作成日
:2019.12.12
2021.08.31 15:29
大手ソフトウェア企業のMicrosoft Corporation(One Microsoft Way Redmond, WA 98052-7329, USA
)【以下、マイクロソフトと称す】は、クラウド上でブロックチェーン環境を構築したAzureクラウドサービスに、トークン化やブロックチェーンデータ管理サービスなどの新たな機能を追加したことを発表した。マイクロソフトが提供する新たなトークン化ソリューションは、業界標準となるトークンの定義化や開発、管理を簡素化させるツールとのことだ。また、ブロックチェーンデータ管理機能に関しては、既存のアプリと分散台帳上のデータを統合する複雑な作業を容易にすることが期待できるという。2019年11月初頭に、マイクロソフトはAzure Blockchain Tokenをリリースしており、今回、これらの機能を追加したことで、同プラットフォームを通じて、フィジカルもしくはデジタルトークンを容易に開発、管理することができるようになるほか、Azureブロックチェーンサービスを活用したブロックチェーンネットワークの管理など、エンドツーエンドのサービスを提供することが可能になるとコメントしている。
なお、2010年2月にマイクロソフトのAzureがリリースされた当初はWindow Azureとしてサービス展開を図っていたが、4年後にブランド名を刷新している。同社は、Azureがクラウドサービスを拡張し、顧客が抱える課題を克服するサポートをしており、同サービスを利用することで、顧客は使い勝手の良いツールやフレームワークを活用した広範なグローバルネットワーク上で、自由にアプリを開発・管理・提供することができるようになるという。
また、マイクロソフトのAzureブロックチェーンワークベンチは、分散型アプリ開発業者向けに、分散台帳上にあるデータの取得や暗号変換及び復号を可能とすると共に、指定の場所にデータを送信することもできるツールである。また、同ワークベンチは、イーサリアム(Ethereum)やハイパーレッジャーファブリック(Hyperledger Fabric)に加え、コーダ(Corda)のようなブロックチェーン技術を活用することも可能であるという。マイクロソフトのウェブサイト上には、既に11種類のユースケースが掲載されており、たとえば、ゼネラル・エレクトリック(GE)の航空事業では、ブロックチェーン技術を活用し事業の非効率性を改善したほか、3M(3M Technologies)においては、同技術を医薬品偽造の防止に役立てているとのことである。なお、マイクロソフトはAzureブロックチェーンワークベンチと同社の他製品との容易な機能統合を推し進めているほか、開発業者向けのリワードを目的とする、ブロックチェーン技術を基にした非代替性トークン(non-fungible token)であるAzure Heroesをリリースしている。
マイクロソフトは、任意のテンプレートを選択することで容易にトークンの発行を可能とすることに加え、パートナー企業によって開発されたテンプレートのギャラリー機能を開発する意向だ。また、CEEK VR Inc.【以下、CEEK VRと称す】と協働して、同社がマイクロソフトのAzure Blockchain Tokenプラットフォームを活用し、正確な視聴者数をトラッキングする機能を開発している。
Azureクラウドサービスの強化に際し、マイクロソフトAzureのゼネラルマネージャーであるMatthew Kerner氏とCEEK VRのチーフテクノロジーオフィサーのMary Spio氏は、それぞれ以下のようにコメントしている。
Azureブロックチェーンサービスは、リリース当初から多くの企業が導入しており、お客様は同ツールを活用することで、ブロックチェーンネットワークの構築や管理を容易にし、ビジネスロジックの構築に注力することができるようになります。Azureブロックチェーントークンを活用することで、業界標準となる複雑なトークンの定義化や開発、管理を簡素化させることが可能になります。
Matthew Kerner, general manager at Microsoft Azure - Microsoft Azureより引用
我が社はブロックチェーン技術を活用することで、コンテンツ視聴者に関する正確な情報の提供をサポートする信頼の置けるパートナーを探し求めておりました。マイクロソフトのAzureブロックチェーントークンは、我々が開発を手掛ける製品の市場化までの時間を大幅に短縮させ、完璧なパートナーであるといえるでしょう。
Mary Spio, chief technology officer of CEEK VR - Microsoft Azureより引用
マイクロソフトは、市場の成長が見込まれるブロックチェーン技術を活用したサービス機能を拡充することで、更なる業容拡大が期待できそうだ。
release date 2019.12.12
今回、クラウトサービスを強化するマイクロソフト以外にも、同社のライバルであるIBMの送金ネットワークにCurrency Mattersが参画する意向であり、IBMのネットワークを活用したデジタル資産の決済サポートサービスの拡大が見込まれている。また、GAFAと呼ばれる米国のIT大手4社も、ブロックチェーンを基にしたデジタル資産関連サービスの開発に注力している状況だ。たとえば、Facebookは同社が主導する仮想通貨リブラのブロックチェーン上でトークンを発行し、2020年に提供する予定であるほか、Facebookはスイスに仮想通貨関連法人を設立し、ブロックチェーンや仮想通貨に精通した人材の確保及び関連プロジェクトの推進を模索している。また、Googleはビッグデータ分析サービスのBigQueryを活用しブロックチェーンデータの解析を可能とするほか、クラウドデータを活用した分散型アプリの開発も推進している模様だ。高度なテクノロジーを有するIT各社が、投資家の取引スタイルを一変させるような画期的なソリューションを開発することを期待したい。
作成日
:2019.12.12
最終更新
:2021.08.31
国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。
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