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シカゴ・ボード・オプション、欧州清算機関EuroCCPを買収

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update 2021.08.31 15:29
シカゴ・ボード・オプション、欧州清算機関EuroCCPを買収

update 2021.08.31 15:29

欧州市場での株式取引及び決済サービスの拡充を進める

世界最大のデリバティブ取引所であるシカゴ・ボード・オプション(Cboe Global Markets, Inc., 本社:400 S LaSalle St. Chicago, IL 60605, USA[1])【以下、CBOEと称す】は12月10日、欧州全域をカバーする認可中央清算機関(Central Counterparty)【以下、CCPと称す】であるEuroCCP(World Trade Center Tower I, Level 3 Strawinskylaan 1847 1077 XX Amsterdam The Netherlands[2])の買収で最終合意に達したことを明らかにした。

現在、Cboe Europeとユーロネクスト(Euronext)、ナスダック(Nasdaq)、ABNアムロ・クリアリング・バンク(ABN AMRO Clearing Bank)、DTCC(Depository Trust & Clearing Corporation)の5社が、EuroCCPの株式を20%ずつ保有している。ユーロネクストによると、同社が保有するEuroCCPの株式のうち20%を、約900万ユーロ(約996万ドル)でCBOEへ売却する契約を締結したほか、他の株主も同様に株式売却を進めているという。CBOEは、規制当局による承認とEuroCCPの追加コミットメントラインの調整を経て、2020年上半期の買収完了を見込んでいる。

CBOEは、EuroCCPの買収が長期的には収益を生み出すものと見ているが、向こう3、4年間に関しては買収が収益の圧迫要因となり、一株当たり当期純利益(EPS)は2020年と2021年に、0.08ドルから0.10ドルの間で推移すると予想している。なお、買収金額は明らかとされていないものの、CBOEは現金により買収する模様だ。

EuroCCPの買収に際し、CBOEの会長兼CEOのEd Tilly氏とCBOE EuropeのCOOであるDavid Howson氏は、それぞれ以下のようにコメントしている。

我が社が欧州の有力株式決済機関を買収したことは、同市場にて成長戦略を遂行する上で大きく前進したことになります。我々はEuroCCPの買収により、現行の欧州株式事業を強化すると共に、トレーディング及びデリバティブ決済を含む事業の分散化を図ることができると確信しております。我が社にEuroCCPを正式に迎え入れることを楽しみにしております。

Ed Tilly, Chairman, President and Chief Executive Officer of Cboe Global Markets - Cboeより引用

市場をリードする汎欧州株式決済機構のEuroCCPは、欧州資本市場において効率的な決済と競争力あるトレーディングサービスを提供するうえで、必要不可欠な役割を果たすと考えております。我々は欧州全域の全てのお客様に対し、これらのサービスを通じたメリット提供の維持・拡大にコミットいたします。効率的で活性化された汎欧州市場インフラの構築に向け、我が社の革新的なソリューションや強固な顧客基盤を活用することで、EuroCCPが更なる成長を遂げることに対して楽観的に見ております。

David Howson, Chief Operating Officer of Cboe Europe - Cboeより引用

なお、CBOEはUBSと提携し、流動性プール機能を強化するなど、積極的に業容拡大を図っている。そして今回、CBOEは欧州市場での株式取引及び決済サービスの拡充に向けEuroCCPを買収したことで、更なる顧客取引の拡大が期待できそうだ。

release date 2019.12.11

出典元:

ニュースコメント

企業買収を通じた成長戦略を遂行する証券取引所グループ

今回CBOEが買収に漕ぎつけたEuroCCPが手掛けるサービスである中央清算業務は、欧州市場インフラ規則(EMIR)や非清算店頭デリバティブ取引に係る証拠金規制(UMR)などの規制強化をきっかけとして、欧州市場において市場拡大が見込まれる有望分野の一つだ。CBOEは、欧州の中央清算業務で一定のプレゼンスを誇るEuroCCPを買収することで、同市場で効率的な市場拡大を模索していると推察される。CBOEと競合する他の証券取引所グループの動向を探ると、ユーロネクストがオスロ証券取引所グループを買収したほか、クリアストリームがAusmaqを買収している。また、欧州を代表するロンドン証券取引所グループも、成長事業と位置付ける情報サービス分野においてリフィニティブ(Refinitiv)を買収するなど、各証券取引所グループがグローバルベースでM&A(企業の合併・買収)を通じた成長戦略を加速させている状況だ。顧客獲得競争が激しさを増すなか、各証券取引所グループが利益成長を図るべく、買収先企業と連携して如何なるソリューションを開発するか注目したい。


Date

作成日

2019.12.11

Update

最終更新

2021.08.31

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

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プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

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