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警視庁が仮想通貨に関する犯罪の実態を報告

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update 2021.08.31 15:27
警視庁が仮想通貨に関する犯罪の実態を報告

update 2021.08.31 15:27

資金洗浄など6,000件もの疑わしい取引を検出

最近、違法な仮想通貨利用が問題となっているが、警視庁の発表によると、日本ではここ10ヶ月で、マネーロンダリングなどに絡んだ不正の疑いのある取引が6,000件近く発生していることが明らかになった。2017年4月から12月までの期間の件数が669件なのに対して、2018年12月までの件数は、前年比で大幅に増加している。

日本市場では、仮想通貨に対する規制のフレームワークが整備されており、その実効性も高く、比較的高い水準での管理が実施されていると言われている。仮想通貨交換事業者も、規制当局に疑わしい取引を報告するなど、市場の安全性維持に貢献しているという。しかしながら、それでも犯罪の脅威は存続し、警察庁は、今年1月に発生し日本中を震撼させたコインチェックのハッキング事件や9月に発生したZaifのハッキング事件をきっかけに、監視を強め、資金洗浄など疑わしい取引をより厳しく精査しているようだ。他の金融取引と違い、仮想通貨を規制することは非常に難しく、国家公安委員会によると、迅速で匿名性の高い取引を実行することができるため、悪用されれば、それを追跡することは困難を極めるという。更に、世界共通でブロックチェーンが利用されているにも関わらず、各国で規制や対応が異なる点も問題点として指摘している。

今回の報告では、犯行の手口もいくつか公開されており、日本に住所を持ちながら、別の国からアカウントを操作することで違法行為を実施するケースなどが紹介されている。また、更に悪質なものだと、同じ写真を利用した身分証明書を本人確認のために使い回し、異なる名前と生年月日で口座を開設する例もある。加えて、警視庁の調べでは、外国人居住者が日本のユーザーへ取引所の口座IDとパスワードを販売していることも報告されている。これらすべてのケースを考慮すると、警視庁には、マネーロンダリングや他の違法取引に関する報告が346,139件もあり、その取引の多くが銀行を経由していたことがわかっているという。[1]

仮想通貨による違法利用の調査に加え、日本では、仮想通貨の税金対策に関する法律が導入され、より完全に近い市場環境の構築に動いている。検討中の新しいルールでは、仮想通貨取引で1,000万円以上の利益を得た人を対象に、規制当局が個人情報の開示請求を行うことができるようになるというもので、納税の有無や資金の動きがより明確になることが予想される。

release date 2018.12.7

出典元:

ニュースコメント

各国で進む仮想通貨を利用した犯罪への対策

仮想通貨の犯罪利用の増加は、業界の悩みの種となっているが、最近では、各国での対策が進捗を見せている。特にマネーロンダリング対策(AML)に関しては、既存の金融法に準拠する形で包囲網が広がっている。北ヨーロッパに位置するIT先進国のエストニアでは、以前からマネーロンダリングに悩まされていたが、今月初めに政府が、仮想通貨を利用したマネーロンダリング対策を強化するため、改正法案を施行することを明らかにしている。このエストニアの法改正では、仮想通貨の関連事業者を細分化し、明確に定義することを目的としている。前総理大臣が、ブロックチェーン関連のスタートアップ企業のアドバイザーを務めるなど、エストニアでは、政治とテクノロジーが好意的な関係にあり、市場の発展と安全性向上の両方が期待されている。また、同時期にシンガポールがICOのガイドラインを発行したことが報道されており、国内での仮想通貨関連事業の運営に関して、既存の金融法を適応したライセンス制を義務化していることが明らかになった。これらの対策は、日本国内ではすでに実施されているが、警視庁が発表しているように、仮想通貨を利用した犯罪は多様化していることから、今後も継続して対策を講じていくことが必要とされている。


Date

作成日

2018.12.07

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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