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中国、新クロスボーダー送金プラットフォームを開発

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update 2021.08.31 15:26
中国、新クロスボーダー送金プラットフォームを開発

update 2021.08.31 15:26

透明性が高い取引情報にリアルタイムなアクセスが可能

中国の外貨管理機関である国家外貨管理局(State Administration of Foreign Exchange)【以下、SAFEと称す】が、効率的なクロスボーダー送金を実現させるべく、ブロックチェーン技術を活用したオープンソース型の新プラットフォームを開発したと、同国の三大経済専門誌の一つ中国証券報(CNStock)が4月24日に報じた。

SAFEが開発した新プラットフォームは、ビットコインなどで使用され、複数の電子署名を必要とするマルチ・シグネチャ技術を採用し取引の秘匿性を確保することで、該当の取引関係企業と規制当局のみが詳細な取引情報にアクセスできるようになり、送金手続きのセキュリティ面の強化が図れる見通しだ。SAFEは新プラットフォームの開発に際し、中国にてブロックチェーン関連インフラの構築を手掛ける杭州ブロックチェーン技術研究所(Hangzhou Blockchain Technology Research Institute, 本社:Rm.903, gongyuan Tower South Wing, 8# QiuShi Road Hangzhou, Zhejiang Province, China[1])と協働したとのことである。また今回の新プラットフォームの開発・導入には、規制当局とテクノロジー企業、そして多くの銀行が参画しており、各方面から高い関心が寄せられる注目のプロジェクトと言えよう。

中国の貿易業界は、多くの人手と膨大な書類作成及び管理の必要がある非常に複雑で非効率なシステム構造であり、ミスが発生しやすい環境となっている。特に現行の輸出入関連システムは、取引における本人確認と資金のやり取りに関して大いに改善の余地がある模様だ。そのため、SAFEが開発したブロックチェーン技術を基にした透明性の高いリアルタイム情報を提供することができる新プラットフォームは、中国の貿易業界にとって多大なメリットをもたらすと考えられている。

更に、中国のビジネス業界だけでなく規制当局においても、新プラットフォームを活用することで、作業のミスを減らし信頼性の高い情報に即座にアクセスすることが可能となるため、より効果的な金融政策を打ち出すことに役立てることも期待されている。なおSAFEは新プラットフォームの初期開発段階を終え、中国で最大規模の貿易量を誇る江蘇省と浙江省、福建省及び上海市、重慶市にて6か月間に亘り新プラットフォームの実証実験を試みる見通しで、その後、中国全土で導入する予定である。

SAFEが開発した新プラットフォームの実証実験が成功裏に終わり、いち早く効率的な貿易関連システムが構築されることで、世界最大規模の貿易量を誇る中国経済がより活性化されることを期待したい。

release date 2019.04.25

出典元:

ニュースコメント

中国で開発が進むブロックチェーン技術とは

金融とテクノロジーを掛け合わせたフィンテックが、日本でも注目を集めており、その代表例の1つにビットコインを始めとする仮想通貨が挙げられる。そして、仮想通貨が通貨として機能し、サービスが成り立つ上で非常に重要な技術と言われているのがブロックチェーンである。ビットコインの普及はブロックチェーンが金融分野で有用であることを証明したが、透明性が高く、検証可能な方法で取引データを記録できるブロックチェーンは改ざんが難しいことが特徴となっており、様々な分野で利用されることが期待されている。SAFEが開発したプラットフォームは従来紙ベースで行われていた貿易手続きをシステム化し、ブロックチェーンを用いることにより、当事者企業と税関や関連省庁などの複数に渡る規制当局間で情報共有を容易にするなど、貿易の効率化が期待されている。仮想通貨に対する規制が行われている中国であるが、最近では中国政府機関がブロックチェーン関連企業を承認するなど、国を挙げて技術の開発を支援する積極的な姿勢が見られており、今後様々な分野でブロックチェーンの普及が進むことが期待される。


Date

作成日

2019.04.25

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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