作成日
:2019.03.06
2021.08.31 15:27
仮想通貨を対象とした先物取引サービスを提供するCrypto Facilities Ltd(本社:25 Copthall Ave, London EC2R 7BP, United Kingdom
)【以下、Crypto Facilitiesと称す】は、米大手仮想通貨取引所のKrakenに買収されて以来、同先物取引所での取引量が急増していることを明らかにした。Crypto Facilitiesでインデックスおよび価格設定責任者を務めるSui Chung氏によると、今年2月にKrakenが1億ドルで同社を買収してから、およそ1か月間で10億ドル分の仮想通貨先物が取引されたという。この急激な需要の伸びは、Crypto Facilitiesが提供するビットコイン(Bitcoin)、イーサリアム(Ethereum)、ビットコインキャッシュ(Bitcoin Cash)、ライトコイン(Litecoin)、リップル(Ripple)を対象とした全ての先物商品で同様に確認されており、同社の取引量は前月比で500%以上の増加となった。
この劇的な取引環境の変化について、Chung氏は、以下のようにコメントしている。
米国の主要な取引所となっているKrakenのユーザーによる支持があったのは明らかで、同社のブランディングが大きく貢献しています。また、我社が主要5つの仮想通貨を対象とした先物契約を広く提供していることも要因だと言えるでしょう。
Sui Chung, Head of Index and Pricing at Crypto Facilities - Coindeskより引用
Chung氏が語るようにCrypto Facilitiesの取引量は、Krakenによる買収が発表された2月4日を境に大幅な増加を見せており、同日の前後5日間を比較すると、発表後の取引量が565%増となったことがわかっている。また、ビットコインキャッシュやライトコインなどのマイナーな仮想通貨に限って言えば、同期間で取引量が1,000%の増加を達成した先物契約も存在するという。Krakenによる恩恵はこれだけに留まらず、Crypto Facilitiesは、5,000件の新規口座開設を行なっており、ユーザーベースでは、過去1か月間で400%の急伸を記録した。しかしながら、これらの新規ユーザーは欧州やアジアからのもので、Chung氏によると、米商品先物取引委員会(Commodities and Futures Commission)の許可を得ていないCrypto Facilitiesは、米国市場からのアクセスには対応できないという。
KrakenがCrypto Facilitiesにもたらす好影響は、取引量やユーザーベースの拡大だけでなく、ユーザーからの商品や機能に対するフィードバックの獲得にも貢献しており、インターフェイス改善やアップグレードツールの作成などに役立てられるようだ。Chung氏によると、集められたフィードバックは、継続的な改善活動や長期的な製品開発計画などにも活用され、今後のサービスにも反映されていくとのことだ。
release date 2019.03.06
2014年に設立されたCrypto Facilitiesは、英国の金融行動監視機構(Financial Couduct Authority)にも承認された先物取引所で、米国のCMEグループへビットコインやイーサリアムのマーケットデータを提供する企業として業界では認知されている。結果的にKrakenの傘下に加わることとなったが、経営陣や事業はそのまま独立した形で残されており、欧州市場を中心に、継続して仮想通貨のデリバティブ取引サービスを提供していくという。大手仮想通貨取引所のKrakenと資本的なつながりを得たCrypto Facilitiesは、開発チームのリソースが強化されて潤沢になったことで、より多くの商品開発が可能となる模様だ。Krakenは、仮想通貨のスポット取引やOTC取引(店頭取引)など同社の中核となるサービスを強化していく方針のようだが、これから、どのようにCrypto Facilitiesが展開する事業と連携を図るか注目していきたい。
作成日
:2019.03.06
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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