作成日
:2019.01.16
2021.08.31 15:27
ニュージーランドを拠点にする仮想通貨取引所Cryptopiaは、ハッキングにより大きな損出を被ったことを明かしており、同時に緊急のメンテナンスを実施していることを今月14日にツイートした。
メンテナンス実施に伴い、Cryptopiaでは、安全が確保されるまでは全ての取引が停止されるということも併せて発表している。Cryptopiaは、この発表から12時間を目処に現状の確認と問題解決に取り組むとしたが、ユーザーからは、現状に関する十分な情報が開示されていないことに不満の声があがっているようだ。これを受けてか、Cryptopiaは正式な回答として、今回の被害はセキュリティの侵害によるものだったとだけ伝えている。この件に関しては、ニュージーランド警察とHTCC(High Tech Crime Consortium)により既に捜査が進められているようだ。
2018年は様々な取引所でハッキングの被害が発生しており、被害総額は合計10億ドル相当にも達している。異なる手口での盗難のケースも考慮すると、仮想通貨に関連する犯罪の被害は依然増加傾向にあるという。例えば、2019年に入って、アイルランドの首都、ダブリンで利用されているルアス(Luas)と呼ばれる路面電車システムのウェブサイトがハッキングされており、Eメールなどの顧客情報を公にしないことと引き換えに、犯人が1ビットコイン(Bitcoin)の送金を求めるという事件などが発生している。ちなみにルアスのウェブサイトはまだオフラインの状態になっているが、地元政府の技術部門が復元に成功したことを明らかにしている。
また、別のハッキング被害の例として、今月5日、大手取引所のコインベースにおいて、イーサリアムクラシック(Ethereum Classic)【以下、ETCと称す】が51%攻撃を受けていることを背景に、同通貨の入出金を一時的に停止したことが挙げられる。加えて、同じくETC絡みのハッキング被害がGate.ioでも発生しており、4万ETC(22万ドル相当)の資金を失ったことも報告されている。その後、Gate.ioは、ハッカーから10万ドル相当の仮想通貨が返還されたことを発表しているが、完全なる問題解決には至っていない。この件は、仮想通貨のセキュリティに潜む脆弱性を証明するための、ホワイトハットハッカー(ハッキング技術を善良な目的に駆使するハッカー)による善意での行為であったとの見方もあるが、返還が全額ではなかったことも含め真意は闇の中である。
2019年に入っても仮想通貨のハッキング被害は収まる気配がないが、取引所にはセキュリティの強化とユーザーへの誠実な対応を継続することを期待したい。
release date 2019.01.16
Cryptopiaは、多くの種類のアルトコインが取り扱われていることで有名で、2018年時点では400もの通貨ペアが上場されていた。一時期は、まだ値上がりしてないマイナーなアルトコイン(草コイン)を買い求める投資家に人気の取引所となり、日本国内からの利用者も少なくなかったという。また、Cryptopiaは、ジークラシック(Zclassic)と呼ばれる匿名通貨を取り扱っている数少ない取引所として知られており、昨年2月には、ビットコインとジークラシックの共同ハードフォークによって誕生したビットコインプライベート(Bitcoin Private)のエアドロップ獲得を狙う投資家の取引で盛り上がった。バイナンスやコインベース、Huobiなどと肩を並べる大手取引所とまではいかないものの、Cryptopiaは、それなりに知名度や実績がある仮想通貨取引所だけに、今回のハッキング被害はショックな出来事となっただろう。セキュリティやブロックチェーン監視技術が向上しているとは言え、前述の通り仮想通貨盗難の被害は増え続けており、取引所単位での対策強化の重要性は高まっている。
作成日
:2019.01.16
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
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