Select Language

1,000社超の欧州企業が金融パスポート継続措置の活用申請

1,000社超の欧州企業が金融パスポート継続措置の活用申請

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2022.01.27 14:57
1,000社超の欧州企業が金融パスポート継続措置の活用申請

update 2022.01.27 14:57

ブレグジット後も企業の事業継続性を確保

英国の金融監督当局である英国金融行動監視機構(Financial Conduct Authority)【以下、FCAと称す】の国際部門エグゼクティブディレクターを務めるNausicaa Delfas氏は、ブレグジット(英国のEUからの離脱)の現況や対応策などを議論するサミットであるUnited Kingdom Financial Services Brexit Summitの第4回目の会合の中で、欧州域内の企業やファンドマネージャーなどから金融パスポート継続措置(temporary permissions regime)の利用申請が既に1,000社を超えたことを明らかにした。[1]

Delfas氏によれば、ハードブレグジットに備えたコンティンジェンシープラン(緊急時対応)としてFCAが導入した金融パスポート継続措置の利用申請期限である2019年3月28日まで1週間ほどに迫っており、申請者数はさらに増加すると見込んでいるとのことだ。また、Delfas氏は既に利用申請準備には十分な時間を設けており、最初の金融パスポート継続措置の利用認可期間は2019年10月から12月の間で、最終は2021年の1月から3月だという。

現行のパスポーティング制度を用いて英国で事業を営むEEA(European Economic Area、欧州経済地域)諸国を拠点とする企業は、仮に合意なき離脱を意味するハードブレグジットになった場合でも、金融パスポート継続措置を活用することで継続的に英国でも事業を行えるようになる見通しである。加えてFCAは、英国でサービスを提供する企業に対し、英国のライセンスを取得し、スムーズな移行を行えるよう時間的猶予を与える意図も持ち合わせているようだ。

なお、英国企業がEU域内にてパスポーティング制度を利用して事業を営む場合、ドイツ、スペイン、フランス、アイルランド、イタリア、ルクセンブルク、オランダといった各国それぞれの間で、パスポート利用の取扱い事項・条件が異なってくる点には注意が必要だ。また欧州証券市場監督局(European Securities and Markets Authority, ESMA)は、金融機関がブレグジット後もEU域内にて継続的に事業を行う場合、EU域内にてそれぞれ独立した事業体を設立すると共に、関連する金融ライセンスの取得を求めている。そのため企業がパスポーティング制度を活用する際には、取り扱い条件などを十分確認する必要がありそうだ。

欧州のブローカー各社がブレグジット後を見据えた対応策を急ぐ中、英国では依然交渉がまとまらず、4月12日までに新たな計画を示すかハードブレグジットを選択するかという状況にまで追い込まれている。企業や投資家が英国の一挙手一投足に固唾を呑む展開が続きそうである。

release date 2019.03.22

出典元:

ニュースコメント

本格的なブレグジット対策の始まりか

英国メイ首相は2017年3月29日にEU条約(リスボン条約)50条を発動し、正式にEU側に離脱を通告し、イギリスのEU離脱が決定した。イギリスはこれまでもEU統一通貨であるユーロを使用せず、域内の国家間において国境検査なしで国境を越えることを許可するシェンゲン協定に加盟しないなど、他のEU諸国と比べても自国の主権を重視する政策を行ってきた。金融政策面では、ESMAの政策に同調することも多かったが、これまでの自国重視の政策を行ってきた経緯からも、ブレグジット後は金融政策を自国に優位な政策へと変更する可能性も高く、今後の政策にも注目していく必要がありそうだ。今回FCAが導入した金融パスポート継続措置は最長で2021年と、あくまで緊急時対応となっていることから、イギリスとEU諸国を股にかけて事業を行う企業は今後更にブレグジット対応に本腰を入れていく必要に迫られるであろう。一国の金融政策の変更は時として世界中の金融当局が追従して規制を強める結果を招くこともあるため、今後の世界各国の金融政策の変更についても注視していきたい。


Date

作成日

2019.03.22

Update

最終更新

2022.01.27

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

arrow
プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

メタマスク(MetaMask)のエアドロップ確認機能とは?特徴や使い方を解説

分散型ウォレットのメタマスク(MetaMask)に、エアドロップ確認機能が追加されました。これにより、エアドロップの受け取り資格の有無を、メタマスク上で簡単にチェックすることが可能になっています。当記事では、エアドロップ確認機能の特徴や、対応しているブロックチェーン、使い方を解説します。
update2024.04.26 21:00

仮想通貨BBの将来性は?ビットコイン向けリステーキングチェーンBounceBitについて解説

仮想通貨(暗号資産)BBは、レイヤー1ブロックチェーンBounceBitのネイティブトークンです。BounceBitは、ビットコイン(BTC)をリステーキングできるインフラとして機能します。
update2024.04.25 20:00

セービングとステーキングの違いとは?仕組みや利率・やり方を解説

仮想通貨(暗号資産)を運用する代表的なサービスとして「セービング」と「ステーキング」があります。よく似た両者には、どのような違いがあるのでしょうか。当記事では、セービングとステーキングの違いや仕組み、利率、やり方などを解説します。
update2024.04.25 19:30

Zoomexがプレイ金額杯を開催!To The Moonをプレイして総額17万円相当の賞金・特典を獲得

Zoomex(ズーメックス)が、プレイ金額杯の開催を発表しました。To The Moonをプレイしてランキングに入賞すると、総額17万円相当の賞金・特典を獲得できます。キャンペーンは、2024年4月30日午前9時(日本時間)までです。
update2024.04.23 20:00

BigBossが新規ユーザー向けの入金ボーナスを提供!最大1万3,700ドルを付与

海外FX業者のBigBossが入金ボーナスの提供を開始します。今回のボーナスプログラムでは累積入金額によって付与率が変化し、最大1万3,700ドルが付与されます。入金ボーナスの付与条件や対象、注意点などをまとめました。
update2024.04.22 20:30

ThreeTraderが3周年を記念したキャンペーンを開催!

海外FX業者のThreeTraderが、3周年を記念したキャンペーンの第一弾を開催しています。キャンペーン期間中に本人確認審査を完了、または初回入金を行うと合計20ドルのキャッシュバックを受け取れます。
update2024.04.19 21:00

Bybitの新ローンチパッドに仮想通貨PBUXが登場!参加方法やPlaybuxの独自トークンについて解説

Bybitのローンチパッドに仮想通貨PBUXが登場します。PBUXは、エンターテインメントWeb3.0プラットフォーム「Playbux」の独自トークンです。計測開始日時は2024年4月18日午前9時からです。
update2024.04.18 21:00

XS.comが賞金総額100万円のデモトレード大会「Lucky Contest」を開催!

海外FX業者のXS.comが、2024年4月29日よりデモトレード大会「Lucky Contest」を開催します。上位5名などには総額100万円の賞金が贈られます。
update2024.04.17 20:00

仮想通貨OMNIの将来性は?ロールアップを統合するレイヤー1ブロックチェーンについて解説

仮想通貨OMNIは、イーサリアムのロールアップを統合するブロックチェーン、Omni Networkのネイティブトークンです。Omni Networkを使用すると、イーサリアムの流動性とユーザーにアクセスできるグローバルアプリケーションを構築できます。
update2024.04.16 21:00

メタマスクにリップル(XRP)は送金できる?メタマスクの対応ブロックチェーンについて解説

メタマスク(MetaMask)は、複数の仮想通貨(暗号資産)を管理できる人気の高い仮想通貨ウォレットですが、メタマスクにリップル(XRP)は送金できるのでしょうか。
update2024.04.16 20:00
youtube youtube

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル