作成日
:2019.08.20
2021.08.31 15:30
米国で2番目の規模を誇る銀行であるBank of America(本社:Bank of America Corporate Center, 100 North Tryon Street, Charlotte, NC 28255
)【以下、BofAと称す】が、仮想通貨ウォレットの開発に向けて特許を申請したことが明らかになった。報道によると、これまでBofAはブロックチェーンに関する特許を60件以上申請しており、今回、新しく米国特許商標庁(US Patent and Trademark Office)にMulti-Tiered Digital Wallet Securityというタイトルで特許申請を行ったという。申請の中でBofAは、このテクノロジーは既存の仮想通貨ウォレットと比較して、より安全かつ安心な仮想通貨管理を実現できると説明している。
BofAは高いユーザービリティやプライバシーを兼ね備えた仮想通貨ウォレットの開発を試みており、トランザクションを完結させるために、パスワードおよび生体認証データの入力を必須とするマルチシグ(マルチ・シグネチャ)の実装も計画しているようだ。更にBofAは特定の地域以外からのパスワード入力をブロックするセキュリティシステムを導入し、このマルチシグを軸に秘密鍵の流出を防ぐ仕組みを構築しようとしている。今回の申請でBofAは、この仮想通貨ウォレットが抽象化レイヤーによる多層構造だということを示しており、P2P(Peer-to-Peer、個人間)の分散型ネットワークに関連づけられたトークンやその他資産の保有に対応する可能性を示唆した。
BofAは米国で最も多くブロックチェーン関連の特許を抱える企業となっており、その数は大手ITベンダーのMicrosoft(マイクロソフト)をも凌ぐという。一方でBofAはクレジットカードを利用した仮想通貨の購入を禁止するなど、仮想通貨市場から距離を置く動きも見せているが、どのようなアプローチを取るのか、今後の展開に注目していきたい。
release date 2019.08.20
近年、大手IT企業や金融機関の仮想通貨市場参入が進んだことから、ブロックチェーンや仮想通貨関連の特許申請が爆発的に増加しており、各国政府を巻き込んで世界的なステーブルコイン開発競争に発展しているようだ。特に中国では、同国の中央銀行である中国人民銀行がリブラに対抗する独自仮想通貨を開発するために、政府が研究機関を立ち上げるなど、国をあげての取り組みが推進されている。これに加えてCrypto Expo Asiaが開催されるシンガポールでは、巨額な投資マネーがフィンテック市場に流れ込んできたこともあり、テクノロジーベンチャー企業の動きが活発になっている状況だ。対する米国ではFacebook(フェイスブック)やIBM(アイビーエム)、JPモルガンチェースなどが特許数を伸ばしているが、この流れに追従することはできるのか、今後はBofAをはじめとする大手企業の取り組みに期待したい。
作成日
:2019.08.20
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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