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SWIFT、新たな業界標準策定と更なるFX取引自動化を主張

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update 2021.08.31 15:26
SWIFT、新たな業界標準策定と更なるFX取引自動化を主張

update 2021.08.31 15:26

業界全体で協働する体制構築を模索

世界各国の銀行間取引の情報インフラを担う国際銀行間通信協会(Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication)【以下、SWIFTと称す】は12日に発行したレポート内で、FX業界が新たな業界標準を導入し取引の自動化水準を向上させるべく、業界全体の協働を促していることを明らかにした。[1]

SWIFTは「The value of standards in the FX markets(FX市場における業界標準策定の価値)」と題するレポートにおいて、市場参加者に対し、FX業界の発展の妨げになっている非効率性や手続き面などの問題を認識することに加え、国際的な業界標準の策定と取引の自動化を通じてこれらの問題を解消すべきだと主張した。また、加盟銀行に対し強制的な手続き変更を求めるSWIFTスタンダーズ・リリースを参考事例に挙げ、実用的な業界標準を用いることで業務運営及び金融面の効率性が改善される余地は大きく、実現可能性も十分にあるとの認識を示している。ただし、現状はSWIFTが主導するメッセージングフォーマットが十分に機能していることに満足し、FX業界に変革を求める機運が高まってきていないことを問題視しているようだ。なお、グローバルFX市場において巨額取引を行う企業は、高水準の自動化環境がなければ電子メールやファックス、電話などによる取引確認が難しくなることが予想される。そこで、FX業務の運営や規制の変化に歩調を合わせ、新たな業界標準を導入することによる業務効率化の必要性を訴えた。

今回のレポートの発行に際し、SWIFTの証券・FX市場部門ヘッドのJuliette Kennel氏は以下のようにコメントしている。

FX業界では既に高度な自動化が進められておりますが、現状に満足せず残された問題を解決し、より効率的な取引を実現すべく、業界全体で協働していかなければなりません。そこで、より適切な業界標準を導入し高度な自動化を推進することで、グローバルFX市場の全ての取引参加者に業務運営及び金融面に多大なメリットがもたらされると考えております。我が協会は業界と協働して事業運営コストの削減や投資効率の改善、リスクの低下に繋がる業界標準の採用に努めておりますが、業務運営上の障害を取り除くべく、より優れた標準策定に向け業界全体で協働していく体制を推し進めていかなければならないでしょう。

Juliette Kennel, Head of Securities and FX Markets at SWIFT - SWIFTより引用

足元では、VISAが企業間クロスボーダー決済システムをリリースした他、各国政府間においてもMASとカナダ銀行がクロスボーダー決済の実証実験を成功させるなど、国際送金・決済分野において新たな業界標準やソリューションの開発競争が勢いを増している状況である。今回発行されたレポートには、業界の雄であるSWIFTが自ら変革を求める姿勢が表れており、市場全体が協働し画期的なソリューションが生み出されることで、市場参加者にとっては更なる利便性向上が期待できそうだ。

release date 2019.06.13

出典元:

ニュースコメント

ブロックチェーン活用に慎重なSWIFT

ブロックチェーン技術を活用したクロスボーダー送金システムは、低コストでリアルタイムの取引が行えることで多くの金融機関に注目されている。先月には送金サービスで世界第2位の規模を誇るRiaとリップルが提携を発表するなど、業界をリードするリップルは提携企業を着実に増やしているようだ。一方、現在200以上の国と地域で1万1,000以上の企業が参加するSWIFTも、自社でSWIFT gpiと呼ばれる独自サービスを開発し、クロスボーダー送金システムの開発に取り組んでいる。 しかし、SWIFTのグローバルバンキング責任者であるWim Raymaekers氏は、ブロックチェーン技術の高すぎる透明性について言及しており、金融機関同士でのKYCプロセスを確立させない限り、ブロックチェーン技術を利用した送金システムは安全性に疑問が残るとの認識を示している。加えて、これを解決するためにはすべての金融機関がブロックチェーンを採用する必要があると述べ、ブロックチェーン技術の導入に懐疑的な姿勢を表している。今年1月にSWIFTはgpiをR3のコーダに接続する機能検証を実施するなど、ブロックチェーン技術の採用を徐々に推進しているが、世界各国の金融機関と提携する大企業であるが故に、慎重な対応をせざるを得ない状況なのであろう。


Date

作成日

2019.06.13

Update

最終更新

2021.08.31

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

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プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

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