作成日
:2019.07.05
2021.08.31 15:26
仮想通貨市場向けの市場予測サービスを提供するThe TIEが、Twitter(ツイッター)を対象とした感情分析を行った結果、ビットコイン(Bitcoin)やFacebook(フェイスブック)のリブラ(Libra)に関するツイートの大部分が米国から投稿されていることが明らかになった。
The TIEの報告によると、ツイート数の割合では米国が全体の38.9%を記録し、次点で10.5%を占める英国およびそれに続くカナダ、トルコ、インド、オーストラリアと大きく差を付けたことがわかった。また、ツイートの内容に関しても、米国では61.5%の投稿がビットコインに好意的なものとなっており、世界平均である59.8%を上回っている。ビットコイン関連のツイート数で全体の0.5%以上の割合を記録した主要国の中では、順にペルー、マレーシア、インドネシア、ベトナム、イタリアが最も好意的な反応を示した国となったが、反対にベネズエラ、メキシコ、エストニア、ブラジル、アイルランドでは反感的な投稿の割合が多かったようだ。特に最下位のベネズエラでは、自国通貨のインフレをきっかけに仮想通貨への関心が高まっているにも関わらず、ツイートの62%が反感的な内容だったという。
これに加えてThe TIEは、先日Facebookが発表した仮想通貨プロジェクトのリブラに関しても、Twitterの感情分析を行っており、ツイート数で全体の43.8%を獲得した米国がフランス、カナダ、オーストラリアを抑えてトップとなったとの結果を伝えている。この数値は米国のビットコインに関するツイートの割合よりも高く、リブラに対する関心が同国市場に偏っていることを意味するが、その内容は決してFacebookの取り組みを支持するものばかりではない。The TIEによると、以前に比べて否定的な意見は減少傾向にあるが、それでもツイートの54.8%がネガティブな内容となっているようだ。
先日、英国ではFCAがFacebookにリブラの詳細情報を求めるなど、本格的な仮想通貨市場の拡大に対する危機感が高まっており、同仮想通貨に対するネガティブなツイートの割合が最大となっている。英国と比較すると幾分友好的ではあるが、米国やフランスの議会も同様の反応を示しているため、Twitter上でのトレンドは今後のFacebookの対応に大きく左右されることになるだろう。
release date 2019.07.05
企業や要人の発表、メディアのニュース速報、個人投資家の見解など、SNSには様々な情報が集まることから、近年、その情報源としての重要度は増してきていると言えるだろう。実際に2017年頃には、米国のドナルド・トランプ大統領の発言内容に沿って取引を行うトランプトレーダーと呼ばれる個人投資家が登場し、SNSの影響力の高さを世間に印象付けた。また、最近ではビットコイン価格が2万ドルを目指す展望を示していることが話題となっているが、ビットコイン価格高騰の背景には、SNSを通して発信される情報によって投資家にもたらされるFOMO(機会を逃すことを嫌う投資家心理)効果が仮想通貨市場では無視できないほど大きな価格決定要素となっていることが指摘されている。一方、The TIEをはじめとするリサーチ企業は、その本質にいち早く気づき、ビッグデータや自然言語処理技術を駆使してSNS上の情報から市場心理を読み解く分析手法を確立している。その有効性に関しては議論の余地があるものの、既にこの分析手法に従って投資判断を下す新しいタイプのファンド商品などもリリースされており、実用的なサービスとして市場に取り込まれつつあるようだ。今回、The TIEの分析結果は、米国の仮想通貨市場に対する関心の強さを示すものとなったが、これが仮想通貨価格にどのような影響をもたらすのか、今後の展開に注目していきたい。
作成日
:2019.07.05
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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