作成日
:2019.01.18
2021.08.31 15:27
API(Application Programming Interface、ソフトウェアが相互通信するための規格)を通してのデータ収集と管理を得意とするサンフランシスコのスタートアップ企業であるBlockspringは、公式ブログへの投稿でCoinbase, Inc.(本社:548 Market St #23008 San Francisco, CA94104
)【以下、コインベースと称す】に買収されたことを発表した。Blockspringのソリューションは、異なるAPIから取得できる様々な情報を、コードなどに触れることなく、エクセルやGoogle Sheets(Googleがクラウドで提供するスプレッドシートサービス)などの統一された形式での出力を可能とする。この技術が評価されて、Blockspringは、2015年の投資ラウンドでベンチャーキャピタルのAndreessen Horowitz【以下、a16zと称す】とSV Angelから340万ドルもの資金調達に成功しており、加えてY Combinatorなどからも資金提供を受けている。その際、コインベースのCTOであるBalaji Srinivasan氏は、Blockspringのサービスについて、コーディングスキルを必要とすることなく、アプリケーションとスプレッドシートを接続させることが可能な高度なソリューションであり、ユーザーである企業のデータ利用を改善することになるだろうと述べており、このことから、以前よりBlockspringをいかに有望視していたかが伺える。
Blockspringの報告によると、既にコインベースのサービスに機能の統合が完了したものの、今後も同社が独立した企業として活動することが説明されており、APIサービスは新規顧客や既存ユーザーも含めて引き続き提供されることが伝えられている。また、今回のコインベースの仮想通貨関連事業への参加についても、躊躇なく受け入れることができたと述べており、コインベースが持つ強力なエンジニアチームやオープンな金融システムを実現するためのコミットメントの高さを好意的に捉えているようだ。
昨年10月、コインベースは3億ドルもの巨額な資金を調達しており、積極的な企業の買収により、事業強化に向かっている。今回のBlockspringで11社目の買収となったが、今後の事業の展開に注目が集まっている。
release date 2019.01.18
コインベースの時価総額は80億ドルとも言われており、既に米国の仮想通貨市場を象徴するような企業と言っても過言ではない地位を確立しつつある。投資家からの期待も大きく、コインベースは、これまで実施した7回以上の資金調達ラウンドで、5億ドル以上の投資を集めている。それ以降、コインベースは、事業拡大を目指しいくつかの新しいサービスを立ち上げることに成功しており、例えば、昨年の12月には、米ドル、ユーロ、日本円と、6種類の主要な仮想通貨の両替サービスを開始し、投機目的ではないライトユーザー層の開拓を試みている。その他にも、同時期に、1億ドル以上で買収したEarn.comとの協業により、コインベースは仮想通貨学習サービスCoinbase Earnを開始するなど、事業拡大に向けた戦略を次々と実現している。このCoinbase Earnは、仮想通貨学習を進めるのと引き換えにインセンティブとしてトークンが獲得できることから、仮想通貨やブロックチェーンの正しい知識の浸透を助ける新しいソリューションとして期待されている。仮想通貨関連企業でありながら、シリコンバレー企業としての特色を持つコインベースだが、2019年はどのような挑戦を見せてくれるのだろうか。
作成日
:2019.01.18
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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