作成日
:2019.07.04
2021.08.31 15:26
イスラエルのスタートアップ企業であるZenGoは、Facebook, Inc.(本社:1 Hacker Way, Menlo Park, California 94025
)【以下、Facebookと称す】が独自に開発を進める仮想通貨のリブラ(Libra)に対応したキーレスウォレットのソースコードを公開した。Facebook(フェイスブック)の子会社でリブラの運営を担うCalibra(カリブラ)は、専用のCalibra Walletを開発しているが、ZenGoはリブラに対応した初となるサードパーティ製のウォレットをローンチする見通しだ。このウォレットは非カストディアルウォレットに分類され、中央組織に代わってユーザー自身が資金管理を行う仕組みを採用している。
Calibraの責任者でもあるDavid Marcus氏は、リブラのウォレット向けのサービスに関して以下のような見解を示した。
カストディアルウォレットや非カストディアルウォレットなど、互換性があるサービスの中からユーザーは自由にウォレットを選択することができます。つまり、異なるウォレット間でも送金や支払いの受け取りが成立し、ユーザー自身の管理が必要なソフトウェアウォレットの利用も可能となる見込みです。Facebookがリブラネットワークの後ろ盾になっているわけではありませんが、人々がCalibra Walletに好意的な反応を示すことを願っています。
David Marcus, Head of Calibra - Facebookより引用
また、ZenGoのウォレットは、TSS(Threshold Signatures Scheme)という暗号化技術を駆使し、プライベートキーを不要とするキーレスの構造を実現している。運営側の過失による紛失や盗難のリスクを排除するために、プライベートキーの管理はユーザーに委ねられているが、ZenGoは共同署名者として機能することでセキュアなトランザクションを可能にするという。
ZenGoのCEOであるOuriel Ohayon氏は、その機能の特徴について次のように述べている。
このアイディアはプライベートキーの管理におけるユーザーの負担を軽減するという発想で生まれました。もしリブラが広く普及しても、多くのユーザーはバックアップやリカバリー、マルチシグの設定方法さえわからないでしょう。TSSベースのウォレットは、非カストディアルウォレットの煩雑さを排除し、カストディアルウォレットのような体験を提供します。
Ouriel Ohayon, CEO of ZenGo - CoinDeskより引用
Calibraのようなカストディアルウォレットには、パスワード保護や厳格なKYC(顧客確認)プロセスが必要となってくるが、今の所、米国の金融犯罪を取り締まる金融犯罪捜査網(Financial Crimes Enforcement Network)は、非カストディアルウォレットを金融サービとして認識しておらず、ZenGoには同様の基準が当てはまらない。ZenGoのウォレットはビットコイン(Bitcoin)やイーサリアム(Ethereum)など複数の仮想通貨に対応しているものの、現在、リブラのテストネット環境でのみ利用可能な状況だという。Ohayon氏は、リブラが分散型の構造やプライバシー性能に改善が必要だと言及し、同時にZenGoのウォレットに関してもセキュリティ強化を目的としたt out of n分散署名の実装計画があることを明かしている。
FCAがFacebookにリブラの詳細情報を要請するなど、リブラやFacebookの仮想通貨分野での取り組みには、各国政府からの批判の声が上がっているが、世界の規範や経済を大きく変える存在になる可能性があるだけに、今後も同社やZenGoの活動は注意深く見守っていきたい。
release date 2019.07.04
2017年の仮想通貨ブーム以降、仮想通貨取引所や関連サービスを狙ったハッキング被害の件数が飛躍的に増加しており、世界最大の取引量を誇る仮想通貨取引所バイナンスでもハッキング被害が報告され、コンプライアンス基準の引き上げやセキュリティの強化が業界全体の課題として焦点が当てられてきた。しかしながら、近年、大手仮想通貨関連企業を中心に分散型サービスを導入することによるリスク回避の流れが生じ、バイナンスやHuobi(フォビ)などの主要な取引所は分散型取引所(DEX)の立ち上げを実現している。その動きに合わせて仮想通貨ウォレットの分野でも、中央集権型のウォレットサービスからハードウェアウォレット、分散型ウォレットなどに需要がシフトしているという。これによりプライベートキー紛失やソーシャルハッキング(直接個人から情報を盗み出す手段)など、相対的に個人でのセキュリティ対策が重要になりつつあるため、ライトユーザーのリテラシー向上が新たな課題として表面化しているのも事実だ。ZenGoの非カストディアルウォレットは、この課題に切り込むソリューションとなることが予想されるが、将来的に仮想通貨市場に広く波及することを期待したい。
作成日
:2019.07.04
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。
ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。
お問い合わせ先 [email protected]
Milton Marketsが夏トク15%入金ボーナスキャンペーンを開催!
2023.06.21 19:30
XMTradingがF1チームスクーデリア・アルファタウリとスポンサーシップを締結
2023.03.28 20:00
海外FX業者で取引できるエネルギー銘柄は?取引の種類やメリットを解説
2023.02.27 20:00
仮想通貨HOOKとは?将来性は?Hooked Protocolが提供するWild Cashも解説
2022.12.13 21:00
Huobi(旧Huobi Global)は日本居住者向けサービスを停止していない?
2022.12.08 19:30
分散型取引所dYdXの使い方をイチから解説!注意点も紹介
2022.12.01 20:00
免責事項:Disclaimer
当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。
本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。
Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー