Select Language

バヌアツ、リテールブローカーへの規制強化

バヌアツ、リテールブローカーへの規制強化

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2022.01.27 15:07
バヌアツ、リテールブローカーへの規制強化

update 2022.01.27 15:07

仮想通貨も規制対象に

バヌアツ共和国金融庁(Vanuatu Financial Services Commission, 所在地:Companies House PMB 9023 Rue Bougainville Port Vila, Vanuatu[1]) 【以下、VFSCと称す】が、リテールブローカー向けの規制策を強化することが明らかとなった。

VFSCは足元、ブローカーがバヌアツの認可ライセンスを取得する際の新規制策を公表している。イスラエルを拠点とする法律事務所Tal Ron, Drihem and Co.のTal Itzhak Ron氏とGenia Gurevitz氏、Stephanie Attias氏によれば、バヌアツはリテールブローカー向けの規制強化を続けており、バヌアツ出身の取締役の任用を倍増させ、効果的なコーポレートガバナンス体制を構築することを求めているほか、仮想通貨も規制対象とする模様だ。また関係筋によれば、VFSCはブローカーに対し賠償責任保険への加入も求めているようである。なおVFSCは、企業がVFSCに預ける資本金額を50,000ドルへと引き上げており、粛々とブローカー向けの規制策を強化していることが伺えよう。

欧州証券市場監督局(The European Securities and Markets Authority, ESMA)が2018年に欧州のリテールブローカー向けに新たな規制策を打ち出して以降、FX・CFDブローカーは新規制策の影響を回避もしくは新たなビジネス機会を模索すべくオフショア市場へとシフトを進めており、バヌアツはその中でも最も人気の高いオフショア市場の1つとなっている。VFSCとしては、比較的規制の緩いオフショア市場であるバヌアツへと移行するブローカーが増加する中、一連の規制強化策を通じ、より強固な規制枠組みの下でブローカーを監督する意向がある模様だ。

オフショア市場へブローカーのシフトが進む一方で、同じくオフショア市場であるセントビンセント・グレナディーン諸島に事業基盤を移していたOctaFXがCySECよりライセンスを取得し、再びEU(欧州連合)のより厳格な規制枠組みの下で充実したサービスを提供していく意向を示している。規制強化がなされるオフショア市場と厳格な規制枠組みの整備を急ぐ欧州市場のいずれにおいても、安全性・信頼性の高いブローカーとして継続的に事業を行っていくうえで、コンプライアンスの徹底は避けては通れない道と言えるであろう。

なおTal Ron, Drihem & Co.は、EUの規制枠組みから外れるオフショア市場にて、仮想通貨関連以外の金融サービスを提供するブローカーやリクイディティプロバイダーにとっては、エストニアやベリーズ、マーシャル諸島と並び、バヌアツを事業拠点とすることは良い選択肢であるとコメントしている。

release date 2019.03.04

出典元:

ニュースコメント

規制強化が与える影響は

南太平洋に位置する島国のバヌアツ共和国は、所得税・法人税・相続税などの制度がなく、世界的にも有名なタックス・ヘイブン(租税回避地)の地である。資金力のあるヘッジファンド・投資家や、節税したいグローバル企業やバイナリーオプション業者などが数多く参入しており、オフショア金融が盛んに行われている。また、多くのブローカーもバヌアツ共和国を拠点にサービスを展開しており、主な海外FXブローカーとしては、Titan FXが2018年7月にバヌアツ共和国金融庁(VFSC)のライセンスを取得して、セントビンセント・グレナディーン諸島から移行している。今回の規制強化の影響を受け、バヌアツに拠点を置く企業は大きな事業転換を迫られることになるだろうか。ブローカーにとっても、安定的なサービス提供に向けてはある程度の規制は不可欠ともいえるが、今後のタックス・ヘイブンのニーズの高まりとVFSCの規制強化の落とし所がどこまで進むか、動向を見守る必要がありそうだ。


Date

作成日

2019.03.05

Update

最終更新

2022.01.27

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

arrow
プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

仮想通貨KAITOの将来性は?AI活用のWeb3情報プラットフォームKaito AIの特徴や評判を解説

仮想通貨KAITOは、Web3の情報アクセスを変革する次世代プラットフォーム「Kaito AI」のネイティブトークンです。当記事では、仮想通貨KAITOの概要や将来性、Kaito AIが提供するYapsの仕組み、SNSでの評判などを解説します。
update2025.02.19 19:00

FXGTでの出金拒否報告が増加中、これまでとは違う危険な兆候とは?

FXGTの出金拒否の報告・原因のほか、ユーザーの流出状況などをまとめました。SNS上ではここ数ヶ月の間に出金拒否に関する投稿が増加しており、ユーザーの間では「自分も出金拒否されるのでは」「FXGTがつぶれるのでは」といった不安が広がっています。
update2025.02.14 19:30

GMOコインからBybitに送金してみた!送金手数料や最低送金額なども解説

Myforex編集部では、GMOコインからBybit(バイビット)に仮想通貨を送金してみました。この記事では、実際に送金してみた経験などを交えながら、送金手順やおすすめの送金通貨、トラベルルールの対応状況などを紹介します。
update2024.12.24 19:30

仮想通貨SOSOの将来性は?AI活用の投資分析プラットフォームSoSoValueがトークン発行

仮想通貨SOSOは、中央集権型金融の効率性と分散型金融の透明性を組み合わせた投資分析プラットフォーム「SoSoValue」のガバナンストークンです。当記事では、仮想通貨SOSOの将来性やSNSでの評判、SoSoValueの特徴などを解説します。
update2025.01.24 19:30

Bybitからビットフライヤーに送金してみた!送金手数料や反映時間は?

Myforex編集部では、実際にBybitからビットフライヤー(bitFlyer)に仮想通貨を送金してみました。この記事では、送金手順のほか、送金手数料やおすすめの送金通貨などを紹介します。
update2025.02.19 19:30

【全て無料】MT4/MT5を日本時間にできるインディケータのおすすめが決定!

MT4/MT5に表示されている時間は、インディケータを使えば簡単に日本時間へ変えられます。MT4/MT5を日本時間表示にしておくと、各市場のトレンドを把握しやすくなったり、経済指標の発表時間に合わせた取引がしやすくなったりと、何かと便利です。
update2024.12.04 20:00

VPSではMT4・EAは何個起動できる?複数稼働は可能なのか?

スペック別のEAの起動数の目安のほか、VPSの負担を軽くする方法を説明します。同時に起動するEAの数が多すぎると、MT4が動かなくなる可能性があるので注意が必要です。VPSを使っているならば、MT4やEAをいくつ起動できるかを把握しておくことが大切です。
update2025.01.23 19:00

MacのMT4/MT5はダウンロードしても使えない?文字化けや起動しない時の対策方法や最終手段を紹介!

Mac版のMT4やMT5は不具合が良く発生するため、自分の使い方が悪いのか不安を感じている人もいるのではないでしょうか。本記事では、Mac版のMT4・MT5のトラブルや解決方法を解説します。
update2024.12.04 20:30

コインチェックからBybitに送金してみた!送金手数料や反映時間についても解説

コインチェック(Coincheck)からBybitに仮想通貨を送金してみました。この記事では、実際に送金してみた経験やSNSでの口コミなども交えながら、送金手順やおすすめの送金通貨などを紹介します。
update2024.11.29 19:00

Bybitからbitbankに送金してみた!送金手数料やトラベルルールについて解説

Myforex編集部では、Bybit(バイビット)からbitbank(ビットバンク)に仮想通貨(暗号資産)を送金してみました。この記事では、実際に送金してみた経験をもとに、送金手順やおすすめの送金通貨などを紹介します。
update2024.12.27 19:00
youtube youtube

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル