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ベネズエラ大統領が国有銀行にペトロ受入を命令

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update 2021.08.31 15:26
ベネズエラ大統領が国有銀行にペトロ受入を命令

update 2021.08.31 15:26

全ての支店窓口での取り扱い開始を命じる

今月4日、ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領が、国有企業のベネズエラ銀行(Banco de Venezuela)に同国が運用する仮想通貨であるペトロ(Petro)を全ての支店で受け入れるよう命じたことが明らかになった。[1]

Twitter(ツイッター)での報告によると、マドゥロ大統領はベネズエラ銀行の10周年記念イベントでペトロを取り扱う窓口を開設するよう求めたという。最近、マドゥロ大統領は国内でのペトロの利用拡大を積極的に進めており、先月19日には100万人の若者向けにペトロのウォレット口座を開設すると公言し、Digital Bank of Youth and Studentsに9億2,400万ボリバル(およそ9,250万ドル)の資金を割り当てている。

この一連の活動に対してNational Cryptocurrency Association(ベネズエラの仮想通貨協会)の責任者であるJosé Angel Alvarez氏は、法定通貨と仮想通貨が混在するハイブリッド経済を実現するために政府が大胆かつ正しい決断を行ったと述べている。しかしながら、ベネズエラ政府は世界貿易機関(World Trade Organization, WTO)にペトロが米国の経済制裁を回避するための手段となっていることを指摘されており、国際的にも信用を失いつつある状況だ。

米国のドナルド・トランプ大統領は、米国民のペトロの取引を禁止するだけでなく、今年3月には同仮想通貨の運営に加担したとしてロシアのモスクワを拠点とするEvrofinance Mosnarbankに制裁を下している。ハイパーインフレが進行するベネズエラでは、石油を裏付けとするペトロが法定通貨の代替となることが期待されていたが、その思惑とは裏腹に各所で問題や政府に対する不満が噴出しているようだ。

release date 2019.07.05

出典元:

ニュースコメント

仮想通貨導入を進める経済制裁対象国

米国政府は核拡散やテロ行為に対して世界的な包囲網を構築し、現在、北朝鮮やロシア、シリア、イランなどを含む15以上の国と地域に経済制裁を課している。しかしながら、仮想通貨の普及が制裁への大きな妨げとなっているようだ。特に金融制裁の回避策として北朝鮮が仮想通貨を利用していることは広く知られており、北朝鮮政府は韓国や日本、東南アジア、南米を中心とした金融機関や仮想通貨取引所に攻撃を仕掛け、2018年には最大820億円相当の仮想通貨を獲得したと言われている。このように、経済制裁対象国で外貨の代わりに国際取引を実現するための手段としてビットコイン(Bitcoin)などの仮想通貨の利用が活発となる流れの中で、ベネズエラの同盟国でもあるキューバやイランが相次いで仮想通貨の導入を検討すると発表しているが、ベネズエラの例を見ると、ブロックチェーンや分散型ネットワーク上にシステムを構築するだけでは仮想通貨として機能しないことは明白だ。これらの国々が国際社会で孤立していること自体が最大の課題だとも考えられるが、何か秘策はあるのか、今後も経済制裁対象国の動向には注目していきたい。


Date

作成日

2019.07.05

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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