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ESMA、プロフェッショナル顧客の動向調査に乗り出す

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update 2022.01.27 15:27
ESMA、プロフェッショナル顧客の動向調査に乗り出す

update 2022.01.27 15:27

第三国にて事業を営むブローカー動向も注視

欧州証券市場監督局(The European Securities and Markets Authority)【以下、ESMAと称す】は、プロフェッショナル顧客及び欧州の規制枠組みから外れる第三国にて、金融サービスを展開するブローカー動向に関して詳細な調査を行っている模様だ。[1]

ESMAでは、ハイレバレッジ取引を継続的に可能とするプロフェッショナル階層へと顧客を誘導することを制限する規制策を導入しているが、その規制策に違反している可能性があるブローカーの監視を強化しているとのことである。各国規制当局はESMAに対し、プロフェッショナル階層に位置づけられる顧客数が継続的に増加していることを報告しており、その数は前年と比較して膨大に増えているとのことだ。ESMAでも、いくつかのCFDブローカーが個人投資家向けに、顧客の要望に応じてプロフェッショナルトレーダーになれるという旨の広告を打ち出していることを認識している。ESMAでは、ブローカー側からではなく顧客からのリクエストにより、プロフェッショナルトレーダーに移行することは可能であるとしているものの、ブローカーに対しては常に該当する全ての法規制に準拠するよう求めている状況だ。

またESMAでは、第三国に拠点を設けるオフショアブローカーなどの企業が、EU圏内の顧客の積極的な勧誘や、EU域内のCFDブローカーが個人投資家に対し、自社グループ傘下であり第三国で事業を営む子会社へ顧客口座を移管できる旨のマーケティング活動などを行っていることも把握しているとのことだ。ESMAによれば、第三国に拠点がある企業は、顧客の明確な要望がある場合に限り、EU圏内の顧客に対し金融サービスの提供が許されるとし、これらのブローカーに対しても、規制に違反していないか、その動向を注視していると言う。更に、新たに投機的な金融商品を提供するブローカーも出始めていることから、他の規制策を適用するのが適切か否かを含め、それらの金融商品の販売動向を引き続き見守るとのことである。

一方で、ESMAによるCFD取引規制が導入されて以降、個人投資家がCFD取引を行う際にブローカーへ支払う手数料が格段に減少している模様だ。ESMAでは、個人投資家の仮想通貨CFD取引を含むアクティブ口座における取引コストに関して、通常では仮想通貨関連金融商品に投資をしない口座と比較して相対的に高いコストとなる傾向であるが、規制策が導入されてからは、仮想通貨CFD取引の平均コストが大きく低下していると指摘している。また、強制決済の発生件数も継続的に低下している他、顧客口座がネガティブエクイティ(negative equity、マイナス資産)の状態になる件数・金額も減少しており、ESMAによるCFD規制策が一定の効果を示していることが伺えよう。ただし、個人投資家数や取引高、及び預入証拠金額は明らかに減少していることに加え、規制当局は新規制の導入開始以降、2018年10月末までの3か月間と2017年の同期間において、規制の効果を測る一側面として捉えることのできる投資家の収益性が改善したか否かは確認していない模様だ。

ブローカーの中には、ESMAによる新規制の網を掻い潜りサービス提供を試みたり、新たな投機的金融商品を提供するところが出てきている一方、個人投資家による取引高が減少傾向にあることを踏まえると、ESMAを始め欧州規制当局にとって、健全な金融市場の形成に向けた有効な規制策を打ち出すという難しい舵取りが引き続き求められていると言えよう。

release date 2019.02.01

出典元:

ニュースコメント

規制強化の続く欧州

ESMAでは、個人投資家向けのCFD取引規制に関する適用期間を再び延長することを発表している。ESMAによるCFD取引規制延長となる新たな適用期間は、2月1日からの3か月間となり、その後再び期間延長となれば、5月1日からの適用となる見込みだ。CFD取引規制の適用期間の延長自体は、既に英国金融行動監視機構であるFCAが永続的なCFD取引規制を導入する意向を示していたことから、大きなサプライズにはならなかったといえる。各国規制当局のみが、一時的な規制策を永続的なものに変更する権限を有しているが、現在までのところFCAとドイツ連邦金融監督局(Die Bundesanstalt für Finanzdien Stleistungsaufsicht, BaFin)のみがCFDやバイナリーオプションといった金融商品取引を永続的に規制する意向を示している。厳しすぎる規制が顧客保護につながるのかどうかは時間をおいて判断が求められるであろう。


Date

作成日

2019.02.01

Update

最終更新

2022.01.27

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

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プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

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