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イスラエル、仮想通貨トレーダーの納税が滞る

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update 2021.08.31 15:30
イスラエル、仮想通貨トレーダーの納税が滞る

update 2021.08.31 15:30

銀行が仮想通貨取引所からの入金を拒否

イスラエルでは銀行が仮想通貨取引所からの入金を拒否していることから、仮想通貨トレーダーの納税が滞っており、その未払い額が合計8,600万ドルに達したことが報道によって明らかになった。[1]

これに対してイスラエルの税務当局は、国内ほぼ全ての銀行に取引所からの入金を受け付けるよう促したというが、どの銀行も仮想通貨に関して否定的な姿勢を見せているという。ある銀行では、マネーロンダリング防止(AML)や顧客確認(KYC)に関する懸念から、仮想通貨トレーダーの預金口座が凍結された例なども発生しているようだ。イスラエルにおける仮想通貨取引にはキャピタルゲイン税が適応され、個人であれば25%、法人であれば47%の税率で課税対象となるが、同国ではこのような銀行の対応が納税スキームの障害となっている状況だ。今年5月、イスラエルではDAV.Networkの創設者であるNoam Copel氏が裁判でビットコイン(Bitcoin)は非課税であるべきだと主張したものの、裁判所は仮想通貨を資産だと定義し、イスラエルではビットコインを課税対象とする判決を出した。

イスラエルビットコイン協会(Israeli Bitcoin Association)の顧問弁護士であるJonathan Klinger氏によると、同国の主要な銀行は仮想通貨に関するポリシーを設けるなど、徹底的にリスク回避の動きに出ているという。このようなポリシーが取引所だけでなく、仮想通貨関連のフィンテック企業にも適応されるため、Klinger氏は銀行が仮想通貨関連企業を排除することを画策している可能性があると指摘した。

イスラエル国税庁(Israeli Tax Authority)の前副長官であり、BittaxのCEOを務めるGidi Bar Zakay氏は、銀行の対応に関して以下のようにコメントしている。

過去には仮想通貨関連の資金が受け入れられる場合もありましたが、近年銀行は現地で事業を行う企業および個人に対するポリシーを厳格化したようです。この件に関してはイスラエル銀行(Bank of Israel)のガイドランが必要になるでしょう。

Gidi Bar Zakay, CEO of Bittax - CoinDeskより引用

イスラエルでは個人向け銀行の20%が仮想通貨を全く受け付けないポリシーを掲げており、残りの80%も決して友好的な対応を行なっていないという。商業銀行に関しても状況は変わらず、Zakay氏の仮想通貨に関わる会計事務所でさえも口座開設が認められていない。多くの仮想通貨関連企業がより良い環境を求めてスイスを中心とする国外に逃避しているようだが、当局はこの事態をどのように見ているのか、今後もイスラエル市場での展開には注目していきたい。

release date 2019.08.09

出典元:

ニュースコメント

中東に仮想通貨市場拡大の兆し

先進的なIT市場を抱えるイスラエルだが、仮想通貨の受け入れに関しては、他の中東諸国の影響を色濃く受け、日本や米国、欧州などに比べると、規制環境の整備に大きな遅れを取っているという。最近、中東にもようやく仮想通貨市場拡大の兆しが現れ始めており、例えばバーレーン中央銀行(Central Bank of Bahrain)がRainに仮想通貨取引所としてのライセンスを発給し、同地域で初となる政府公認の取引所が誕生したばかりだ。この流れにドバイをはじめとする周辺国の投資ファンドが反応を示しており、今後、中東の仮想通貨市場に大量のアラブマネーが流入することが予想されている。しかしながら、中東諸国の中には、仮想通貨取引を合法と認めないイランや最高指導者がイスラム法で取り扱いを禁止するエジプトなど、頑なに仮想通貨を良しとしない国も存在する。中東における仮想通貨市場の発展のためには、金融網を含めた地域全体での協力が必要になると考えられるが、イスラエルおよび中東諸国はどのような方針を示すのか、今後も同地域での動きを見守っていきたい。


Date

作成日

2019.08.09

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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