作成日
:2019.12.12
2021.08.31 15:29
スイスのフィンテック企業であるAmun AG【以下、Amunと称す】は、スウェーデン金融監督庁(Swedish Financial Supervisory Authority)【以下、SFSAと称す】が同社の仮想通貨ETP(上場取引型金融商品)を承認したことを今月10日に発表した。
現在、Amunはスイス証券取引所(SIX Swiss Exchange)に10種類、ドイツの証券取引所であるBoerse Stuttgartに7種類の商品を上場しており、その中にはビットコイン(Bitcoin)、イーサリアム(Ethereum)、バイナンスコイン(Binance Coin)に連動するETPも含まれているという。今年3月、スイス証券取引所がリップル連動のETPを許可したことで、Amunは既存の証券取引所に仮想通貨ETPをリスティングした世界初の企業として認知されるようになった。
今回、AmunはSFSAの承認を得たことでEU(欧州連合)加盟国で自由に活動できるようになり、各証券取引所の許可を得れば、仮想通貨関連商品の上場が認められるようだ。詳細は明らかになっていないものの、来年度、Amunは欧州3つの取引所に同社の商品をリスティングすることを計画している模様だ。AmunのCEOであるOphelia Snyder氏は、同社のミッションは仮想通貨投資を安全かつ効率的なものにすることだと明言しており、更なるETPをローンチする可能性があることをほのめかしている。
ETPは株式と同様に取引できる利便性の高さが特徴だが、原資産に連動するデリバティブ商品であるため、それを管理する企業は1対1の割合で準備金を保有して、その価値を担保することが法的に義務付けられている。AmunはコインベースがXapoを買収して立ち上げたカストディサービスを利用し、仮想通貨を保有しているが、同社のETPは投資家に受け入れられるのか、今後もその取り組みに注目していきたい。
release date 2019.12.12
仮想通貨市場が成熟するにつれ、仮想通貨を対象とした先物やオプション、ファンドなど、様々な金融商品が登場しているが、既存の証券取引所やデリバティブ取引所はこれらの仮想通貨関連商品を受け入れる準備を進めているようだ。米国ではインターコンチネンタル取引所(Intercontinental Exchange)やCMEがビットコイン先物の提供をいち早く開始し、大口投資家や機関投資家の需要を取り込んでいるという。また、今回、AmunのETPをリスティングすることを決定したドイツのBoerse Stuttgartも仮想通貨取引に進出するために、昨年末からブロックチェーン開発を手がけるsolarisBank AGの協力を得てインフラ整備を進めている状況だ。欧州経済をリードする英国やフランスがこれに続けば、仮想通貨関連商品を受け入れる動きが本格化し、EU圏内の仮想通貨市場が拡大に向かう可能性があると言えるだろう。
作成日
:2019.12.12
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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