作成日
:2019.11.05
2021.08.31 15:29
大手ソフトウェア企業のMicrosoft Corporation(One Microsoft Way Redmond, WA 98052-7329, USA
)【以下、マイクロソフトと称す】は、クラウド上にブロックチェーン環境を構築し、様々なトークンの発行を可能にするAzure Blockchain Tokenプラットフォームのローンチを発表した。今月4日、フロリダ州のオーランドで開催されたMicrosoft Igniteカンファレンスで、マイクロソフトのMarley Gray氏はこのプラットフォームの特徴に触れ、企業がTTI(Token Taxonomy Initiative)に準拠したテンプレートを選択する形で簡単にトークンを発行することができると説明した。TTIはIBMやR3、イーサリアム(Ethereum)など、異なる規格のブロックチェーンを包括するイニシアチブであり、既にリワードやインセンティブ、信用状(Letter of Credit)などの機能を持つトークンを発行した実績があるという。
更にGray氏はこのプラットフォームのローンチに関して次のようにコメントしている。
現在、プリンタは任意のデバイスを購入し、プラグを差し込むだけで起動させることができます。Azure上では同様の要領でトークンを発行することが可能なのです。我社はTTIフレームワークに準拠した如何なるトークンにも対応できるプラットフォームを構築し、それをDynamics、SAP、Microsoft Office、その他のビジネス・オートメーション・プロセスのアプリケーションに連動させることを実現しました。
Marley Gray, Principal Architect at Microsoft - CoinDeskより引用
Azure Blockchain Tokenプラットフォームは、IBMのHyperledger Fabric FabTokenやサンタンデール銀行のBOND Token、Intel(インテル)やConsenSysのリワードを目的としたトークンに対応し、既に多岐にわたるユースケースを確立しているようだ。TTIの母体であるEEA(Enterprise Ethereum Alliance)の広報担当者は、これらの例がまだ商業的に利用されていないことを指摘すると同時に、全ての仕様がダウンロードできる状態にあると言及した。Gray氏はTTIがマイクロソフトだけの試みではないと強調し、IBMやR3、Digital Assetなどの企業もパートナーであると述べている。
また、Gray氏はIBM Blockchain PlatformがIBM Cloud上に実装されることを見越し、そのシステムには移植性があるべきだと主張した。現在、仮想通貨業界ではIBM対マイクロソフト、Hyperledger対イーサリアムの対立構造が成り立っているが、Gray氏はこのような障壁を打破したいと考えているという。この構想が現実のものとなれば、ブロックチェーン開発の効率性が飛躍的に向上すると予想できるだけに、今後もマイクロソフトの取り組みには注目していきたい。
release date 2019.11.05
これまでマイクロソフトはソフトウェアビジネスからAzureを中心としたクラウドビジネスへのシフトを促進してきたが、ブロックチェーン分野でも同様にBaaS(Blockchain as a Service)による従量課金型のサービス展開を試みているようだ。このような取り組みは中国でも活発になっており、今年4月に中国政府機関がブロックチェーン関連企業を承認した際には、Alibaba(アリババ)やTencent(テンセント)、Baidu(バイドゥ)がBaaS関連のイニシアチブをスタートさせていることが明らかになった。その他にも中国資本を後ろ盾に持つバイナンスはステーブルコイン開発のプロジェクトを計画し、同社のBinance Chainをプラットフォームに仮想通貨関連サービスを提供することを視野に入れている状況だ。このバイナンスの動きは今年6月にFacebookが独自仮想通貨のリブラに関する詳細を公開したことを受けてのものであり、仮想通貨市場での米中の対立を象徴しているが、今後もその展開を見守っていきたい。
作成日
:2019.11.05
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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