作成日
:2019.07.17
2021.08.31 15:30
地元メディアの報道によると、世界最大の取引所であるBinance【以下、バイナンスと称す】は、現地のパートナー企業と協力し、新しく韓国市場への進出を試みていることが明らかになった。
バイナンスのCEOであるChangpeng Zhao氏は、この件に関して多くを語らなかったが、韓国のパートナー企業と協業している事実を認め、広報担当者もブロックチェーン企業であるBxBと協議していることを公表している。バイナンスは韓国ウォンベースのステーブルコインを開発するBxBのディレクターである人物にも接触し、準備を進めているようだが、韓国に子会社を設立するかについては未定だという。
しかしながら、一方ではバイナンスがBinance LLCという名称の法人を韓国に設立したとの報道もあり、ソウルでコンプライアンス責任者を募集している事実と併せ、同社が現地法人の立ち上げを模索している様子が漏れ伝わってきている。その求人の内容には、KYC(顧客情報)やマネーロンダリング対策(AML)、テロ資金供与対策(CFT)などの業務をサポートできる人材を求める旨の記載があることから、今の所、バイナンスが韓国でのオペレーションに直接携わる方針であると推測できる。
今月初め、バイナンスはシンガポールでもサービスを開始し、ジャージー代官管轄区やウガンダに続きグローバル市場への事業展開を積極的に押し進めている。既にバイナンスはスポット取引および証拠金取引で17億ドルの日間取引量を計上しているが、StablyのステーブルコインをBinance DEXに上場したり、仮想通貨を対象とした先物取引など、新しい分野のサービス開始も予定しており、更なる事業拡大を視野に入れている状況だ。韓国市場は巨大な仮想通貨需要を抱えているため、バイナンスにとっても重要なプロジェクトとなるが、市場参入を果たすことができるのか、今後の動向にも注目して見守っていきたい。
release date 2019.07.17
これまで韓国の仮想通貨市場では取引所を狙ったハッキング事件が頻発しており、取引所のコンプライアンス基準の引き上げが急務となっているようだ。特にBithumb(ビッサム)やUpbit(アップビット)、CoinOne(コインワン)、Korbit(コービット)等の大手取引所以外は、G20が主導する金融活動作業部会(FATF)が定める仮想通貨ガイドラインの条件を満たせていないため、大幅な改善が求められている。日本と同様、韓国にも自主規制団体が存在し、同国の金融当局と協力して市場環境の向上に努めているが、これらの取引所では実名登録制などのKYCも徹底されておらず、FATFの勧告があれば、国内の200社近い取引所が業務停止に追い込まれる可能性もあるという。世界的な取引所として高いコンプライアンス意識を持つバイナンスの参入は、韓国市場にとってもプラスになると考えられるだけに、当局にとっては歓迎すべき事柄だと言えるだろう。
作成日
:2019.07.17
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
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