Select Language

ブローカー各社、万全なブレグジット対応策を模索

ブローカー各社、万全なブレグジット対応策を模索

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2022.07.08 17:03
ブローカー各社、万全なブレグジット対応策を模索

update 2022.07.08 17:03

ポンドの急変動に備え、レバレッジ低減などの安全策を導入

英国の命運を決すべく、英国テレサ・メイ首相率いる英国政府とEU(欧州連合)との間で合意された離脱協定案の議会採決が、1月15日に行われた。金融業界においても、議会採決前後におけるポンド相場の急変動に備え、各社独自の安全策の整備を進めている状況だ。

この度の英国下院議会採決は、メイ首相が望まないシナリオである、離脱協定案が否決され2度目の国民投票へと踏み込む可能性が浮上していることから、世界中の市場関係者が固唾を飲んでその動向を注視していた。

主要通貨ペアの価格が急変動することで、ブローカーやトレーダーにとっては、スプレッドやスリッページの拡大、強制ロスカットなどFX取引をするうえで非常に困難な局面に直面する可能性がある。2016年6月に、英国がEUからの離脱か残留かを問う歴史的な国民投票が行われた際には流動性が枯渇し、多くのブローカーが顧客の安全な取引を行うべく、その対応に苦慮した経験を持つ。更に2015年まで遡れば、スイスの中央銀行であるスイス国立銀行が突如政策変更を行い、ユーロ/スイスフランの上限撤廃を発表したことをきっかけとしたスイスフランショックにより、主要通貨ペアの価格が急変し、ブローカーやトレーダーが多額の損失を負うことになった。特に、大手海外FX・CFDブローカーであるFXCM Group, LLC【以下、FXCM】は、スイスフランが過去最高水準に急騰したことを受け、FXCMの株価が88%急落の1株1.49ドルに沈み、巨額の損失を被る結果となっている。

これらの苦い経験から、多くのブローカーが離脱協定案の採決に絡み、ポンド相場の急変動に備えるべく、安全策を講じているのだ。リスクを低減すべくレバレッジ制限をかけたり、ポンド相場の急変動を警告したりするブローカーもいる。過去に辛酸をなめさせられた経験を持つFXCMでは、1月11日午後3時(米国東部標準時)に必要証拠金を引き上げることで、英国の離脱協定案採決に絡み、予想されるボラティリティの高まりに備えると、スポークスパーソンはコメントしている。

また、その他のブローカーのブレグジット関連対応策を探ると、デンマーク拠点の投資銀行Saxo Bank Groupは、2018年12月には既に独自の安全策を導入し、当初12月11日に行われる予定であった離脱協定案の採決に備える形で証拠金率の変更を行っている。当初個人投資家向けのポンド通貨ペアの証拠金率は3.33%であったが、投票前後には5%まで引き上げられている。また、証拠金維持率に関しても1.66%から4%へ、プロフェッショナルトレーダー向けは2.5%から4%へとそれぞれ引き上げることで不測の事態に備えると共に、引き続きブレグジット情勢を注視するとしている。英国の大手FX・CFDブローカーであるCMC Markets UK Plcも、市場で不透明感が高まっている間適切なリスク管理を行うべく、1月14日の終わりから翌日まで一時的に必要証拠金を引き上げる安全策を敷くとコメントしている。

加えて、Dukascopy、Vantage FX、 GKFX、Amarkets、Admiral Marketsが、レバレッジ制限をかける一方で、XTB、Forex Club、IC Marketsは相場が急変動する可能性に関して周知徹底を図っている。中でもDukascopyは、英国株式インデックス(GBR.IDX/GBP)、ブレント原油先物(BRENT.CMD/USD)、軽油先物取引(LIGHT.CMD/USD)の最大レバレッジを30倍に引き下げると共に、主要ポンド通貨ペアの全てに例外なくレバレッジ制限を課している。そしてVantage FXでは、ポンド/米ドル、ポンドクロス、英国FTSE100株価指数(UK100)は最大レバレッジを100倍から半分の50倍へ引き下げ、Admiral Marketsに関しては、プロフェッショナルトレーダー向けのFXおよび一部のコモディティ商品の最大レバレッジを200倍までに制限している。また、チェコ・コルナとロシア・ルーブルを除く全ての通貨ペア、金、銀、WTI、ブレント、金ECN口座(XAUUSD-ECN)、銀ECN口座(XAGUSD-ECN)はレバレッジ制限を敷き、インデックス及び一部の先物商品に関しては最大レバレッジを100倍とするとのことだ。更にGKFXでは、全ての金融商品に関して、未決済ポジション及び新規注文は最大レバレッジ100倍とし、AMarketsは最大レバレッジを1,000倍から500倍に引き下げている。これらのことから、ブローカー各社は、顧客の安全な取引環境を確保すべく、独自のリスク管理対応策を粛々と整備している状況と言えよう。

なお、離脱協定案は英国下院にて賛成202票、反対432票の歴史的大差で否決されている。そして、野党がメイ政権に対し内閣不信任案を提出している一方、メイ首相による超党派の協議開始も伝えられてもおり[1]、ポンド相場はブレグジット関連のニュースヘッドラインに振り回されている現状である。ブローカー・トレーダーにとっては、引き続き予断の許さない展開が続きそうだ。

release date 2019.01.16

出典元:

ニュースコメント

市場に混乱を招くブレグジットの行方は

先日、テリーザ・メイ首相が2年かけてEUと合意した離脱協定案が大差で否決した直後、外国為替市場では、ポンドが一時ドルなどに対して値下がりした。しかしその後、野党が提出した内閣不信任決議案が否決される見通しと伝えられたことにより、英国政局の混乱は限定的だという見方などから、ポンドは買戻しされ、値上がりに転じている。今後、英国は離脱の延期(現時点での期限は3月29日)を決定するのか、または2度目の国民投票を行うのか、はたまた合意なき離脱となってしまうのか、決断の時は刻々と迫っている。なお、EU司法裁判所は、もしも英国が離脱決定を覆す場合、他の27加盟国の許可は必要ないが、離脱延期を求める場合には27加盟国の同意が必要との判断を下している。英国のEU離脱による世界経済の減速への懸念が広がる中、いよいよ2か月後に迫ったブレグジットだが、まだまだ市場の波乱は続きそうだ。


Date

作成日

2019.01.16

Update

最終更新

2022.07.08

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

arrow
プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

仮想通貨USUALの将来性は?RWA活用のステーブルコインプロトコルを解説

仮想通貨USUALは、ステーブルコインプロトコル「Usual」のガバナンストークンです。Usualは、BlackRockなどからRWA(現実資産)を集約してステーブルコインを発行し、その収益をコミュニティに再分配するプロトコルとして注目を集めています。
update2024.11.20 20:00

Milton Marketsが2024年11月より最大100%分入金ボーナスを開催

Milton Marketsで期間限定の100%入金分ボーナスキャンペーンが開催されます。当記事では100%入金分ボーナスの概要や、注意点を中心に解説していきましょう。
update2024.11.20 19:30

スマホ版MT4のやさしい使い方ガイド~iPhone&Androidの基本操作~

この記事では、優先的に押さえておきたいMT4アプリの機能を5つのグループにまとめ、iPhone版とAndroid版での使い方を解説します。「基本操作を手っ取り早く確認したい!」という方はぜひご活用ください。
update2024.11.20 19:00

ZoomexがクリプトバトルZを開催!毎週開催の取引大会で現物USDTやボーナスを獲得

2024年11月1日、海外取引所のZoomex(ズーメックス)が、取引大会シリーズ「クリプトバトルZ」を開催しました。ラウンドごとの特典総額は3,480ドル相当です。当記事では、クリプトバトルZの詳細や参加方法、注意点を解説します。
update2024.11.15 20:00

ゴールドラッシュXMは本当に儲かるのか?ほぼ破綻リスクゼロのEAの実力は

ゴールドラッシュXMのランディングページで謳われている「1ヵ月で取引資金が2倍に」、「破綻リスクはほぼゼロ」という宣伝文句に違わぬ実力が備えられているのか、フォワードテスト・バックテストを実施して検証しました。
update2024.11.14 20:30

Titan FXがブラックフライデーキャンペーンを開催!取引でキャッシュバックが付与

Titan FXが、2024年11月25日(月)からブラックフライデーキャンペーンを開催します。今回のキャンペーンでは、FX通貨ペア銘柄またはゴールドを1ロット取引するごとに500円のキャッシュバックが付与されます。
update2024.11.14 20:00

XMTradingが仮想通貨CFDのスプレッドを縮小!どのくらい狭くなったか検証

2024年10月25日にXMTradingが仮想通貨CFDのスプレッドを縮小しました。この記事では、BTCUSDとETHUSDのスプレッドの計測結果やほかのFX業者と比較した結果を解説します。
update2024.11.14 19:30

Milton Marketsが11月の1万円FXチャレンジとXリポストキャンペーンを開催!

Milton Marketsで、11月の1万円チャレンジが開催されます。この記事では、開催期間や上位入賞の条件、これまでの1万円チャレンジと変わった点などを解説します。
update2024.11.14 19:00

XMTradingがお歳暮プロモを開催!100%入金ボーナスを付与

海外FX業者のXMTradingが2024年10月15日から11月15日までお歳暮プロモを開催することを発表しました。キャンペーン期間中に対象口座へ入金すると、100%の入金ボーナスが付与されます。新規・既存ユーザーの両方が対象です。
update2024.11.12 19:30

Zoomexがあったか冬支度応援キャンペーンを開催!総額76万円相当のビットコインとAmazonギフト券がもらえる

Zoomex(ズーメックス)が、あったか冬支度応援キャンペーンを開催しました。各種条件をクリアすると、総額76万円相当のビットコインとAmazonギフト券を獲得できます。キャンペーン開催期間は、2024年11月19日〜11月25日までです。
update2024.11.07 19:30
youtube youtube

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル