Select Language

VISAとマスターカード、FX業界への規制強化を継続

VISAとマスターカード、FX業界への規制強化を継続

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2021.08.31 15:26
VISAとマスターカード、FX業界への規制強化を継続

update 2021.08.31 15:26

オフショアブローカーも機動的な対応が求められる

大手クレジットカード会社のVISAやマスターカードが、グローバルベースでFX・CFD業界への規制強化を継続させている状況だ。クレジットカード会社やGoogleなどのビッグテック、そして各国監督当局が足並みを揃える形で打ち出す規制策の影響を受け、足元ではベラルーシやオフショア市場を拠点とするブローカーが非常に厳しい経営状況に追い込まれている。[1]

2018年5月にマスターカードが無認可ブローカーへのサービスを停止したことに続き、VISAも無認可ブローカーの取締りを強化した。そのため、バヌアツやマーシャル諸島、ベリーズなどのオフショア市場を事業拠点とするブローカーは、顧客に対して決済サービスプロバイダー(Payment Service Providers)【以下、PSPと称す】を通じた十分なサービスを提供できない状況に直面している。またPSPの規制強化の煽りを受ける形で、EUや米国などの厳格な規制枠組みから外れる市場にて事業を営むブローカー各社にとって、カード決済やカード入金処理コストが跳ね上がっているようだ。FXやCFD取引の際、カード決済機能の有無は非常に重要な要素であり、ブローカーのサービス提供に対し大きな影響を与え続けていることから、事態はより深刻なものになっていると言える。

そしてVISAやマスターカードが世界的に推進させている規制策が、ブローカー各社のビジネス環境に与える影響を伺い知るには、ベラルーシ当局の規制下にあるブローカーの動向をモニタリングするのが良いであろう。VISAやマスターカードは、ベラルーシのブローカーに対し、同国外の顧客へサービスを提供することを許可した法的な証明を提出するよう求めている。ただし、ベラルーシの法律では自国のルール及び規制を遵守していれば事業を営むことができる仕組みである。そのため、海外の顧客へのサービス提供ができず、VISAやマスターカードの規制策に不満を募らせるブローカーも出てきている模様だ。なおベラルーシを拠点とするブローカーは、海外の顧客に対し1か月間ほどカード入金サービスを停止しており、それに代わる対応策として銀行送金があるものの、一般的には処理が非常に遅く顧客にとっての利便性が低下する。そのため、顧客が口座から資金を引き出す際に銀行送金手数料を負担するブローカーも出てきているようだ。

他方でオーストラリアは監督当局自ら規制強化に乗り出しており、ブローカーは国外に居住する新規顧客に対しサービスを提供する際、該当地域のライセンス保有を求められている。またEUや英国、米国の規制下にあるブローカーは、ベラルーシからこれらの市場にシフトしてくる顧客に対し自由にサービスを提供することができるため、既存の法律や規制を無視する形となっており、グローバルベースで均一したサービス提供ができない状況である。

FX・CFDブローカー各社は、過去6か月以上に亘り欧州当局の新規制に対応したソリューションの提供を行ってきている。しかしながら、当局が規制の手を緩める気配はなく、今後もブローカーは機動的な対応力が求められる展開が続きそうだ。

release date 2019.04.25

出典元:

ニュースコメント

オフショアブローカーの今後の対策

世界中に多く存在するオフショア市場は金融に関する規制が緩く、タックスヘイブン(租税回避地)とも言われており、多くのFX業者やプライベートバンクを始めとした、各国のグローバルな金融機関が集まっている。投資家の間でもオフショア市場を利用したFX取引は効率的な資産運用方法のひとつであると認識されている。しかし近年、マネーロンダリング(資金洗浄)や先進国をはじめとする国々の租税回避地としての注目が高まり、オフショア市場への圧力が強くなっているのが現状である。また人気市場の1つでもあるバヌアツがブローカーへ新規制を公表する等、規制強化の対象になっていることも受けて、オフショア市場の魅力度は年々低下しているようだ。今回のVISA、マスターカードによる規制もそのような市場に対して大きな影響を与えるだろう。今後、オフショアブローカーが如何にして規制を乗り越えていくのか、どのようなマーケティング戦略やビジネスプランを立案していくかに注目していきたい。


Date

作成日

2019.04.25

Update

最終更新

2021.08.31

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

arrow
プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

仮想通貨SOLVの将来性は?ビットコインのステーキングプロトコルSolv Protocolを解説

仮想通貨(暗号資産)SOLVは、ビットコイン(BTC)のステーキングプロトコル「Solv Protocol」のネイティブトークンです。当記事では、仮想通貨SOLVの特徴やSNSでの評判、将来性、トークンの使い道などを解説します。
update2025.01.10 19:30

【無料ツールも】MT4/MT5で複数チャートを同期スクロールし、分析を劇的に変える方法!

MT4/MT5ではインディケータを使うことで複数チャートを同期してスクロールできます。この記事ではMT4/MT5の複数チャートを同期してスクロールできるインディケータについて、実際に使ってみた感想も交えながら紹介していきます。
update2024.11.07 19:00

GMOコインからBybitに送金してみた!送金手数料や最低送金額なども解説

Myforex編集部では、GMOコインからBybit(バイビット)に仮想通貨を送金してみました。この記事では、実際に送金してみた経験などを交えながら、送金手順やおすすめの送金通貨、トラベルルールの対応状況などを紹介します。
update2024.12.24 19:30

MT4/MT5でも日本時間を簡単に表示できる!日本との時差については図解で理解しておこう

MT4/MT5では通常、表示される時間が日本時間から6時間ほどずれています。頭の中で「表示される時間 + 6時間」などと計算すれば、日本時間に変換可能です。しかし慣れないうちは少し不便なので、日本時間を表示させる外部ツールも活用されています。
update2024.11.27 19:30

bitbankからBybitに送金してみた!トラベルルールの対応状況も解説

Myforex編集部では、bitbank(ビットバンク)からBybit(バイビット)に仮想通貨を送金してみました。この記事では実際に送金してみた経験などを交えながら、送金手順やおすすめの送金通貨、トラベルルールの対応状況などを紹介します。
update2024.11.28 19:00

Bybitからbitbankに送金してみた!送金手数料やトラベルルールについて解説

Myforex編集部では、Bybit(バイビット)からbitbank(ビットバンク)に仮想通貨(暗号資産)を送金してみました。この記事では、実際に送金してみた経験をもとに、送金手順やおすすめの送金通貨などを紹介します。
update2024.12.27 19:00

初心者でも安心!MT4ストラテジーテスターの使い方完全ガイド ~EA活用とバックテストで一歩先のトレードへ~

MT4でEAを使って自動売買をするならストラテジーテスターにより利益が出るかテストが必要です。本記事では、ストラテジーテスターの実践的な使い方や疑問を感じやすいポイントを解説します。
update2025.01.10 19:00

XMTradingがおみくじプロモ2025を実施!総額1,000万円越えのキャンペーン

海外FX業者XMTradingは、1月2日~1月31日までの期間限定で「おみくじプロモ2025」を実施すると発表しました。賞金総額は1,000万円以上であり、抽選で100名に最大75万円の現金がキャッシュバックされます。
update2025.01.06 19:00

このローソク足あと何秒!?残り時間を表示するMT4/MT5のインディケータを比較

MT4やMT5でトレードする際、インディケータを使えばローソク足が確定するまでの残り時間を表示できます。アラート機能付きや残り時間以外の情報も表示するインディケータもあります。本記事では、MT4・MT5にローソク足の残り時間を表示するインディケータを紹介します。
update2024.12.12 19:30

SONYのレイヤー2「Soneium」がIP侵害を理由にミームコインをブラックリスト化

ソニーグループによるイーサリアムレイヤー2のSoneium(ソニューム)が、メインネットローンチの同日に、IP侵害のあるミームコインをブラックリスト化し、SNSで話題となっています。本記事では、Soneiumの概要やブラックリスト化の内容、SNSでのユーザーの声などを解説します。
update2025.01.17 19:00
youtube youtube

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル