Select Language

ICOプロジェクトがイーサリアムの現金化に動く

ICOプロジェクトがイーサリアムの現金化に動く

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2021.08.31 15:27
ICOプロジェクトがイーサリアムの現金化に動く

update 2021.08.31 15:27

ICOが保有するイーサリアムが年初から24%減少

調査会社のDiarによると、2018年の弱気な相場を乗り切るため、多くのICO(イニシャルコインオファリング)プロジェクトが、保有する大量のイーサリアム(Ethereum)を現金化する方向に動いていることが明らかになった。特に今月は、43.3万ETHがICOプロジェクトによって現金化されており、今年最大の影響をもたらしている。

この流れは、2018年に入って顕著に表れており、ICOプロジェクトによって、今年1月には23.2万ETH、11月には29万ETHの仮想通貨資産が現金化されていることがわかっている。とりわけ11月には、Tezosが8.2万ETHを現金化、同じくAragonが4万ETHをステーブルコインのダイ(DAI)に両替したことで、イーサリアムの保有額が大幅に減少したという。今回の調査では、対象となった100件のICOプロジェクトのウォレットから、年初から比べて24%もの資産が引き出されたという結果が出た。米ドルベースで計算すると、これらのICOが保有する資産額は、イーサリアム価格の下落の影響もあり、30億ドルから3億5,000万ドルまで落ち込んでいる。[1]

今回、Diarは、各ICOプロジェクトの統計データを共有しており、合計50のICOプロジェクトが1月時点で保有していたイーサリアム額および、12月までに引き出された額が明らかになった。それには、DigixDAO、Polkadot、Dolem、Tezos、Filecoinなど、大型のICOプロジェクトも含まれている。その中で特筆すべきはFilecoinで、保有する1.69万ETH全てを12月に引き出したことで、当月の総量の半分を占めた。その他のICOもイーサリアムの現金化を積極的に行っており、既に少額のイーサリアムしか保有していないプロジェクトも存在しているほどだ。

ICOは、数十億ドルもの資金調達を可能にする新しい手法として、2017年ごろから活発に利用されてきた。しかしながら、2018年には状況が一変しており、ICOに対する規制措置の高まりとプロジェクト失敗の話題が目立った。今年2月にBitcoin.comが実施した調査によると、2017年に企てられたICOプロジェクトのうち、46%が失敗に終わったことが明らかになり、[2]加えて別の調査では、9月にその失敗率が92%に跳ね上がったことが確認されているという。これらの調査は、巨額な資金調達を実現できる反面、ICOが如何にリスクのある投資かということを物語っている。

Diarによると、2018年のICOプロジェクトにおけるイーサリアムの資産額に対する平均現金化率は2.4%であったが、それが12月に限っては12%を超えていたという。仮想通貨資産の現金化がICOプロジェクトの失敗を必ずしも意味するわけではないが、イーサリアム価格が最低を記録した11月から12月にかけて、ICOプロジェクトの現金化が集中したことを考慮すると、多くが資金繰りに困る状況に陥っているのかもしれない。または、単に撤退の準備をしているだけなのかもしれないが、どちらにしても成功とは対象的な位置にあると言えるだろう。

release date 2018.12.28

出典元:

ニュースコメント

熱が冷めて減退するICOへの投資

今回、仮想通貨市場の偏移を捉えた調査結果を提供したDiarは、以前からICOプロジェクトによる資金調達スキームの危機を報告している。Diarが今月前半に発行したレポートによると、今年11月の新規ICOによる資金調達額が減退していることが明らかになっている。詐欺的なICOプロジェクトの横行や規制の強化、仮想通貨価格の低迷などが重なって、投資家の熱が冷めたことが最大の原因と考えられる。別の見方をすれば、これまでのバブルのような熱狂が去って、より現実的な期待値に近づくことで、効率的になったとも言えるだろう。これまでのICOプロジェクトの失敗も全く無駄ではなく、潤沢な資金が流れ込むが故に様々な企業が市場に参入してきており、大手のテクノロジー企業や金融企業を巻き込んでパイ全体も大きくなっている。懸念点としては、ブロックチェーン関連の開発は発展段階にあり、まだまだ開発には多くの資金が必要となることだが、そこはベンチャーキャピタルや大手金融機関の取り組み、一般投資家をサポートする投資関連サービスや政府による安全性の確保など、総合的な打開策が求められるところだろう。


Date

作成日

2018.12.28

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

もう国内銀行送金は使えない?法改正で海外FXトレーダーを直撃する3つの入出金リスク

資金決済法の一部改正により、海外FXユーザーの間で、当たり前のように利用されてきた国内銀行送金による入出金が使えなくなる可能性が浮上しています。法改正が海外FXに与えるリスクと現時点で考えられる対策を説明します。
update2025.07.01 19:00

Exnessの出金方法から銀行振込が一時削除!?現在は復旧も今後は代替手段の検討が必要か

2025年8月、Exnessの出金方法から一時的に国内銀行振込が削除され、オンラインウォレットと仮想通貨のみ利用可能な状態となりました。現在は復旧していますが、今後のトラブルに備えて、代わりの決済方法の準備を検討するのが望ましい状況です。
update2025.08.06 19:00

海外FX利用で国内銀行口座の凍結が増加?法改正後の入出金リスクとは

SNS上で海外FXユーザーの銀行口座が凍結されたことが話題になっています。本記事では、SNSで話題の凍結報告の背景を説明するほか、海外FX業界に迫る「本当の入出金危機」と今後の備えについて解説します。
update2025.07.09 19:00

【当サイト限定】FXONの口座開設でボーナス15,000円をプレゼント!既存ユーザーも対象

2025年8月1日より、FXONでの口座開設で15,000円のボーナスを獲得できる、当サイトMyforex限定のキャンペーンがスタートしました。この記事では、ボーナスの受け取り方法や注意点などを説明します。
update2025.08.01 19:30

海外FXに仮想通貨で入出金する方法は?規制強化で仮想通貨送金が最適解か

海外FXの入出金ルート封鎖が加速しており、SNS上では「銀行口座が凍結された」といった投稿も見られます。そんな中、注目を集めているのが仮想通貨での入出金です。この記事では、海外FXに仮想通貨で入出金する方法や、仮想通貨送金時の注意点などを解説します。
update2025.07.15 19:00

GMOコインからBybitに送金してみた!送金手数料や最低送金額なども解説

Myforex編集部では、GMOコインからBybit(バイビット)に仮想通貨を送金してみました。この記事では、実際に送金してみた経験などを交えながら、送金手順やおすすめの送金通貨、トラベルルールの対応状況などを紹介します。
update2025.06.10 20:00

Vantage Tradingで出金拒否やトラブルが多発中?SNSで報告相次ぐ原因とは

Vantageで原因不明の出金拒否が、多数発生している声を取り上げていきます。Vantageで出金拒否が発生する理由や実際にVantageへ問い合わせた際の回答などもあわせて紹介していきます。
update2025.05.16 19:00

SBI VCトレードからBybitに送金してみた!手数料や送金時間も解説

Myforex編集部では、国内取引所のSBI VCトレードからBybitに仮想通貨を送金してみました。本記事では、送金手順や手数料、送金時間などを紹介します。
update2025.06.11 19:30

MT4初心者必見!FX自動売買EAバックテストのよくあるトラブルと対策集

バックテストをした際にEAを選択できない、途中でテストが止まる、結果が安定しないなどの症状が発生することがあります。本記事では、バックテストをした際に発生する症状別に対処方法を解説します。
update2025.05.13 19:00

ThreeTrader・Vantageが消えた?偽アカウントによる詐欺に注意

ThreeTraderやVantageのX(旧Twitter)公式アカウントに表示制限がかけられていることが確認されました。本記事では海外FX業者のアカウントが制限された背景や、こうした状況で注意すべき偽アカウント詐欺について説明します。
update2025.07.04 19:00
口座開設で15,000円のボーナス 口座開設で15,000円のボーナス

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル