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UBS、パラジウム市場はスイートスポットだと指摘

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update 2021.08.31 15:29
UBS、パラジウム市場はスイートスポットだと指摘

update 2021.08.31 15:29

テクニカル指標は過熱を示唆

パラジウム市場は、過去最高値を更新し堅調な推移となっている。[1]テクニカル面においては過熱を示唆しているものの、投資家は依然として強気の姿勢を維持している状況だ。

1月20日のパラジウム価格は、供給面のタイト化が解消される兆しが見られないことから、史上最高値となる1オンス=2,577.27ドルをつけた。その後は、米国市場が休場のため、ほとんどの主要市場の取引が細ぼることから、パラジウムも幾分上げ幅を縮小して取引を終えた。

足元のパラジウム価格の急騰を受け、一部の投資家は価格の下落が近いと警戒心を高める一方で、市場全体のセンチメントは依然として強気のままである。UBSグローバルウェルスマネジメントのコモディティ・FX部門エグゼクティブディレクターを務めるWayne Gordon氏は、鉱工業生産の回復と自動車業界の需要拡大及び供給不足を背景に、パラジウムは価格が大きく上昇するスイートスポットに当たると指摘している。また、流動性が非常に薄いなか、急騰したパラジウム価格が一時的に緩む場面があったとしても、鉱工業生産の増加や自動車業界の需要が拡大すれば、再び需給がタイト化するという。

パラジウム価格の急騰の背景として、厳格な排ガス規制の導入に伴う自動車業界での需要拡大や、南アフリカの不安定な電力供給による操業の縮小懸念という需給がタイト化する要因が重なっていることが挙げられる。パラジウムは白金などの副産物として産出されるため、生産コストが高まるなか、各採掘業者は容易に生産能力を上げることが難しくなっている状況だ。また、パラジウムの借り入れコストも、足元までの1年間ほどで見ると、最高値圏に上昇している。TD Securitiesによると、パラジウムの強固なファンダメンタルズを背景に、今後も取引が活発化する一方で、価格が急落するリスクは小さいという。

他方で、パラジウムのテクニカル指標は割高を示唆している。相場の過熱感を示す14日RSI(Relative Strength Index)は、一般的に買われすぎとされる70%を大きく上回る90%に達した。また、過去2週間にわたり、パラジウムは大きな調整もなく上昇するなか、70種類以上ものシグナルが買われすぎとのサインを発している。T-Commodity Srl A Socio UnicoのマネージングディレクターであるGianclaudio Torlizzi氏は、流動性が乏しいパラジウムは米国株式と共に上昇傾向にあるという。また、多くの投資家が、高い収益性を期待できる良好なファンダメンタルズ環境にある金融商品を探し求めているなか、パラジウム価格の上昇を取りこぼすまいと参入することで更なる市場の加熱も考えられるが、それ以外に投資妙味のある金融商品はないと指摘している。今後、パラジウムと米国株式は共に下落する可能性もあるが、その内のどちらが大幅下落するかは判断が難しいとのことである。

尚、DealFX(ディールFX)とTitan FX(タイタン FX)は、パラジウム取引を一時停止しているとのことだ。同商品を取引する際は、各海外FXブローカーの取引状況を確認するようにしたい。

release date 2020.01.22

出典元:

ニュースコメント

急伸するパラジウム市場に注目

白金やニッケルの副産物として採れるパラジウムは、1802年に発見された比較的新しい部類に入る貴金属である。世界的な環境規制の強化を受け、自動車の排ガス浄化触媒としての需要が大きく拡大している一方で、慢性的な供給不足という構造的な問題を抱えている。パラジウムの主な供給国は、ロシアと南アフリカであるが、南アフリカで大規模ストライキが発生していることも、同商品の価格上昇に拍車をかけている状況だ。構造的に需給がタイト化する環境下において、グローバル投資家が、少しでも高い収益の確保が期待できるパラジウムへ積極的に投資している。他方で、海外FXブローカーでもFXや株式に加え、パラジウムなどコモディティ関連のサービス強化を図る企業が散見されている。例えば、INTLがCoinInvestとEPMTの買収を計画し、貴金属の全工程におけるソリューションの提供を模索している。また、XTBがETFを追加したほか、デューカスコピーがソフトコモディティCFDの提供を開始している。海外FXブローカーが、注目集まるパラジウムなどの商品ラインナップの拡充を図ることで、トレーダーにとって投資の選択肢が増し、より最適な投資意思決定に寄与することを期待したい。


Date

作成日

2020.01.22

Update

最終更新

2021.08.31

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

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プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

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