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Kik、ICOの正当性をめぐる問題で事業を停止

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update 2021.08.31 15:29
Kik、ICOの正当性をめぐる問題で事業を停止

update 2021.08.31 15:29

今後はKinの仮想通貨関連事業に注力する方針

米国証券取引委員会(US Securities and Exchange Commission)【以下、SECと称す】とのICO(イニシャルコインオファリング)による資金調達の正当性をめぐる論争が続く中、Kik Interactive【以下、Kikと称す】は、同社のメッセージングサービス事業を停止することを発表した。[1]

CEOのTed Livingston氏によると、KikはSECとのICOをめぐる裁判が原因で同社のメッセージングサービス事業を停止することを余儀なくされており、今後は子会社のKinが推進する仮想通貨関連事業に注力する意向だという。この決定に伴いKinは70名の従業員を解雇し、19名のコアメンバーでの再出発を試みているようだ。2017年初めにKikはKinコイン(Kin Coin)のICOを実施したことで1億ドルの資金到達に成功したが、SECはこれが未登録の有価証券を利用した公募に該当すると主張している。

今回の事業停止に関する決定に対して、Livingston氏は次のようにコメントした。

SECとの18カ月間のやり取りの後、当局が我社に与えた選択肢は、Kinコインを証券として取り扱うか、法廷で戦うかのどちらかでした。SECはほぼ全ての仮想通貨を証券として定義しようと目論んでいるため、我社は前進して戦うという判断を下したのです。Kinコインは数十種類の独立したアプリケーションで数百万人に利用される通貨であり、このエコシステムを拡大することはより大きな挑戦となるでしょう。

Ted Livingston, CEO of Kik - Mediumより引用

今年6月にSECがKikを提訴して以来、Kinコインの価値は1通貨あたり0.000036ドルから0.0000105ドルにまで急落している。一部では技術的な観点からKinの事業も閉鎖に追い込まれているとの報道もあり、同社もシステムの再構築に着手した事実を正式に認めているが、今後も同社の取り組みには注目していきたい。

release date 2019.09.24

出典元:

ニュースコメント

米当局と仮想通貨業界の対立構造に変化

これまでKinはSECへの対抗で基金を設立するなど、当局が不当に権力を利用していることを強調し、業界関係者やコミュニティの賛同者と共に徹底抗戦する構えを見せている。過去にSECがICOプロジェクトに罰金を科した経緯があるため、このKinの活動は比較的多くの支持を得ており、同社は5億ドルの裁判費用を捻出することに成功したという。しかしながら、今年1月にはSECへの登録免除を利用したICOが急増していることや仮想通貨業界の新しいロビー団体が成立したことが報道されるなど、最近では当局の規制に抵抗する仮想通貨業界のやり方にも少なからず変化が現れ始めている様子がうかがえる。Facebook(フェイスブック)のリブラ(Libra)をはじめとする世界的なプロジェクトが台頭し、トランプ大統領が仮想通貨を禁止する可能性も否定できないが、米政府による実態に沿った規制環境の整備が進めば、仮想通貨市場の安定性は飛躍的に向上すると言えるだろう。


Date

作成日

2019.09.24

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

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