来の金融機関と比較した結果をTwitter上で公開し、取引量が少ない取引所では、平均0.33%の手数料が徴収されていると言及している。一般的には、ボラティリティが大きい市場で手数料が割高になる傾向があるが、Krüger氏によると、この数値は、それを加味しても高すぎるという。一見すると、平均0.33%の手数料は、それほど大きな手数料という印象を与えないが、5万ドル分の仮想通貨を取引したとすると、165ドルが手数料に消え、証券ブローカーのフィデリティ投信が手数料を1取引あたり4.95ドルに固定していることを考慮するとその差は歴然だ。
仮想通貨市場でのこの現象に関して、Krüger氏は、以下のようにTwitterでコメントしている。
ここ2年半、ビットコイン(Bitcoin)のボラティリティは、ユーロに比べ12倍、S&P500に比べ7倍にまで上昇しました。仮想通貨の手数料は、相対ボラティリティによって調整された後も、割高な水準にあります。
Alex Krüger, Economist and Trader - Twitterより引用
Krüger氏によると、米国最大手の仮想通貨取引所コインベースの取引手数料は0.5%で、最も割高だった取引所は、その4倍にあたる2%の手数料を課すウィンクルボス兄弟のジェミニだという結果が出ている。対象的に、外国為替取引サービスのOandaは、取引あたり0.008%の手数料となっているが、これと比較すると、コインベースは62.5倍、Bitmexは6倍、ジェミニに至っては250倍割高な手数料をユーザーに負担させていることがわかった。
しかしながら、ニュースBTCのレポートでは、これらの割高な手数料は、従来の株式市場や外国為替市場などと比較した際、仮想通貨市場全体の取引量がまだ小規模なことが要因だと指摘されている。例えば、155銘柄を取り扱うバイナンス、16銘柄のコインベース、5銘柄のジェミニは、上場する仮想通貨の銘柄数がそのまま取引手数料に反比例しており、その傾向がはっきりと現れている。従って、仮想通貨市場が成長し、取引所の流動性が増加すれば、必然的に割高であった手数料も将来的には緩和されるかもしれない。
release date 2019.03.29
日本の仮想通貨市場では、新規顧客層を取り込むために、フィスコ仮想通貨取引所やSBIバーチャルカレンシーズをはじめとする多くの取引所が、取引手数料を無料に設定しており、ZaifやbitFlyerなどの大手取引所でさえも、0.01%から0.3%と良心的な手数料を課している。しかしながら、米国やグローバルブランドの取引所と比べると、日本の取引所では、取引量が圧倒的に少なく、スプレッドが実質的なトレーダーのコストとして重くのしかかっているという。ニュースBTCの仮説に従うと、これらの問題は、仮想通貨市場の拡大と取引量の増加で、解決に向かうことが予想されているが、金融庁が厳しい規制を敷く日本では、必ずしもそれが正しいとも言い切れないだろう。特に取り扱い仮想通貨の銘柄数は、自主規制団体の仮想通貨交換業協会が制限していることもあり、増やすことが難しく、現状でも15種類程度の取り扱いが最大となっている。再び熱狂的な仮想通貨ブームが到来すれば、取引量の飛躍的向上も期待できるが、それよりも日本市場では、規制緩和など、別の切り口での処方箋が解決策となるかもしれない。
作成日
:2019.03.29
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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