作成日
:2019.03.22
2021.08.31 15:26
英国を拠点とするFX関連決済サービスプロバイダーであるCurrency Matters(本社:Glenbourne House 63 Burscough Street Ormskirk L39 2EL United Kingdom
)は3月22日、IBMが開発したブロックチェーン技術を基に、リアルタイムでグローバル決済を可能とするネットワークシステムであるWorld Wireネットワークに参画する計画であることを発表した。World Wireネットワークは、オープンソースの分散型プロトコルを基にした送金ネットワークであるステラ(Stellar)を活用し、FXや送金サービスの最適化・迅速化を図ることができるという。これによりIBMのネットワークに参画する金融機関は、事業の拡大及びファイナンシャルインクルージョン(誰もが金融サービスへのアクセスと恩恵を受けることができるようにすること)に向けた取り組みを強化することが可能となる模様だ。またWorld Wireネットワークは44か所に設置されたバンキングエンドポイントを含む72か国で、主要通貨を中心とした47種類の通貨決済をサポートできるとのことである。
Currency MattersはWorld Wireネットワークに加わることで、FXやクロスボーダー(多国間で行われる)の清算・決済機能を統合した単一システムにアクセスできるようになるほか、仮想通貨ステラ・ルーメン(XLM)やステーブルコイン等のデジタル資産の決済サポートも可能になるという。なおWorld Wireネットワークには、既に複数の金融機関が参画を表明しているとのことである。
IBMのFX送金ネットワークに参画する意向を明らかとしたことに際し、Currency MattersのCEOであるJon Anderson氏は以下のようにコメントしている。
我々はWorld Wireネットワークのアーリーアダプター(初期採用層)及びコアメンバーに選ばれたことを誇らしく且つ喜ばしく思っております。我が社はIBMと協働する形で、より迅速で透明性が高く、且つ安全で低コストのクロスボーダー決済サービスを提供していく考えであります。IBMの最先端ネットワーク技術は決済サービスを最適化しグローバル決済市場に革命をもたらすと予想され、我々はその一端を担えることに満足しております。そして我が社のようにWorld Wireネットワークに加わることで、FXや決済関連のカウンター・パーティによるサービスをリアルタイムに捉えると共に、FXレートを交渉したうえで従来長時間を要した決済処理業務を迅速化させることが可能となります。これにより、清算や決済のための中間業者を省略することもでき、お客様にコスト効率が良く且つ迅速な決済・送金サービスを提供することが可能となるでしょう。
Jon Anderson, CEO of Currency Matters - MarketWatchより引用
Currency MattersがIBMのWorld Wireネットワークに加わり、顧客の利便性が大きく改善されることで、顧客取引の拡大が期待できよう。
release date 2019.03.22
コンピュータ関連製品及びサービスを提供する最大手企業であるIBMは、ブロックチェーン技術の採用により、金融機関がクロスボーダー決済を即時完了できるようにすることを目指している。今回IBMが参画するWorld Wireは送金ネットワークとしてステラを活用している。同様に仮想通貨プラットフォームを利用した送金ソリューションとしては、リップル(Ripple)のxRapidなどの競合が既に存在している。リップルにおいては仮想通貨のXRPがブリッジ通貨として使われており、リップルのブロックチェーンを通して、短時間でのクロスボーダーを可能にしている。昨年に実施されたテスト運用においては、既存のシステムでは2~3日程かかる処理を、xRapidでは平均して2分ほどで完了し、更に大幅な支払いコストの削減もみられたという。World Wireにおいても、良好なテスト運用結果が発表され、Currency Mattersやその他のWorld Wireを採用している企業において、迅速な取引が可能となり、顧客の利便性が向上することに期待したい。
作成日
:2019.03.22
最終更新
:2021.08.31
国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。
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