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バヌアツ、リテールブローカー向け新規制策の詳細を明示

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update 2022.01.27 15:05
バヌアツ、リテールブローカー向け新規制策の詳細を明示

update 2022.01.27 15:05

取締役規定の強化や賠償責任保険への加入を義務化

バヌアツ共和国金融庁(Vanuatu Financial Services Commission, 所在地:Companies House PMB 9023 Rue Bougainville Port Vila, Vanuatu[1])【以下、VFSCと称す】がリテールブローカーを対象に導入した新規制策の詳細が明らかとなった。

3月初頭にバヌアツがリテールブローカーへの規制を強化することが明らかとなっていたが、イスラエルを拠点とする法律事務所Nir Porat & Co.の金融規制部門ヘッドを務めるDavid Woliner氏がその新規制策の詳細を解説している。

まず、バヌアツの金融ライセンスはA, B, Cの3つのクラスに分類された上で、それぞれ特定の金融サービスの提供が認可されている。金融機関はどのカテゴリーのライセンスが最適か十分に検証を行う必要があるという。バヌアツの新規制の内、最大の注目点である取締役規定に関しては、まず全ての法人の取締役は少なくとも5年の証券取引経験を有することが求められるようだ。また、法人の経営者もしくは取締役は1年の内6か月以上はバヌアツに滞在しなければならない模様である。更にバヌアツでの確固たるプレゼンスの確立を図るべく、ソフトウェアシステムが備えられた不動産所有が強制されるほか、金融ライセンスを取得した企業の監査を行う全ての独立監査人は、事前にVFSCより監査を行う認可を得る必要があるとのことだ。また、バヌアツの新規制策では専門職業賠償責任保険への加入が求められている。それぞれの賠償最低保障金額は約45,000ドル、合計で少なくとも45万ドル、そして最大控除免責金額は4,500ドルとなる賠償責任保険への加入が義務付けられるという。これらの変更点を含む新規制策は、新規の法人設立に関しては即時に、既存のライセンスについては2019年7月7日より適用される見通しだ。

バヌアツ当局は健全な金融市場の形成に向け規制強化を継続させる意向であるが、法人設立及びコンプライアンスを遵守したうえでの企業運営費用が増加傾向にあることを受け、バヌアツでライセンスを取得する企業は500社超から150社弱へと減少している。従来多くの企業がオフショア市場としてバヌアツを選好してきたが、足元ではその魅力が薄れてきていると見られよう。しかしながらWoliner氏によれば、VFSCはたとえ規制を強化することで金融業界へ大きな影響を与えたとしても、依然バヌアツは法人を運営するメリットがあり、全ての企業が他の市場へシフトするわけではないと認識しているという。実際に、引き続きバヌアツで事業運営を望む法人から、間もなく適用が始まる諸々の規制変更点に、如何にして対応していくべきか、業界団体や法律事務所などへの相談が増えている模様だ。更にWoliner氏によると、VFSCが最終的な金融規制枠組みの適用までには時間的猶予を与えると共に、今後も規制変更が行われる可能性があり、2019年夏以降に更に多くの規制策が明らかとなる見通しであるという。

この度バヌアツが規制強化策を打ち出したことで、比較的緩い規制枠組みを活かすべく進出を検討もしくは進出したブローカーにとっては、経営のかじ取りが難しくなることが見込まれる。また、世界的に規制強化の流れとなる中、オフショア市場として人気の高いバヌアツが規制強化を続けることで、他のオフショア市場がどのような規制策を導入するかに注目が集まるであろう。

release date 2019.03.08

出典元:

ニュースコメント

規制強化に伴う、海外FXブローカーの動き

EU地域を始め、世界的に規制が強まる流れが続いているが、元々規制枠組みが比較的緩いオフショアはブローカーに人気があり、中でもバヌアツは法人の必要資本金額が非常に安かったことから、FXブローカーに人気のライセンスのひとつであった。しかし、今後そのバヌアツでも規制が強化されるとなると、昨年12月にTraders Trustがバヌアツからバミューダへライセンスを移行しているように、他のブローカーもライセンスを移行する動きが活発化することも考えられるだろう。昨年ESMAが規制強化に踏み切ったことを皮切りに、ブローカーがオフショア市場へとシフトする動きが進んでいるが、その動きは今後も続くことが予想されている他、規制強化が1つのきっかけとなり、FX業界でM&A(企業の合併・買収)が活発になることも見込まれている。2019年はFX業界にとってひとつの大きな変化の年となりそうだ。オフショアにおいても規制強化の波が押し寄せる中、FXブローカーの今後の対応、動向に注目したい。


Date

作成日

2019.03.08

Update

最終更新

2022.01.27

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

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プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

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