作成日
:2019.06.13
2021.08.31 15:26
G20が主導する金融活動作業部会(Financial Action Task Force)【以下、FATFと称す】は、仮想通貨に対する新しいガイドラインを近日中に公表することを伝えた。
FATFの広報担当者であるAlexandra Wijmendra-Daniel氏によると、この新しいガイドラインは、G20加盟国の仮想通貨取引所やカストディ企業、ヘッジファンドなどを対象に規制強化を促すものだという。これまでFATFは国際的なマネーロンダリング対策(AML)やテロ資金供与防止(CFT)を目的に活動を行ってきたが、今回、コインベースやKraken(クラーケン)、フィデリティ投信などの仮想通貨関連企業に対し、1,000ドルまたは1,000ユーロ以上のトランザクションに紐づく送金者と受金者の個人情報を提供するよう求める構えだ。
しかしながら、これらの規制強化はG20加盟国政府の判断に委ねられているのと同時に、ブロックチェーン上に存在する仮想通貨ウォレットのアドレスが正確な個人情報と必ずしも結びついている訳ではないため、現時点で実効性に課題があることは明白だ。したがって、仮想通貨関連企業にコンプライアンスの遵守を求めるには、ブロックチェーン技術の根本的な再構築や取引所間で共通のグローバルシステムを開発する必要があると言える。これに関してKrakenの顧問弁護士であるMary beth Buchanan氏は、テクノロジー活用を視野にいれなければ、20世紀の前時代的な規則を仮想通貨市場に押し付けるだけであると指摘した。
さらにBuchanan氏は、これらの課題を乗り越えるために世界的な取引所と協力して効果的な解決策を模索する中で、企業がコンプライアンスコストの増加に直面する可能性があると言及している。また、コインベースのCCO(Chief Compliance Officer)であるJeff Horowitz氏は、仮想通貨市場に既存の金融規制を適応することで、より多くの人々が個人間取引の利用に走り、取引の透明性が低下する可能性があることを認めた。コンプライアンスの遵守は仮想通貨市場で大きな課題となっているが、G20や各国政府はどのような方法で改善を図るのか、今後の展開を見守っていきたい。
release date 2019.06.13
米国や日本をはじめとするG20の首脳陣は、仮想通貨に関する規制について共同声明を発表しており、世界的な仮想通貨規制の強化を推進することで、犯罪利用の撲滅を訴えている。今月8日にG20サミットの財務大臣・中央銀行総裁会議では仮想通貨に関するセミナーが開催され、日本のインターネットの父と呼ばれる村井純教授を中心に有識者間で議論が交わされた。G20の取り組みに関して村井教授は、各国のステークホルダーが集まって議論する機会を意図的に設ける必要があると述べ、世界的なコンセンサスを形成する重要性について言及した。また、今回のセミナーでは、仮想通貨界では著名な開発者であるAdam Back氏が登壇し、中央政府の規制に依存しないセキュアな仮想通貨システムを構築するアイデアなど、様々な角度からの意見が論じられたようだ。金融活動作業部会のガイドラインは来週にも正式に公開される見通しだが、その内容に注目が集まっている。
作成日
:2019.06.13
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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