作成日
:2019.04.25
2021.08.31 15:26
金融庁(Japan Financial Services Association, JFSA)が、仮想通貨取引所のフォビジャパン株式会社(本社:東京都港区六本木6-2-31 六本木ヒルズノースタワー 17F
)【以下、Huobiと称す】と株式会社フィスコ仮想通貨取引所(本社:東京都港区南青山5-11-9 )【以下、フィスコと称す】に対し立入検査を実施したことが、今月23日の報道で明らかになった。匿名の情報筋によると、金融庁は、内部統制や顧客保護、アンチマネーロンダリング(AML)基準の観点から、適切な措置が取られているかを確認するために立入検査を行ったとのことだ。今回、Huobiとフィスコの両社が対象に選ばれた理由として、最近、ともに新しく日本市場に参入したことが関係しているようだ。もともとシンガポールを拠点に活動するHuobiは、昨年、金融庁に登録があるビットトレードを買収し、日本市場への進出を果たしており、一方のフィスコも、ハッキング被害を受けたZaif(ザイフ)の元運営元となるテックビューロに4,500万ドル相当を支払い、今月、Zaifの事業を継承している。
5億3,000万ドル相当のネム(NEM)が不正流出したコインチェックのハッキング被害が発生して以来、このような金融庁による唐突な立入検査は度々行われ、多くの取引所が当局の検査を受けている状況だ。業務改善命令を与えられる企業もあったが、一部の企業を除いては、金融庁の認可を得る結果となった。ほかにも金融庁は、楽天ウォレットや、ヤフージャパンが支援するTAOTAOを新しく仮想通貨交換業者として承認するなど、市場の拡大を促すように積極的な行動にも出ている。
さらに金融庁は、将来的に仮想通貨市場の監視を強めることを計画しており、具体的には、取引所が管理する資産の大部分が保管されているコールドウォレットの運用方法を厳格化する方針のようだ。コールドウォレットは、ネットワークに接続された状態のホットウォレットに比べて遥かに安全だと言えるが、一方で関係者など内部から攻撃を受けるリスクが懸念される。規制によってこのような現状の改善を図ろうとする金融庁の積極的な姿勢が伺え、日本の安全な仮想通貨市場の構築に向けて今後の取り組みにも期待したい。
release date 2019.04.25
日本や米国をはじめとする先進国の仮想通貨市場では、規制当局の働きや取引所の企業努力もあり、セキュリティレベルが飛躍的に向上し、大規模なハッキング被害は、昨年と比べると減少傾向にあることが見受けられる。しかしながら、市場が仮想通貨関係のリスクへ完全に対処できているわけではないため、2019年に入っても、Cryptopiaやビッサムなどが、仮想通貨の盗難被害にあったことが報告された。これらの取引所は、現在も事件の調査を継続しているというが、従業員や経営陣による内部での犯行が疑われており、コミュニティは、不信感を募らせているという。このような経緯もあり、日本の金融庁は、企業のモラルや法令遵守意識に懸念を抱き、取引所におけるウォレット運用の基準見直しを検討しているようだ。ホットウォレットに関しては、管理額を制限する、または、取引所に引当金を準備させる案が固まっている模様だが、コールドウォレットに対しては、どのような施策を適応するのか注目していきたい。
作成日
:2019.04.25
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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