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米上院、Facebookのリブラに対する公聴会を開催

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update 2021.08.31 15:30
米上院、Facebookのリブラに対する公聴会を開催

update 2021.08.31 15:30

2時間半にわたる質疑応答が繰り広げられる

先日、米上院ではFacebook, Inc.(本社:1 Hacker Way, Menlo Park, California 94025[1])【以下、Facebookと称す】の仮想通貨プロジェクトであるリブラ(Libra)に対する公聴会が開催された。

この公聴会にはリブラの責任者であるDavid Marcus氏が出席し、同仮想通貨の信頼性やFacebook(フェイスブック)が抱えるプライバシー侵害の問題など、2時間半にわたる質疑応答が繰り広げられたという。議長を務めたMike Crapo上院議員は、米国および世界各国の規制当局がリブラに対して疑念を抱いていることに切り込み、マネーロンダリングや金融不安を助長する可能性があると言及した。一方、Crapo氏はリブラが後進国を中心とした17億人の金融ソリューションとなる可能性があることにも触れ、Facebookのビジョンを「賞賛に値する」と評価し、適切に運用できれば重大な利益をもたらすと述べた。しかしながら、リブラが新しい技術を基礎とすることから、Crapo氏は既存の規制や法律がどのように適応されるのかが明確になっていない点を指摘しており、特に個人情報保護の観点から従来の金融機関などを対象としたプライバシー規制に代わるものが必要だと強調した。

Sherrod Brown上院議員は、一貫してFacebookの取り組みに反対し、「Facebookは危険である」との意見を述べた上で、このプロジェクトの凍結を求めるなど激しい議論を繰り広げた。Brown氏はFacebookの事業が破壊的で実際には何も生み出していないとの主張を展開しており、例えばインターネット上で情報を拡散することを容易にしたFacebookが、新聞業界から利益を奪い、適切なジャーナリズムのあり方を否定することにより米国の政治を二極化しているとの見解を示している。加えてBrown氏は、FacebookのCEOであるMark Zuckerberg氏が、過去に「Facebookは会社というよりも政府である」と発言したことについて言及し、同社が信用に値しない存在であると論じている。

これに対してMarcus氏はリブラの安全性を訴えると同時に、規制環境が整うまではローンチを行うつもりがないことを伝えた。また、リブラがもたらすメリットに関してMarcus氏は、家族間における国際送金の例を挙げ、これまでの方法では金銭的な費用や時間がかかりすぎていることを説明し、このプロジェクトが安価な手数料で瞬時の送金を実現する手段になるとアピールした。プライバシー侵害の問題に関してMarcus氏は、リブラの運営企業であるカリブラ(Calibra)がコンプライアンスを遵守することを明言しており、現在、FacebookおよびLibra Associationの参加企業、子会社間でどのようにデータを分離するか検討を進めると回答している。加えてMarcus氏は、リブラの立ち上げが失敗した際、米国が仮想通貨分野でのイノベーションをリードする存在とはなれず、代わりに他国が主導する仮想通貨が世界に流通することになると警告を促した。

Marcus氏はFacebookの仮想通貨関連法人がスイスに設立されたことに対し、WHO(World Health Organization)やWTO(World Trade Organization)、国際決済銀行(Bank for International Settlements)など、世界的な組織の本部が存在する国際的に重要な場所であることが理由であり、決して米当局による監視から逃れるためではないと述べた。事実、Libra Associationは、米国に本拠を置く金融犯罪捜査網(FinCEN)に登録することを視野に入れており、その場合、米当局の監視下で活動を行うこととなる。それ以前にMarcus氏は、Facebookとカリブラの情報が共有されないことを強調したが、過去にユーザーの個人情報を広告事業に利用していた経緯から、議会の懸念を払拭するには至らなかったようだ。

このような主張に対してPat Toomey上院議員は、リブラが建設的なイノベーションとなるのかを判断するには議論が不十分であり、今すぐ何かアクションを起こさなければならないという結論に達するのは時期尚早だとの考えを示した。Toomey氏はリブラに関する取引データの運用や準備金として集められた利息収入をLibra Associationの参加企業に分配するスキームを疑問とし、Marcus氏に回答を求めたが同氏が懸念する通り現時点での具体的な回答は得られなかった。その他にもリブラの換金性やその保証、マネーロンダリングなどのリスクについての疑問が挙がったが、Marcus氏は既存の金融法に従いマネーロンダリング対策(AML)やKYC(顧客確認)を徹底するとの方針を呈するのみに留まった。

公聴会の最後でBrown氏はMarcus氏に、過去にZuckerberg氏が信頼は原始的なものであると発言したことについて言及し、人々の信頼を裏切ったFacebookの姿勢に問題があると痛烈に批判している。Marcus氏は信頼を得るために努力するだけだと述べたが、議会はこの公聴会の内容をどのように捉えているのか、今後の動きにも注目していきたい。

release date 2019.07.17

出典元:

ニュースコメント

公聴会の結果を受けてビットコイン価格が暴落

2019年に入り復調の兆しを見せるビットコイン価格は1万3,000ドルを超えるほど上昇し、ビットコイン価格が2万ドルに達する可能性も囁かれるほどであったが、ここ数週間はレンジ相場の様相を呈しており、マーケットセンチメントは弱気な方向へと流れつつあった。今回、リブラに対する公聴会の結果を受け、仮想通貨コミュニティの悲観的な見方が決定的になったことから、ビットコイン価格は最大12%の下落を記録し、1万ドルの大台を割って9,500ドル付近にまで下げてきている。同時に主要なアルトコインであるイーサリアム(Ethereum)およびライトコイン(Litecoin)も13%の急落に見舞われており、その影響が仮想通貨市場全体へと波及している様子が見て取れる。米議会のネガティブな反応は、個人情報管理問題に対する50億ドルの制裁金を課すとのニュースと併せて、Facebookの株価を2%近く押し下げる要因となったが、仮想通貨を含む投資市場は同社の早期挽回に期待していることだろう。


Date

作成日

2019.07.17

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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