作成日
:2019.02.01
2021.08.31 15:27
SkrillやNETELLERを子会社に持つ決済サービスプロバイダーのPaysafe(本社:Queen Victoria House 3rd Floor 41-43 Victoria Street Douglas, Isle of Man IM1 2LF
)が、大手クレジットカード会社VISAのプリンシパルメンバーシップ(VISAブランドの使用料を支払うことで、カード発行権や加盟店契約権を得る仕組み)を取得したことが明らかとなった。PaysafeはVISAとパートナー契約を締結し、プリンシパルメンバーシップを取得したことにより、欧州全域に亘り需要拡大が見込まれるプリペイドカードの発行が可能となるという。グローバルベースで見ると、プリペイドカードの利用は2016年から2022年の間に22.7%の市場拡大が見込まれる成長分野に位置づけられている。また米国・オレゴン州を拠点とし、市場調査やビジネスコンサルティングサービスを提供するAllied Market Researchの調べでは、プリペイドカード市場規模は2022年までに3兆6,500億ドルに達することが見込まれているほか、2018年12月のグローバル消費の内10%で、決済手段としてプリペイドカードが用いられたとのことだ。
更に、TransferwiseやRevoultといったモバイルバンキングアプリの普及加速が、プリペイドカード市場の追い風となっていることに加え、アンダーバンクト(underbanked)と呼ばれる銀行サービスを利用できない人々の間でも、従来からの金融サービスに取って代わる存在として、低コストなプリペイドカードの利用拡大が続いている状況である。
PaysafeがVISAよりプリンシパルメンバーシップを取得したことに絡み、SkrillとNETELLER、およびIncome AccessのCEOであるLorenzo Pellegrino氏と、VISA英国・アイルランドのフィンテック部門責任者であるHugh Kingdon氏は、それぞれ以下のようにコメントしている。
現金決済に取って代わる使い勝手の良いプリペイドカードの利用拡大が進むことが期待されると共に、消費者やビジネスの現場で、プリペイドカードが有する特徴やメリットに対する認識が急速に高まっております。VISAとの提携を通じプリペイドカードを発行することで、人気と信頼性の高いまさに画期的なサービス展開を図れると考えております。
Lorenzo Pellegrino, CEO of Skrill, NETELLER and Income Aceess at Paysafe Group - Paysafeより引用
近年欧州のプリペイドカード市場は、我が社のVISAブランドを利用した革新的なサービス展開が図られると共に、目覚ましい成長を遂げております。そして、プリペイドカードは想定以上の負債を抱えるリスクを抑えるという特徴を有している他、資金管理が容易であり、且つ口座残高以上の消費を抑制することも可能であります。
Hugh Kingdon, Head of Fintech, in the UK & Ireland of VISA - Paysafeより引用
なお、法人においてもプリペイドカードの利用拡大が確認されており、旅行費用の決済として、または顧客を対象としたキャッシュバックプロモーションや従業員向けリワード・インセンティブプログラムとして、プリペイドカードが活用されている模様だ。また、小売店や政府機関、金融機関それぞれが、eコマース(電子商取引)やPOS(point-of-sale、単品単位で商品の売上を記録すること)システムを用いた取引に加えて、現金引き出しなどのためにプリペイドカード取引に対応し始めており、まさに生活の様々な場面でプリペイドカードの利用拡大が進んでいることが伺える。
2018年11月末にPaysafeはWorldpayと提携し、インターネットゲームやスポーツベッティング決済の強化も図っている。また、オランダやベルギーなど欧州でPaysafeは決済サービスRapid Transferという銀行間送金決済サービスの提供を開始している。そしてこの度、世界で最も利用されている国際ブランドであるVISAと手を組むことで、成長著しいプリペイドカードの利用増加及び会社全体の業績拡大が期待できよう。
release date 2019.02.01
VISAプリペイドカードは利用者があらかじめカードに現金をチャージすれば、その範囲内でクレジットカードと同じようにVISAの加盟店で利用できるカードだ。利用開始に際して銀行での顧客確認や信用審査などがなく、コンビニやスーパーマーケットで購入できるカードもあり、利用しやすいサービスが特徴となっている。キャッシュレス化が進む欧米諸国では現金払いを受け付けない商店が存在し、VISAやマスターなど国際ブランドの決済カードが広く浸透しているが、プリペイドカード普及の背景には、学生や退職者など、クレジットカードを持つことが難しい人々への一定の需要があるためと見られる。また、商店などの実店舗以外にも、オンラインショッピングやスマートフォンアプリの購入など、国際ブランドの決済カードを利用する機会はますます増加すると考えられている。一方の日本はというと、中高年を中心に現金主義社会とも言われ、キャッシュレス化は世界と比べる進んでいないが、国際ブランドの決済カードへのニーズは確実に高まっていることは間違いない。日本からNETELLERとSkrillサービスを撤退したPaysafeではあるが、2020年の東京オリンピックに向けキャッシュレス化対応が求められる日本でのプリペイドカードサービス展開にも期待したい。
作成日
:2019.02.01
最終更新
:2021.08.31
国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。
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