Select Language

バークレイズ、株式オプション関連事業をマーケットメイカーGTSに売却

バークレイズ、株式オプション関連事業をマーケットメイカーGTSに売却

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2021.08.31 15:29
バークレイズ、株式オプション関連事業をマーケットメイカーGTSに売却

update 2021.08.31 15:29

投資銀行業務の縮小を推し進める意向

英国・ロンドンを拠点とするグローバル投資銀行Barclays(本社:1 Churchill Place London E14 5HP[1])【以下、バークレイズと称す】が、株式オプションマーケットメイキング事業を、ニューヨーク証券取引所最大の指定マーケットメイカー(Designated Market Maker, DMM)であるGlobal Trading Systems(本社:545 Madison Avenue, 15th FL New York, NY 10022[2])【以下、GTSと称する】に売却したことが明らかになった。

Automated Volatility Tradingと呼ばれるバークレイズの株式オプションマーケットメイキング事業は、13か所のグローバルオプション取引所を通じて、735,000種類を超えるオプション売買に絡む流動性を供給しており、全ての米国証券取引所の株式オプション取引量の2%を占めているという。同社によると、GTSによる買収が完了した後、約40名のバークレイズ職員はGTSのフルタイムスタッフとして移管されるとのことだ。同行が株式オプション事業の売却に踏み切ったことは、投資銀行業務の縮小を推し進めていることを意味している。なお、売却金額などの詳細は明らかとされていない。

GTSの共同創業者兼CEOであるAri Rubenstein氏は、今回の買収は、グローバル資本市場ビジネスの構築と全ての顧客に最良のトレーディング技術を提供するという同社の経営目標への前進に加え、データを重視した精緻なプライシングを提供するGTSの専門性の向上に繋がるという。また、オプションは積極的に取引が行われるアセットクラスであり、なおかつ重要な投資ツールになると共に、グローバル金融商品の拡充に大きく寄与するとコメントしている。

GTSはコモディティや先物、FX、デリバティブなどの分野において、独自のアルゴリズム取引サービスを強化している。2019年5月にも、同社はCantor Fitzgeraldのブローカーディーラー部門の買収を完了させており、リテールブローカーからの大量の注文を捌いている強力なライバルであるCitadel SecuritiesやVirtuに伍していく意向だ。現状、GTSは米国において同国の金融業規制機構(Financial Industry Regulatory Authority, FINRA)に加盟するGTS Securities, LLCを通じたプリンシパル・トレーディング・ファームであるものの、他の登録ブローカーディーラーとのみ取引を行っているほか、北米と西欧の複数の取引所にてマーケットメイキング業務を提供している。

米大手投資銀行のリーマンブラザーズが破綻した際に、事業の一部を買収し、一時勢いを増したバークレイズは、既に投資銀行業務の縮小を決断している。銀行や証券、資産管理業務など多岐にわたる金融サービスを提供する同社にとって、どの事業が収益の柱に成長するのか、市場の注目が集まっている。

release date 2019.12.12

出典元:

ニュースコメント

事業の選択と集中を推し進める欧州のバルジブラケット

この世の栄華を極めてきた投資銀行業務は、一握りのトップバルジブラケット(巨大投資銀行)が収益の大部分を牛耳っている。一方で、欧州を代表するバルジブラケットのドイツ銀行やUBSなどは、収益性の低下を背景に、同業務の縮小とウェルスマネジメント業務などの強化を進めており、包括的な金融サービスを提供することから一転して事業の選択と集中に迫られている。特に、2019年7月にドイツ銀行は大規模リストラを敢行し、リスクの高い投資銀行部門を縮小する一方で、同行が伝統的に強みを持つクレジット及びFX分野を含むコーポレートファイナンスやアドバイザリー業務に注力する方針を示している。また、バークレイズがBARX Pegをリリースし、FX関連サービスを強化するなど、欧州バルジブラケット各社は自行が強みとする分野に的を絞ったソリューションを開発することで、収益性の維持に腐心している状況だ。他方で、JPモルガンチェースが新FX取引エンジンを投入したほか、米国金融業界のトップに君臨するゴールドマンサックスが、アップルと協働でクレジットカードサービスの提供を開始するなど、米国拠点のバルジブラケットは、世界の投資銀行業務をリードすると共に、更なる顧客基盤の拡大に向けた動きも積極化させている。欧州の投資銀行が、失った収益基盤の立て直しを図るべく、如何なるソリューションを打ち出すのか、各社の動静を見守る必要がありそうだ。


Date

作成日

2019.12.12

Update

最終更新

2021.08.31

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

arrow
プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

もう国内銀行送金は使えない?法改正で海外FXトレーダーを直撃する3つの入出金リスク

資金決済法の一部改正により、海外FXユーザーの間で、当たり前のように利用されてきた国内銀行送金による入出金が使えなくなる可能性が浮上しています。法改正が海外FXに与えるリスクと現時点で考えられる対策を説明します。
update2025.07.01 19:00

海外FX利用で国内銀行口座の凍結が増加?法改正後の入出金リスクとは

SNS上で海外FXユーザーの銀行口座が凍結されたことが話題になっています。本記事では、SNSで話題の凍結報告の背景を説明するほか、海外FX業界に迫る「本当の入出金危機」と今後の備えについて解説します。
update2025.07.09 19:00

海外FXに仮想通貨で入出金する方法は?規制強化で仮想通貨送金が最適解か

海外FXの入出金ルート封鎖が加速しており、SNS上では「銀行口座が凍結された」といった投稿も見られます。そんな中、注目を集めているのが仮想通貨での入出金です。この記事では、海外FXに仮想通貨で入出金する方法や、仮想通貨送金時の注意点などを解説します。
update2025.07.15 19:00

海外FX業者Exnessへの入出金で​​銀行口座が凍結されるケースが発生

海外FX業者のExness(エクスネス)で国内銀行送金による入出金を行ったことをきっかけに、銀行口座が凍結されるケースがSNS上で話題になっています。SNS上では銀行送金2によるものとの声が見受けられますが、凍結の原因は収納代行業者と想定されます。
update2025.05.09 19:00

GMOコインからBybitに送金してみた!送金手数料や最低送金額なども解説

Myforex編集部では、GMOコインからBybit(バイビット)に仮想通貨を送金してみました。この記事では、実際に送金してみた経験などを交えながら、送金手順やおすすめの送金通貨、トラベルルールの対応状況などを紹介します。
update2025.06.10 20:00

SBI VCトレードからBybitに送金してみた!手数料や送金時間も解説

Myforex編集部では、国内取引所のSBI VCトレードからBybitに仮想通貨を送金してみました。本記事では、送金手順や手数料、送金時間などを紹介します。
update2025.06.11 19:30

海外FXに「兵糧攻め」、bitbank・エポスの利用規制で仮想通貨送金にさらに注目集まる

bitbankが利用規約を一部改定し、今後は海外FXへの直接送金が難しくなりました。エポスカードもFXの利用停止を発表したほか、国内銀行口座の凍結事例も増加しています。こうした背景から、海外FXユーザーは入出金経路の見直しが急務となっています。
update2025.07.04 19:00

Exnessでスワップフリーが突如剥奪されるバグ発生、対象者には補償予定

海外FX業者のExnessで突如スワップフリーが剥奪されたとするXの投稿が注目を集めています。Exnessはシステムのバグが原因と説明しており、スワップが発生したユーザーに対して補償する方針を示しています。
update2025.07.18 19:00

Vantage Tradingで出金拒否やトラブルが多発中?SNSで報告相次ぐ原因とは

Vantageで原因不明の出金拒否が、多数発生している声を取り上げていきます。Vantageで出金拒否が発生する理由や実際にVantageへ問い合わせた際の回答などもあわせて紹介していきます。
update2025.05.16 19:00

海外FXがオンラインカジノ規制の影響を受ける理由とは?出金できなくなるリスクも

2025年以降、オンラインカジノ規制の影響と見られる海外FX業者の国内送金の遅延が度々問題になっており、決済代行会社に関連したトラブルと言われています。なぜオンラインカジノ規制が海外FXに波及したのか説明するほか、今後考えられる影響も解説します。
update2025.05.28 19:00
youtube youtube

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル