作成日
:2019.07.23
2021.08.31 15:30
インターコンチネンタル取引所(Intercontinental Exchange)が手がける仮想通貨取引プラットフォームのBakktは、ビットコイン(Bitcoin)を対象とした先物契約の提供に向けて、テストフェーズに突入したことを先日Twitter(ツイッター)で公表した。
今回、Bakktは日次と月次、2種類のビットコイン先物のローンチを計画しており、ニューヨーク証券取引所でもクリアリング業務を担当するICE Clear USがこれらの当初証拠金や変動証拠金の預託を引き受けることが決定しているという。Bakktによるビットコイン先物の受け入れテストフェーズでは、1ビットコインあたりの先物契約の価格が2.5ドル間隔のティック幅で変動するように設定され、その動作の正確性などが確認されるようだ。
サービス開始に先駆けてBakktのCOO(Chief Operation Officer)であるAdam White氏は、同社のビットコイン先物が提供するメリットを表す図を共有した。その中には、ブロック取引や年末にかけての手数料免除、マーケットメーカー(流動性を提供する機関投資家)向けのインセンティブプログラム、ISV(Independent Software Vendor)および主要なブローカー企業との機能統合などが含まれている。現在、Bakktは仮想通貨企業向けライセンスの申請を米商品先物取引委員会(US Commodity Futures Trading Commission)【以下、CFTCと称す】へ行っているが、当局はセキュリティの脆弱性や価格操作など仮想通貨特有のリスクを懸念し、その判断を先送りにしている状況だ。
先日、Bakktはクリアリング業務に関わるリスクをカバーする資金として3,500万ドルを用意したと発表しており、同社のCEOであるKelly Loeffler氏はこれが安全性の担保になるとコメントした。更にBakktは仮想通貨向けのカストディ企業を買収し、ニューヨーク州で正式なカストディ企業としての認定を目指すほか、同時にBNY Mellonと共同で秘密鍵を地理的に分散して保管するシステムを構築している。現状、Bakktのサービス開始時期は未定となっているが、今後は早期立ち上げに期待しながら進捗を見守っていきたい。
release date 2019.07.23
現在、LedgerX(レッジャーX)およびBakktがローンチを目指している現物決済のビットコイン先物は仮想通貨市場の主な関心事となっており、先月末、LedgerXがCFTCからDCM(指定契約市場)としての認定を受けた際には、ビットコイン価格が9.2%もの上昇を記録した。価格変動の要因はそれだけではないものの、ビットコイン先物は現物資産の膨大な需要を生み出すことが予想されるため、LedgerXやBakktの去就が無視できないほどに強い影響力を持ち始めているのは確かだ。今回、Bakktが受け入れテストを開始したことに関しては特に重大なインパクトとならず、ビットコイン価格は小幅な下落を記録し、1万ドルラインを少し割る動きを見せるのみに留まった。仮想通貨市場の焦点は取引所の動向よりも当局の発表に集まっていると言えるが、Bakktはビットコイン先物の提供を実現することができるのか、今後のCFTCの動きに注目していきたい。
作成日
:2019.07.23
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
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