Select Language

イラン情勢を巡るトランプ大統領の発言を受け、米ドルが上昇

イラン情勢を巡るトランプ大統領の発言を受け、米ドルが上昇

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2021.08.31 15:29
イラン情勢を巡るトランプ大統領の発言を受け、米ドルが上昇

update 2021.08.31 15:29

安全資産の円やスイスフランは下落

米国のドナルド・トランプ大統領は、イラクに駐留する米軍に、イランが弾道ミサイルを発射したことに関して演説を行い、イランとの更なる事態の悪化を避ける見方を示した。イランによる米国への報復により、円は3か月ぶりの高値水準で推移していたが、同大統領の発言を受け、リスク選好の流れとなり米ドルは上昇する展開となっている。[1]

トランプ大統領は、即座に追加経済制裁を発動すると共に、イランの姿勢が変わるまで、強力な経済制裁を続けると発言した。同大統領が、軍事力の行使ではなく制裁を科す選択を下し、米イランの緊張が緩和したことにより、安全資産とされる円やスイスフランが下落した。米ドル/円が0.68%高の109.17円前後、米ドル/スイスフランが0.37%高の0.974ドルほどで推移している。また、EU最大の経済大国であるドイツの製造業PMI(購買担当者景気指数)など、経済指標に改善が見られない軟調なユーロに対しても米ドルが上昇し、ユーロ/米ドルは0.34%安の1.111ドルとなっている。

他方で、英国下院総選挙でボリス・ジョンソン首相率いる保守党が大勝したこと受け、英ポンド通貨ペアは強気相場となっていた。しかし、2020年末にハードブレグジット(合意なき離脱)する懸念が浮上していることから、英ポンドは勢いを失っている状況である。ジョンソン首相は、欧州委員会(European Commission, EC)のウルズラ・フォンデアライエン委員長に対し、英国は2020年12月までとされるEU離脱後の移行期間を延長することはないと伝えている。一方でフォンデアライエン委員長は、2020年以降、移行期間を延長しないことは、新たな貿易取引にリスクを生む可能性があると警告している。また、米イランの緊張が緩和し、中東の原油供給が滞る懸念が後退したことにより、米ドル/カナダドルは0.20%高の1.303カナダドルほどで推移している。その他、主要6通貨に対する米ドルの為替レートを指数化したドルインデックス(ドル指数)は、0.28%高の96.75まで上昇した。

尚、バンクオブアメリカのFXストラテジストであるAthanasios Vamvakidis氏は、米ドルは過去2年間にわたり約10%過大評価されているという。その理由として、減税や関税分野におけるトランプ政権の経済政策に寄与するところが大きいが、11月に大統領選挙を控えており、今後更なる財政刺激策を期待することはできないであろうとコメントしている。2020年は始まったばかりであるが、大統領選挙を見据え、引き続きトランプ大統領の発言に一喜一憂する展開が続きそうだ。

release date 2020.01.10

出典元:

ニュースコメント

トランプ砲に振り回される市場参加者

トランプ大統領は、頻繁にツイッターを用いて自身の意見や姿勢を明らかにしている。日本市場が開く前、もしくは場中にツイートすることもあり、投資家達は、同大統領の発言に振り回される展開が続いている状況だ。そのため、トランプ大統領のツイッターアカウントをフォローする投資家もいるほどである。今後も、11月の大統領選挙に向けて、金融政策を巡りFRB(米連邦準備制度理事会)に対し、頻繁に口先介入することが見込まれるほか、FXブローカーを揺るがす米中貿易戦争に絡んだトランプ大統領の発言も、引き続きマーケットを動かす要因になるであろう。米イラン動向や米中貿易摩擦、ブレグジットの行方など、2020年は様々なリスク要因が存在するなか、世界の政治・経済をリードする米国のトップであるトランプ大統領の言動が与えるインパクトは非常に大きい。グローバルに地政学リスクが浮上するなか、トランプ大統領の動向を注視しながらの神経質な展開が続くことが予想される。


Date

作成日

2020.01.10

Update

最終更新

2021.08.31

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

arrow
プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

もう国内銀行送金は使えない?法改正で海外FXトレーダーを直撃する3つの入出金リスク

資金決済法の一部改正により、海外FXユーザーの間で、当たり前のように利用されてきた国内銀行送金による入出金が使えなくなる可能性が浮上しています。法改正が海外FXに与えるリスクと現時点で考えられる対策を説明します。
update2025.07.01 19:00

海外FX利用で国内銀行口座の凍結が増加?法改正後の入出金リスクとは

SNS上で海外FXユーザーの銀行口座が凍結されたことが話題になっています。本記事では、SNSで話題の凍結報告の背景を説明するほか、海外FX業界に迫る「本当の入出金危機」と今後の備えについて解説します。
update2025.07.09 19:00

海外FX業者Exnessへの入出金で​​銀行口座が凍結されるケースが発生

海外FX業者のExness(エクスネス)で国内銀行送金による入出金を行ったことをきっかけに、銀行口座が凍結されるケースがSNS上で話題になっています。SNS上では銀行送金2によるものとの声が見受けられますが、凍結の原因は収納代行業者と想定されます。
update2025.05.09 19:00

海外FXに仮想通貨で入出金する方法は?規制強化で仮想通貨送金が最適解か

海外FXの入出金ルート封鎖が加速しており、SNS上では「銀行口座が凍結された」といった投稿も見られます。そんな中、注目を集めているのが仮想通貨での入出金です。この記事では、海外FXに仮想通貨で入出金する方法や、仮想通貨送金時の注意点などを解説します。
update2025.07.15 19:00

GMOコインからBybitに送金してみた!送金手数料や最低送金額なども解説

Myforex編集部では、GMOコインからBybit(バイビット)に仮想通貨を送金してみました。この記事では、実際に送金してみた経験などを交えながら、送金手順やおすすめの送金通貨、トラベルルールの対応状況などを紹介します。
update2025.06.10 20:00

SBI VCトレードからBybitに送金してみた!手数料や送金時間も解説

Myforex編集部では、国内取引所のSBI VCトレードからBybitに仮想通貨を送金してみました。本記事では、送金手順や手数料、送金時間などを紹介します。
update2025.06.11 19:30

海外FXに「兵糧攻め」、bitbank・エポスの利用規制で仮想通貨送金にさらに注目集まる

bitbankが利用規約を一部改定し、今後は海外FXへの直接送金が難しくなりました。エポスカードもFXの利用停止を発表したほか、国内銀行口座の凍結事例も増加しています。こうした背景から、海外FXユーザーは入出金経路の見直しが急務となっています。
update2025.07.04 19:00

スマホ用MT5でZigZagが使える!iOS版に平均足ほか新機能が複数追加

iOS版MT5に待望の新機能が複数追加されたことにより、平均足チャート、ZigZag、マーケットプロファイルの実装に加え、データウィンドウ強化や取引レポート機能など視認性と操作性が向上しました。アップデート内容とトレードスタイルごとの活用例などを紹介していきます。
update2025.07.09 19:30

FXONが「Nintendo Switch 2 争奪キャンペーン」を開催!入金&取引で豪華賞品をプレゼント

FXONが「Nintendo Switch 2 争奪キャンペーン」の開催を発表しました。本キャンペーンでは「Switch 2」のほか、豪華賞品が抽選でプレゼントされます。取引を重ねるごとに抽選権利がもらえる仕組みで、取引するほど当選確率がアップします。
update2025.07.16 19:00

Exnessでスワップフリーが突如剥奪されるバグ発生、対象者には補償予定

海外FX業者のExnessで突如スワップフリーが剥奪されたとするXの投稿が注目を集めています。Exnessはシステムのバグが原因と説明しており、スワップが発生したユーザーに対して補償する方針を示しています。
update2025.07.18 19:00
youtube youtube

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル