作成日
:2019.01.18
2021.08.31 15:27
弱気相場が継続する仮想通貨市場で投機的な動きが停滞しているために、ここ12ヶ月の間でビットコイン価格のボラティリティが急激に低下していることがわかった。
1日の高値と安値の差分から求められる日間ボラティリティに目を向けると、今月16日の値が61ドルなのに対して、1年前の2018年同日は3,468ドルを記録しており、前年比で98%の大幅なボラティリティの低下となっている。この日は、2018年の中でも極めてボラティリティが高かった1日で、26%もの価格変動幅を観測したことから、仮想通貨市場の混乱がピークに達していた様子が伺える。通常、急激な価格の下落とボラティリティの低下は並行して発生する傾向にあり、昨年1年間で74%の価格減となったビットコインもその例外ではないといえるだろう。
ビットコイン価格の平均日間ボラティリティは、日を追うごとに低下していき、第1四半期には973ドルだった値が、第2四半期には345ドル、第3四半期には245ドル、第4四半期には195ドルを記録し、顕著な傾向を示している。パーセンテージベースでは、2018年を通して9.14%から3.6%への低下となっている。2019年のビットコイン取引は、この流れを継ぐように静かにスタートしており、特に日間ボラティリティが200ドルだった今月12日は、ここ2ヶ月半で最もボラティリティが低い1日となった。
注目すべきは、長期に亘って低ボラティリティが続いた場合、大きな価格変動が起こる前兆である可能性もあるということだ。それが現実のものとなれば、ビットコイン価格が3,500ドルと3,700ドル付近で意識されている支持線/抵抗線を約1週間ぶりに突破するかもしれない。長期のテクニカル分析では、チャートが弱気なシグナルを示しているため、直近の下限値を更新する見込みの方が強いとされている。
例えば、先週から13%下げているビットコイン価格は、現在3,919ドルに位置する10週間の平均移動線の下で推移しているため、長期的な弱気相場が継続していると判断できる。また、4時間足のチャートで見ると、ダイアモンド型の底を形成しているビットコイン価格は、その保ち合いが崩れると一気に3,500ドルの支持線を割り込んでくることが現実的になる。売られ過ぎ、買われ過ぎといった相場の強弱や勢いを判断するRSI(Relative Strength Index)は41で、やや弱気に傾いていることを指しており、価格が支持線を突破してからも、まだまだ売られる余地があることを暗示している。
しかしながら、反対に、ビットコインがこれら弱気のサインを否定する動きを見せた際には、反発して4,000ドルを超え、価格が回復に向かうことが予測されている。どちらにせよ、ボラティリティ推移の反発は避けられず、近々、大きな価格変動が発生する確率は高まっているといえるだろう。
release date 2019.01.18
2018年を通して継続したビットコイン価格の急落は、マイニング企業や関連企業の没落を招く結果となったが、その反面で、投機的利用が中心となっていた仮想通貨市場を次のステップに推し進める要因ともなっている。特に2018年には、決済通貨としての利用環境が整備されており、昨年末の調査では、対象となった700人以上の15%ほどが海外送金の手段に仮想通貨を利用していることが明らかにされた。また、仮想通貨の現金化の手段のひとつである、仮想通貨ATMの設置台数は前年から倍増しており、北米や欧州で著しい普及を見せている。これらの動きの背景には、高止まりしていた仮想通貨価格が下落してきたことで、相対的にマイニング報酬の低下が進み、仮想通貨がより気軽に利用できる選択肢として認識されるようになったという市場の変化が大きく関係しているようだ。今後は、大手企業を中心にブロックチェーンや仮想通貨関連サービスの開発が進み、次なる成長分野としての投資の流入にも期待できるだけに、益々の実利用拡大の流れに拍車がかかることだろう。
作成日
:2019.01.18
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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